ドコモの方針変更が携帯ソフトウェアに与える影響は?
ドコモが携帯電話用のOSとミドルウェアにgoogleのアンドロイドを採用するそうだ。YOMIURI ONLINEの記事に書かれている(YOMIURI ONLINEは個別記事へのリンクは原則として禁止だそうだ)。アンドロイドのことは以前にここで書いた。
ガラパゴス現象とは、太平洋の島々に特殊な生態系が残っていることを指し、携帯電話をとりまく日本の状況が海外とは異なる独自の製品や市場を作っていることを比喩しているそうだ。携帯国内メーカの携帯電話の世界シェアはそれほど大きくない。今回のOSとミドルウェアへの移植は、日本の携帯が海外にも展開できるきっかけとなるのかもしれない。このあたりはオルタナブロガの林氏がこちらで詳しく書かれている。
ソフトウェア開発の観点からみると、新たなOSとミドルウェアへの移植は比較的大きめの設計変更につながり、あわせて再設計等リファクタリングの契機になり得る。携帯端末のソフトウェアは他のソフトウェアと比較するとtime to marketな性質を持っていて、ここに書いたような保守性と信頼性のトレードオフに苦しみやすい分野だ。これまで、納期の都合上見直ししたいけどできなかった機能やプログラムを見直す機会になり得るだろう。また、その見直しの判断基準の1つとして、ソースコードメトリクスや設計メトリクスを選ぶ組織も多いのではないだろうか。
プラットフォームがかわれば、抜本的に見直さなければならない項目(たとえばリアルタイム性確保の方法やリソースモニタリング)についての検討を多数重ねる必要があるだろう。もしも海外展開を視野にいれるならば、(以前にここ(多言語化/多文化化開発)にも書いたが)キャリアはもちろんのこと、国、地域別に言語、文化、法規制等、APIやミドルウェアにも階層化/部品化やレイヤ分けが必要になるだろう。ガラパゴス現象がソフトウェアの内部構成にも影響しているなら、ここにも多くの検討が必要になるだろう。
移植や海外展開がきっかけとなって、同一の母体を中心として多数の枝分かれバージョンが同時進行で開発されるような派生開発のライフサイクルがより明確になることを期待している。たとえば、ルーセントテクノロジではそのようなライフサイクル検討の結果、レガシーソフトウェアの保守をオフショアすることに決めたそうだ(詳細はここで書いた)。