創業時の事業計画書の作り方とその効果
前回、創業時の融資について書きましたが、申し込みの書類と一緒に、事業計画書を書いたことに少し触れました。
~創業のときの資金調達(2011/09/08)より~
金融機関での申し込みは、面接、というよりは、流れの確認の打ち合わせ、といった感じでした。その前日に徹夜で手直しした事業計画書は、そんなに出番はありませんでした。まあ、申し込みに必須では無いですし、それでプレゼンを行う訳でもありません。奥さんにも、「そんなに一生懸命作っても、見てもらえないんじゃないの?」と言われていました。でも、事業に対しての想いを伝えたり、「創業・再挑戦計画書」の数値の根拠として、きちんと作ることをお勧めします。
金融機関や信用保障協会との面談の場では、今ひとつ活躍の場がなかった「事業計画書」ですが、だからといって役に立たない訳ではありません。
今回は、事業計画書について、どんな風に作って、どんな風に役立ったか、について書きたいと思います。
わたしが利用した融資は、横浜市の中小企業融資制度ですが、日本政策金融公庫の新創業融資制度も検討していたので、日本政策金融公庫の方が事業計画書の作り方について教えてくださる「日本公庫・創業セミナー」も受けました。(このセミナーは、前回、ご紹介した横浜企業経営支援財団(IDEC)が主催で、なんと、無料でした)
そのセミナーでのお話。
創業の際は、事業実績がなく財務データがありません、また、取引実績もないので信用情報もありません。それでは、いったい、金融機関は、何を見て評価するのでしょう。
それは、「経営者としての能力が備わっているか」、「ビジネスプランが的確かどうか」とのことです。
これらは、創業前でも、準備度合いで評価できるそうです。
【経営者としての能力の評価ポイント】
- 原動力:「創業動機」
- 仕事のキャリア・人生経験:「経営者としての適正」、「ビジネスシーズ」、「人脈」
【ビジネスプランの評価ポイント】
- 事業の選択:「やりたいこと(熱意・信念・志)」、「できること(スキル)」、「社会が求めていること(ビジネスニーズ)」
なるほど。つまり、これらを上手くまとめることが出来れば、金融機関に評価される事業計画書が作れそうです。
さて、事業計画書の様式には、いろいろありますが、わたしは、次のような構成で書きました。
①創業動機・将来ビジョン
②略歴
③事業内容
④市場分析
⑤マーケティング戦略
⑥開業資金計画
⑦収支計画
①、②は、自分を分析することです。
- 自分のやりたいこと、自分にとっての意味、それをやりたいと思った経緯、将来どういうことを実現したいのか
- 自分のキャリア、強み、それをどう活かすのか、弱みをどう補うのか
③~⑤は、事業の強み・特徴、事業のアピールです。
- 誰に、どういうサービスを提供するのか
- どう収益を上げていくかのモデル
- そのサービスがどういう市場で、その中で、どうやって差別化を図るのか
⑥は、必要な資金とその調達方法。
- 設備資金(フランチャイズチェーンの加盟金、保証金、店舗を借りる際の敷金、什器など)
- 運転資金(仕入れ、家賃、広告宣伝費など当面の費用、わたしは3ヶ月分で計算しました)
- そしてその調達方法(自己資金と借入額)
- 資金繰り表(返済計画)
⑦は、収支の見込みです。
- 1年間での売上高、仕入高、人件費、その他費用、利益はどうなるか(事業を始める前から 1 年分の正確な収入額を計算することは困難ですが、フランチャイズ本部から提供されるモデルの教室の収支
や、他店舗のオーナーのお話から、新規会員数や退会者数を予測して、その数字を元に、算出しました)
あまり長くなっても、それこそ誰にも見てもらえないので、10~15分程度で説明することを想定して、パワーポイントで10枚程度にまとめました。
自分がお金を貸すとしたら、ルーズで、どんぶりな人ではなく、
実直・誠実で、きちんと計画的に返してくれそうな人がいいに決まっています。
金融機関もそうですよね。
きちんとした事業計画書があれば、「この人は、きちんとしていて、ちゃんと返してくれそう」と印象付けることができるのです。
確かに、金融機関との面談で、申し込みの書類と一緒に、事業計画書を出したとき、「おっ、やるな・・」という空気が流れました。ホントです。
また、事業計画書は、金融機関から融資を受けるためだけのものではありません。
自分が考える事業の構想を体系的に整理できるので、事業化する上での課題や「やるべきこと」が見えてくるのです。(これは、「日本公庫・創業セミナー」のウケウリですが)ホントです。
こっちの方がむしろ、重要かも知れませんね。
資金調達が出来ても、事業が頓挫してしまっては、元も子も無くなってしまいますから。