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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

口コミマーケティング

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 また誠ネタですが、インターネット利用者の24%が、オフラインサービスの利用前にオンラインレビューを参照すると回答したとのこと。米国での調査結果だ。

 24%という数字、感覚的にはこんなものかなとも思う。米国ならではと思われるのは、レビューの影響力がもっとも高いのがホテルで、レビュー参照者の87%が大きな影響力を持つと答えたこと。個人的には、ホテルの評価も見るには見るが、それで泊まるか泊まらないかを決めることはあまりない。どちらかといえば、割引やオプションなどで判断することが多い。これは、ホテルのサービスというものを楽しむ感覚が自分にはあまりないためかとも思う。

 自分が影響を受けるのは、飲食店関係の口コミ情報か。初めて行くお店では、雰囲気や値段感を探るために、けっこう検索を駆使する。あとは、電化製品などを購入する際にもかなり口コミを重視している。カタログやメーカーサイトの情報だといいことばかりが書いてあり、むしろ使いにくいところはどこか、それが自分の利用の仕方に影響があるかを探る。

 ちなみに、いまは加湿器の情報を収集中。加湿方式の違いや消費電力などのメーカーサイトから得られる情報も参考にしているが、給水がやりやすいかどうかとかカタログ数値では分からない騒音のレベルなどの口コミ情報を探している。そういうわけで、価格.comの口コミ情報はけっこうよく参照する。コンシューマ製品でそれなりに値が張る物は、いまや口コミ情報はかなり重要になっているとも聞く。

 ところで、エンタープライズITの領域で、この口コミにこだわっているのがSaaSベンダーの雄Salesforce.comだ。広告などのマーケティング活動は基本的に行わずに、顧客の口コミによる評判を重視しているのだ。何度か経営層にインタビューすることがあり、新たなライバルの出現や新規ソリューションの提供があるが、マーケティングの手法は変えないのかと質問をしているが、いつも答えは同じ「我々は顧客の口コミによる評判を大事にする」というもの。

 そのため、顧客の成功事例に執着し、イベントでも顧客の生の声を伝えることに注力しているようだ。現状のビジネスの成長を見れば、この方法が功を奏していると言えるのだろう。企業がそれなりに儲かってお金を持てば、なにかマーケティング活動をしなければと思いがちだ。もちろん、広告に投資することでうまくいくこともあるだろう。自社にとってのマーケティング手法の正解は、結果的に儲かるかどうかでしか判断できない。Salesforce.comと同じ方法が、他の企業で通用するとは限らない。

 とにかく、どの領域でも口コミという手法が大きな注目を浴びているのは事実。エンタープライズITにおいても、今後口コミ主体のマーケティング手法をとる企業が出てくるのではないだろうか。ただし、口コミはすぐには効果が現れにくいので、やるなら腰を据えて長期戦で行く覚悟が必要そうだ。

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