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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

趣旨と異なるが学会発表風にしてみる・・・『普通のプレゼン資料を5分で「かっこ良く」するテクニック(初級編)』

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いつもの私のエントリとは毛色が違うので、ソフトウェアのことを期待される場合には、今回はお休みとお考えいただき次回のエントリをご覧いただければと思う。

読者には、まず、以下を読んでいただき、このエントリの背景をご理解いただかなければならない。特に1つ目を読み飛ばすと以降がなんのことだかわからないだろう。

吉田氏の趣旨は「スライドの内容にあまり依存せず、短時間で、スライドの質を上げるテクニックの紹介(初級)」だと思う。その趣旨とは異なるが、もしも学会発表に使うならば、という前提で吉田氏、山口氏、永井氏(エントリ投稿順)の試みに私も参加させていただく。本来、了承を得てからというのがスジではあるが、スライドの作者、吉田氏、山口氏、永井氏の了承は得ていない。特にスライドの作者の方へ了解をとるべきと考える。

上述のエントリを読んでいただいたという前提で以下の話となる。ストーリ仕立てで書くのは、私のスタイルとは異なっていて、違和感を感じるのだが、山口氏、永井氏のものを踏襲すべきと考えてそのようにした。

ある日、卒業生Aが、うかない顔をして大学に訪問してきた。なんでも就職先の吉田リーダにどやしつけられた後、山口サブリーダが優しく慰めてくれ、永井リーダがそれらのよいところをまとめてくださってスライドを完成させ、プレゼンを成功させたそうなのだが、次回のプレゼンが気になるようだ。「様々な観点で意見をいただきたい」

元のスライド(以下)を見せてもらった。

Before出典(吉田 賢治郎 "普通のプレゼン資料を5分で「かっこ良く」するテクニック(初級編)"

私「君はすでにビジネスパーソンだし、こういうのには流儀があるから一概によいものを定義するのは難しい。リーダにちゃんと相談するのがベスト。僕の意見を聞いてどうしようと思うの?」

A「もちろん相談しますが、その前にいろいろな人の意見を聞きたいと思っています。修士論文の発表の練習のことを思い出したので」

私「アカデミックぽくなるけどいいの?それで顧客に価値を提供するという目標を達成できるの?」

A「はい。そう思っています」

本当なのか、かなり疑問を持ちながら、2段階にわけて学位論文発表や学会発表ぽいスライドに変更した。これで気分が変わったり本人が納得するならば、いいか。ただし、私自身の仕事もあるので、この作業自体は10分程度でなんとかしたい。伝えた点は4つで、テキスト部分はがらっと変えた。ここではその過程を2段階にわけて説明する。

第1段階

1. 「まず、タイトルは聴衆の視線を集める部分なので、ここにこのスライドで最も言いたいことを書く。本文の1行目をタイトルに移動し、それ以降のインデントを解除する。元々のタイトル「・・・条件」は前のページのスライドとほとんど同じだろうから字を小さくして、タイトルを2行にする」

2. 箇条書きの1つ1つに対応する品質特性(品質副特性)をISO 9126 から選び、既存の情報との対応付けし、自身の思っていることの位置づけを明確にする。対応付けの途中で抜け、漏れを発見することもある。本当は網羅的な品質特性になっていることが望ましいが、時間的制約もあるので、元の項目をそのまま使う。Step1

ここまでが第一段階だが、字が多い。ほとんどの聴衆は「字が多い」と思うだけで、中身を読もうとしないだろう。そこで、第2段階では次のように変更する。ただし、字の量を減らすのは、しゃべる内容をきちんと整理できたり、練習できたりするということが前提だ。きちんとしゃべれないと「よくわからんなぁ」となってしまう。

第2段階

3. 「5つの項目が示されているが、4つ以上の項目には構造を作って聴衆が理解しやすくすることが望ましい。ここでは、提供されるクラウド自体とそれに関係する付加価値に分けることができるので、そのように構造化する。構造化の方法は他にもあるだろう」

4. 「他者の発表や著作を使う場合には必ず出典をつける。今回の場合、出典としてISOを書く」

Step2_2

今回は多様性のために学会風にしてみたが、社会人学生の方に伺うと、修士、博士課程で、文章、プレゼンのスキルを改めて見つめなおすと会社での文章、プレゼンも随分違う、とのことだ。

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