Waymoの自動運転と人間の運転の事故件数を保険請求データから比較した研究
Waymoのブログに自動車の自動運転の事故件数を調査した論文が公開されています。タイトルは「Do Autonomous Vehicles Outperform Latest-Generation Human-Driven Vehicles? A Comparison to Waymo's Auto Liability Insurance Claims at 25 Million Miles」です。2024年12月21日時点でGoogle Scholarにおいてこのタイトルで検索しても検索結果には現れません。査読未完了、タイトル変更等の可能性があります。
この研究では、Waymoがこれまでに走行した2530万マイルの完全自動運転(ADS: Automated Driving Systems)データを分析し、人間の運転する車両(HDV: Human Driven Vehichle)との比較を行っています。また、2018年から2021年モデルの比較的新しい車両の運転者とも比較(最新世代のHDV)としており、自動緊急ブレーキなどの先進運転支援システム(ADAS)が搭載されていることが多い対象です。
対象としたデータは自動車賠償責任保険の請求データです。このデータからWaymoのADSは2530万マイルの走行中に10件の衝突事故を起こしており、そのうち9件が物損事故、2件が人身事故に関する保険金請求となっています(一部未処理の請求を含む)。
このデータの人間の運転する車両の保険件数とWaymoの自動運転の車両には次の前提の違いがあります。WaymoのADSの運行設計領域(ODD: Operational Design Domain)は一般道であり、比較対象となるHDVのデータには一般道と高速道路での運転も含まれています。高速道路の方が事故のリスクが高いと考えられるので、単純には比較できません。また、Waymoのデータは2018年1月~2024年7月、人間の運転する車両のデータは2017~2022年のものです。また、人間の運転する車両のデータは車両が登録されている郵便番号からWaymoの運行地域に含まれるものを対象としています。
論文では100万マイルあたりの保険請求件数が以下のグラフとして掲載されています。左側が物損、右側が人身事故の件数で縦軸は、100万マイルあたりの保険請求件数です。青色が人による運転、赤色が最新世代のHDV、緑がWaymoの値です。上のパーセンテージやこれ以降の数値も丸い点を指しています。
物損事故では、全体で3.08件/100万マイル、最新世代のHDVで2.49件/100万マイル、Waymo ADSで0.36件/100万マイルとなっています。人身事故では、全体で1.04件/100万マイル、最新世代のHDVで0.82件/100万マイル、Waymo ADSで0.08件/100万マイルとなっています。