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個人事業主が廃業するときの手続き

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前回のエントリー(「個人事業主が廃業を決断するとき」)では、私が決断した理由を交えて、個人事業を廃業するタイミングや決断の仕方について書きました。
今回は、廃業の具体的な手続きについて、「廃業届」を税務署に持っていった話を書きます。

コロナ禍で、個人事業を廃業して会社員に戻る方も多い、と聞いています。
個人事業主が廃業するときに、どのような手続きが必要か、私の体験が参考になれば、と思います。

writing04_ojisan.png

1.用紙の入手
個人事業主が廃業をする際には、税務署へ「廃業届」の提出を行う必要があります。
まずは、用紙を入手しましょう。
私は、国税庁のホームページからダウンロードしました。

[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

また、青色申告をしている場合は、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」の提出も必要です。

[手続名]所得税の青色申告の取りやめ手続|国税庁

他に、消費税の課税事業者であれば「事業廃止届出書」、従業員および事業専従者等に対して給与を支給している場合は「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」が必要になるなど、状況に応じて廃業届以外の手続きも必要になってきます。不明な場合は、所轄の税務署に問い合わせましょう。
私の場合は、過去に、専従者や従業員を使っていたこともあった(開設のときは書類を書いた)のですが、税務署で確認したところ、上記の2つだけで良いとのことでした。

2.「廃業届」の記入
ダウンロードした用紙は、pdfなので、Acrobat Reader等で開けば、そのまま入力できます。
私は、環境設定で、JavaScriptを無効にしているので、メッセージが表示されましたが、無視して構いません。(pdf内の印刷ボタンは使えませんが、普通に、メニューから印刷できます)
01JavaScript1.png
まずは、自分の情報を記入します。
「納税地」は、開業届のときに書いたものと同じです。住所であれば「住所地」、住居兼事務所は「居所地」、事業所であれば、「事業所等」を選択します。ラジオボタンではないので、複数クリックできてしまいますが、間違って選んだ場合は、もう一度、クリックすると取り消せます。
「上記以外の住所地・事業所等」は、納税地の他に、事業所等がある場合のみ記入します。
「氏名」、「生年月日」は、個人事業主本人の氏名と生年月日です。印鑑は、印刷してから押印します。
「個人番号」は、個人事業主本人のマイナンバー12桁の数字です。「半角で入力してください」と吹き出しに書いてありますが、入力しようとすると、全角になるので、半角に戻してから入力します。
02 個人情報1.png
「届出の区分」は、「廃業」を選択し、「事由」には、「会社員になるため(就職)」「売上減少のため」、「高齢で仕事ができないため」等、廃業することになった理由を入力します。
「所得の種類」は、「事業」を選び、事業の全部を廃業するので、「全部」を選択します。
「開業・廃業等日」は、廃業日を入力します。
「事業所等を新増設、移転、廃止した場合」は、記入不要です。
「廃業の事由が法人設立に伴うものである場合」は、個人事業から法人格に格上げ(法人成り)する場合に記入します。就職して会社員になる場合は、記入不要です。
03 届出区分1.png
「青色申告の取りやめ届出書」は、前述の通り、青色申告をしている場合は、提出が必要なので、「有」にします。消費税の課税事業者を選択していた場合は、「事業廃止届出書」も提出する必要があります。
「事業の概要」は、廃業する前に行っていた事業の内容を記入します。
「給与等の支払の状況」は、家族を雇っていたり、従業員を使っていた場合に記入します。家族は、「専従者」、従業員は、「使用人」のところにその人数を入力します。給与の定め方は、「月給」などと記入します。個人(1人)で活動していた場合は、記入不要です。
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無」は、給与を支払っていた(源泉徴収していた)従業員がいない場合は、「無」です。
「給与支払を開始する年月日」については、廃業なので、記入不要です。
04 届出書の有無1.png

印刷すると、2枚、出力されます。1枚は控えです。控用には、個人番号(マイナンバー)が印刷されません。

提出用、控用ともに、「開業」のところを二重線で消して、押印すれば、完成です。
05 開業を消す1.png

3.「青色申告の取りやめ届出書」の記入
自分の情報を記入するところは、先ほどの「廃業届」の内容を転記しましょう。
06 青色申告取りやめ1.png
今年(令和3年分)から青色申告をやめるので、「令和」「3」年分とします。(つまり、来年出す分)
「1.承認を受けていた期間」は、開業のときから、廃業のときまで。私の場合、開業が平成23年(2011年)、廃業が令和2年(12月31日)なので、「令和」「2」年分までになります。(つまり、今年の3月に出す分まで)
「2.青色申告をやめる理由」は、「(できるだけ詳しく記載します。)」と書いてあるので、悩むかもしれませんが、「廃業のため」で構わないみたいです。
07 年分1.png

「廃業届」と違い、控用がないので、普通に印刷すると、1枚しか出力されません。控えをとっておきたい方は、2枚同じものを印刷しましょう。そのうちの1枚に、税務署で「控」の印を押して返してくれます。
2枚とも押印して完成です。

4.「廃業届」の提出先と提出方法
廃業届の提出先は,「納税地を管轄する税務署」です。
いつも確定申告書を提出しているところですね。
郵送もできますが、開業のときも、出向いたので、持っていくことにしました。(専従者や従業員についての書類のこと等、不明点も確認したかったので)

20210128_144533 (1).jpg

持っていったものは次の通り。
①「個人事業の開業・廃業等届出書」(廃業届)
②「個人事業の開業・廃業等届出書(控用)」
③「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を2枚
④写真付き身分証明書(運転免許証)
⑤個人番号が分かるもの(マイナンバーカードや通知カード)
⑥印鑑

⑥は、他にも書類が必要だったり、書き直しになったりしたときのため、と思って持っていきました。

手続き自体はすぐに終了。不明点については、確認したものの、「ハイ、いいですよ」という感じで、受付で用紙を渡しただけで終わりでした。⑥を使うことはありませんでした。
ただ、本人確認と個人番号の確認はあったので、④、⑤は必要です。

開業のときは、相談ブースで、机を挟んで座りながら、もっといろいろと話をして、書類も、もっとたくさん書いた気がします。それに比べると、何ともあっけない。まあ、手続きが大変でも困るんですけど。

これで廃業届の提出は完了です。
開業から9年半、会社という組織から離れてもうすぐ10年、節目ですね。感慨深いものがあります。東日本大震災からコロナ禍まで、いろいろなことがありました。
と、過去に浸っている場合ではありません。
さあ、新たなスタートです。

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