放射能除去装置ではなくて二酸化炭素除去装置
世界の二酸化炭素排出量の2%を情報通信技術業界が占める、との調査結果がGartnerから発表された。2%という数字を示されてもなんだかピンとこないが、航空業界並みだといわれるとかなり多そうな気がしてくる。
そもそもここでいうICT業界というのは、なにを指すのだろうか。Gartnerのサイトの英文のリリースを眺めても、ITmediaの記事を読んでも、情報通信技術業界というよりも企業のITインフラ等々から排出されるCO2のことを指しているように読み取れる。とはいえ、サーバーやPC、携帯端末の製造にともなう排出も含まれてはいるようなのだが。
なんにしても、CO2排出量を減らす努力はすべきであり、減らせる余地もまだまだありそうなのは事実だろう。実際ITベンダー各社はこの件への取り組みを表明しているし、ユーザーサイドでもサーバーなどの選択のポイントがより低消費電力、より低排出熱だということが、高パフォーマンスよりも重要視されつつあるようにも思える。
ところで、これとほぼ同時に報道された「温暖化対策に朗報? 大気から二酸化炭素を吸収できる新技術」というITmediaの記事があった。米コロンビア大学らが、大気中からCO2を吸収する「air extraction」のプロトタイプの開発、実験に成功したというもの。CO2の固定というと、植物によるものであるとか海水やサンゴでの吸収なんていうのがすぐに思いつく。私がこれまた英文リリースを読解する能力が低いので詳細はわからないのだが、これは空気中から二酸化炭素の分子を直接捕獲する技術のようだ。
1平方メートルの開口部をもつ装置で、大気から二酸化炭素約10トンを毎年吸収できるとか。先日エントリーを書いたときに、9トンが人間約25人ぶんの年間CO2排出量だったので、吸収できるのはIBMの新しい省エネサーバー1,000台で削減できる量と、ほぼ同程度ということになる。
もっと吸収の効率が上げられるならば、未来に向けてこれは朗報かもしれない。とはいえ、どうせなら植物でがいいなぁとも考える。植物の場合はCO2の吸収だけではない、さまざまな効果があると思うし。樹を植えるかわりにこの装置がにょきにょきと砂漠に設置されている姿というのは、地球にとって必要なことではあっても、その姿はなんとも不気味じゃないだろうかと思う。