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けんじろうと戦おう!プレゼンにダメ出しされた若者を援護する

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普通のプレゼン資料を5分で「かっこ良く」するテクニック(初級編)をまだご覧でない方はそちらをご一読下さい。

ある日、後輩が暗い顔をしてこちらにやってきた。

なんでも吉田リーダー(仮称)にどやしつけられたらしい。

「こんなプレゼンでしゃべれるか。お客様の前で恥をかく俺の立場になってみろ!」

いわゆるパワハラである。吉田リーダーはマッチョなのでなんとも思わないのだろうが、後輩(A君とする)はすっかりしょげかえっている。よくよく事情を聞いてみるとこういうことであった。

  • 全30枚のプレゼン資料がある
  • うち10枚をA君が担当
  • 吉田リーダーがA君の資料を読み進めるうちに顔色が変わり
  • ある1枚でとうとう罵倒された
  • こう直したらどうだ、とその場で5分で修正された
  • 作業の猶予はあまりない

なるほどA君の顔色が悪い理由がわかった。怒られたショック以上に自尊心を傷つけられたのだろう。これは単純にプレゼンを直して締め切りに間に合わせるのを手伝うだけでは精神的に復活できないだろう。何しろA君はどちらかというと話すことに自信がなく、できるだけ文字で伝えようとする気持ちが強い。しゃべりに自信たっぷりの吉田リーダーとは性格からして異なるのだ。自分も人前に立つと足が震えてしまうほうで、A君の気持ちがよくわかる。

そこで考えた自分のミッションはこうだ。

  • 確かに吉田リーダーの絵はかっこいい
  • ただしそれを認めるとA君が立ち直れない
  • A君の踏ん張りどころとして修正案よりも優れた案を作れるようアドバイスしよう
  • でもA君はどうやったらもっと良いものが作れるかわからない
  • ただし自分も忙しい
  • 10分で「整え方」をレクチャーし、残りをA君自身にやってもらおう

さて、どうやってA君の自尊心を保ちつつプレゼンを手直しする指針を与えることができるだろうか。

#ちなみにこの遊びについてはけんじろうさん自身から了承を得ている。

元となる画像はこちら。
WS000009.JPG

これはあまりにもさっぱりしている。そこで吉田リーダーは見た目を修正してあげたのだろう。しかしA君はそれを「内容がだめだったので丸ごと作り変えられた」ように受け取ってしまった。確かに内容にもまずいところがあるが、書いてある内容はほとんど合っている。それを理解してもらえば自尊心も回復するだろう。内容は正しいがもっと良い書き方がある、そのことに気づくのをゴールとする。

まずはタイトルを見てみよう。おそらく何項目かあるうちの5番目なのだろう。こういうのは残り何項目あるかわかったほうがいい。仮にこれが5項目の5番目だとしたら、他におもしろい言い回しがないだろうか。5つ星なんていうのもいいかもしれない。するとタイトル部分はこんな感じになる。

1ページ目なら
presen1.jpg

5ページ目なら
presen2.jpg

色はA君に考えてもらうとして、これで何か大変なことを伝えようとしている雰囲気になった。しかも今のスライドがクラウドビジネスに関してどのあたりを話しているのか理解しやすくなったと思う。5番目まで進んでいるということ、すなわち最後の1つということが伝わるようになった。少し言葉を変えて星をつけただけである。しかも応用が効く。3とか4でも同様に何か図をつけてタイトルに差し込めばいいのである。

せっかく5つ星にしたのだから、星の1つ1つに相当するページがチェックシートっぽくなっていたらどうか。星を5個とったら5つ星だ、というメッセージを強めてみよう。

「銀行」の部分の文言を疑問系にしてみると共に、各項目についてはチェックがしやすいような言葉遣いに変えてみる。ついでになんとなく統一感のない5項目も「力(ちから)」で統一してみた。文言自体はほとんど削っていないし、新しく考えたのは助言力の3つのCくらいである。この3Cはいかにも実在しそうだが、今即興で考えたので真似して使うと実際は恥ずかしいと思う。

presen3.jpg

色はA君に考えてもらえばいいだろう。最初は白黒で考えて後から着色したほうが統一感が出る。3Cのところだけは先につけたが青である必要はない。個人的には5つ星に5つのチェックというのは嫌な統一感が出て気持ち悪いので3つくらいに統一したいところだが、それをやると吉田リーダーと同じでA君の気持ちを傷つけるであろうから黙っておく。

もしスライドの枚数が許すのであれば、なんとなく近いことを言っている

  1. ブランド力と資金力
  2. 接客力
  3. 助言力、経営力

の3つのまとまりにできるかどうか検討する。そしてまとめでスライド1枚、各要素で1枚ずつの3枚で合計4枚にするかもしれない。超細かいことを言うと「ブランド力」は「りょく」と読みづらいので言葉を変えたい。「りょく」で統一しなくて済むならブランドイメージ、やブランドロイヤリティなど適当な言葉を探すし、「りょく」で言い換えるなら信頼力のほうがいいだろう。が、ブランド力よりは一般的な言葉ではない。ここはむしろ「りょく」で統一していることをより強調もできる「りょく」の字の色を変えるという感じにまとめたい。

ちなみに私は色弱(自動車の免許が普通に取れる程度。軽い。)なので無用な混乱を避けるためこれ以上色をつけないでおく。仕事で着色する時は色要素の数値や色名を見ながら、という面倒さがあるが日本人男子の20人に1人は色弱ということを自分に言い聞かせている。それと自分が読める資料はだいたいの人には見やすい。これは大きなメリットだ。世の中の20人に19人の人はそのあたりのことを心の片隅にとどめておいてもらえるとすごく嬉しい。

この改変は鉛筆書きで考えたのは正味で10分かからなかった。という「である」口調もいつもと違うのでやめにしまして、パワーポイントからちょこちょこ画像を取りながらブログ書くのがこんなにめんどくさいと思いませんでした。という普段通りテンションの締まらない〆で終わります。けんじろうさんがこの件でコラボってくれる人を募集しているそうなので、「俺のほうがもっといいプレゼンを作れるぜ!」という方はA君のプライドをずたずたにして千尋の谷に叩き落して上から岩でも投げ落とすような案でも、もっと上手にリードする優しい案でも考えてけんじろうさんの記事にトラックバックしてください。

数がまとまったら事務局が紹介してくれるかもしれません。

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