Force.comがヅダに見えてきた。プロパガンダ放送に思うこと
本件、下書きの状態で葬り去ろうかどうか悩んだが、公開してみることにした。
この投稿に限らないことだが、ブログやtwitterでの発言はマイクロソフトとしての
公式見解ではなく、私一個人の意見であることを念のため再度宣言しておきたい。
セールスフォースがForce.comとWindows Azureの開発環境と比較したビデオを
Youtubeに掲載していて話題になっている…とはいえこのブログ執筆時点で
1,000Viewちょっとなので一部での内輪盛り上がりでしかないかもしれないが。
このビデオを見て「Force.comすごい!開発しやすそう!」という感想しか持たなかった方は、
1つの事象を多面的に考える物の見方を身につけておいた方がよいだろう。
消費者、聴衆としては素直でよろしいのだが、搾取の対象になる可能性が高い。
…と、余計なお世話ついでにいろいろ言いたげな雰囲気満載の出だしだが、先だって、
セールスフォースに1点感謝しておきたいことがある。それは、旧来のWindows Azureの
開発環境セットアップ手順を丁寧にまとめてくれている点だ。むしろマイクロソフトが
作成してYoutubeにアップすべき内容だったかもしれない。Thank you セールスフォース!
さて、このビデオ、比較広告にありがちな手法で、意図的に片方からの目線だけに
ロックインさせるよう編集されたものであることは言うまでもないし、そもそも、
Apple to Appleでないものを比較しようとするセンス自体が、いかがかと思う。
反論というわけではないが、コメントをいくつか。
- 4月13日にローンチイベントが行われる最新版VisualStudio2010ではセットアップ大幅軽減
- 加えてデプロイを簡易化する改善が近日中に行われる
(Eclipse用のAzure開発プラグインではすでに対応済みだったりもする)
- VisualStudio使った人ならわかると思うがインテリセンスなどの基本機能は超強力
- コードはクラウドで書いても良いけど、デバッグはローカルでやりたくない?
- 独自プロプライエタリ言語であるAPEX習得にかかる時間は考慮しなくて良い?
C#やVisualBasic、Java、C++、PHP、Rubyほどにメジャーになっていればよいだろうが
- 同じくSOQLという方言を習得する時間はどこへいった?
- それはすなわち、開発ではなく設定変更でできる範囲のアプリをターゲットにしている?
- 検索エンジンやメールサーバーなどバックグラウンド処理はどうつくるのだろうか?
- チーム開発するときのソースやタスク管理は?まあ小規模開発なら不要だが
- 既存アプリをForce.comに移行するにはどうしたらよい?まさか、作り直し?
- Force.comにつくったアプリをオンプレミスに戻せる?
- 利用頻度が低い人も含む1万人でForce.com上のアプリを使おうと思ったら月額いくら?
その他いろいろ言いたいことはあるのだが、書きながら考えていて改めてクリアになった
ことは、Force.comをPaaSという乱暴な分類のもと、同じレイヤーにするのが間違い。
Force.comはCRMを拡張するSaaSな開発フレームワークであって、クラウドでさまざまな
アプリを動かすプラットフォームを目指している Google App EngineやWindows Azureとは
一線を画している、そう考えると非常に良くできた特定分野開発向きフレームワークで
むしろAzure上のアプリケーションとして欲しいくらいだ。
ちなみに、後半でForce.comで作っているアプリ、クラウドという手段にロックインされる
ことなくゼロベースで考えれば、「Excelでいいじゃん」と思えるのではなかろうか。
データだけクラウドに置いておけば特別なスキルなく同じようなことができるだろう。
ブラウザで見せたいならExcel Web Services などでSharepointに発行すればよい。
そして、内容以上に、気になるのはこの時期にプロパガンダ放送を展開した狙いだ。
目立ちたい!それはわかる。が、そんなことしなくても十分目立っているし、
イベントの集客が好調なことなどから見て興味も惹けているように思えるのだが。
お客様からの信頼は得られないだろう。やはり、ロングテール狙いのスモール
ビジネス特化型ビジネスに根付いた企業文化から抜け出せないと言うことか。
企画から公開に至るまで、どんな背景があったのか、気になってしまうところである。
さて、タイトルのヅダ、知らない人もいるかもしれないのでここで解説。
EMS-10またはEMS-04の試作機型番が与えられたツィマッド社製モビルスーツ。
圧倒的な加速度や機動性など性能面では凌駕しながらも、生産効率や政略により
ジオニック社製MS-05ザクIとの正式採用コンペに敗れた後、伸びきった補給路で
疲弊した前線の状況やオデッサ基地を奪還され敗戦濃厚な戦況を隠すため、
プロパガンダ施策として利用されたファントム兵器である。MS IGLOOは必見。
戦況が苦しくなると、何か新しいもの、目立つものを発表することで軍内部の士気や
政府や市民の支持を得る必要があるのは、なにも1年戦争におけるジオン軍だけでなく、
第二次世界大戦における日本でも同じことが言えるだろう。
これに対する基本的なスタンスは、振り回されることなく予定通りオデッサを攻略し、
ソーラレイシステムと宇宙艦隊を準備して来たるべき本土攻略星一号作戦に
向けてひた走るだけである。割ける戦力は私のブログでの反応くらいがせいぜいか。
個人的にはヅダ好きなんだけどなあ…。
外から見てる限り勢いよく伸びているように見えるセールスフォースも苦しいのだろうか。
オラクルOB組をはじめ、個人的には友人も多く、やや心配だ。販売面は伸びるだろうが、
その心意気が都市伝説な某社と同じ状況になってしまわないことを祈る。
自前のコア技術を持たないIT企業の行く末は厳しい。
強いて言えば特定のドメインに特化した開発フレームワークがそれにあたるのだろうが、
誰かにすぐまねされてしまう可能性は高い。