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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

多言語化開発/多文化化開発 - 日本発世界向けのソフトウェア -

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組込みソフトウェアは、日本からグローバル展開しているソフトウェアの多くを占めている。特にコンシューマ向けの組込みソフトウェアの場合には、多言語化、多文化化が必要になる。汎用OS(SymbianやLinux)を使っている場合には、それらがある程度の部分がカバーしてくれるが、ミドルウェア/ライブラリ/APIやアプリケーションのレベルでも、多言語、多文化を考慮しておく必要がある。最も簡単なものは、ユーザ向けのメッセージの内容、表示に必要な画面上での幅、音声としたときの時間長である。他にも、多くの国では法令に触れないが、特定の国では法令に触れてしまう機能であったり、道路標識が各国で異なったり、緊急用電話番号の最初の1桁が異なったり、特定の国/文化では、タブーとされる色、形、提示方法である。

グローバル展開するソフトウェアで、市場投入までのスピードがマーケットに与える影響が大きい場合には、特にこれらのノウハウが重要になる。汎用化や抽象化が不十分であれば、特定の国/文化向けで、性能が落ちるなど、対応に手間取ったり、ライブラリやミドルウェアの基盤部分の変更が必要になったりし、結果として、開発期間が延び、スピード低下の原因となる。テスト容易性を考慮した作りこみ(たとえば再現しにくい例外処理を起こす仕組み)等も市場への投入スピードに影響してくる。具体的には、現実には稀な条件でしか提示されないメッセージを表示する状況を簡単に起こせるようなテスト専用の環境や仕組みが必要になる。

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