オルタナティブ・ブログ > むささびの視線 >

鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

facebookが流行らないために起きた、日本のITの危機

»

 Salesforce.comのDreamforceに参加していると、ソーシャルメディアの勢いというか活力をひしひしと感じる。

 Dreamforce2日目のキーノートでSalesforce.comのCEOであるマークベニオフ氏が、「この中でfacebookを使っている人は手を挙げて」と会場に問いかけると、なんと8割方の人が手を挙げるではないか。それだけ、米国ではfacebookが老いも若きにも浸透している。2日目午後に講演を行った元国務長官のコリン・パウエル氏もfacebookにアカウントがあるとか。このアカウントじつは誰かが勝手に作ったものらしく、最初はけしからんと思ったけど、気づいた時点ですでに17000人のファンがいたのだとか。そのため、それを受け入れたとのこと。

 まあ、とにもかくにも米国ではfacebookは利用されていて、日常生活の便利なツールとして活用されている。若い人の間では、すでにメールなんて過去のものになりつつあり、facebookやTwitterでリアルタイムにコミュニケーションとるのが当たり前だとか。日本の若者も、携帯電話でちまちまメールのやり取りして、返事が来ないとかいらいらしているのは、もはや時代後れと言われかねない。

 一連の講演を聴いたあとに、ブロガーでもある栗原さんがTwitterで「日本でfacebookが流行らなかった(これから流行るかもしれないけど)ことのIT業界や社会に与える影響ってどんなもんなんだろう」とつぶやいた。このつぶやきを見た瞬間に私が感じたのは、日本ではコンピュータを「計算機」としてしか使えておらず、新たな便利なツールに昇華させることができなかったのだと思ったのだ。

 世の中のスピード感が、日本ではせいぜいメール止まり。米国はTwitterの、そしてfacebookのスピード感なのだ。今回の一連のSalesforce.comの発表を見ても、多くの日本のIT担当者はピンときていないのではないだろうか。SIerなどで開発を生業としている人たちも、Salesforce.comは何を言ってるんだかと思っていないだろうか?

 なにごともかっちり、きっちりやるというのは日本の誇るべきところだと思う。でもゆるくてもいいからどんどんアイデア出して、ポジティブにものごと前に進めるというのは、今の時代にはけっこう必要なことでは。それを実現するのがfacebookなどのソーシャルメディアのビジネスでの活用なのだと思う。facebookをビジネスで活用できない日本って、もしかしたら2歩も3歩も欧米の国に後れをとっているのではという気がしてきた。これって、もしかしたら今後さらに大きな差になって表れてくる予感が。日本にはmixiがあるじゃんと言うかもしれないけれど、ちょっと方向性が違いすぎる、少なくともいまの時点では。ゲームやってるだけじゃだめでしょう、やっぱり。

 逆に考えれば、facebookの日本での活用ってかなりのビジネスチャンスなのかな?

Comment(0)