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近日中に削除される .jp ドメイン

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ドメインはいつ削除されるのか(汎用JPの場合)」というエントリでは、期限切れしたJPドメインが削除されるまでの期間などについてご説明しました。また、「失効ドメインのバックオーダー」というエントリでは、そのように削除されるドメインを再登録するサービスについて紹介しました。「お名前.com」で行われた、事後オークションのようすは、「バックオーダーオークション」で見ることができます。

■どのようなドメインが削除されるのか

来月1日未明にも失効ドメインが削除されます。人気の高まりそうなドメインについては「ラット」が公開しています(削除されるドメインの数はずっと多いため、これらは手作業でピックアップしているのだと思います)。いくつか抜粋してみます。

alan.jp
berry.jp
crawler.jp
farewell.jp
fiber.jp
jackass.jp
membership.jp
……

このほかにも、人気の高いショートレター(3つの英字ドメイン)がいくつも削除されます。もし、".com" ドメインだったら、どれも数千~数万ドルで取引されそうなものばかりです。また、お名前.com に会員登録してドメインニュースの配信を設定していると、毎月下旬には削除される予定のドメインが配信されます。

■.jp が安全な理由

.jp ドメインはもっとも安全な TLD だと言われています(※)。日本レジストリサービス(JPRS)が努力しているという面も多少はあるかもしれませんが、もっとも大きな理由は登録費・維持費が比較的高額なことでしょう。近年値上がり傾向にあるのですが、.com などの gTLD は、年間$10ほどで登録できます。一方、.jp(汎用JP)は、安くても年間3000円程度の維持費がかかります。ドメインを悪用する人にとって、わざわざ高額なドメインを登録する必要はないので、TLD としての認知度が高い .com など安く登録できるものを使っているだけです。
※「「.com」サイトの3割以上は「危険」、最も安全なのは「.jp」サイト」(日経ITpro)

登録費が高いために、上に挙げたような良質の名前を登録するチャンスも多いのです。新たなビジネスを始める際に、海外も視野に入れるのであれば .com ドメインを登録する方がよいのですが、国内に限れば .jp ドメイン(または属性型の .co.jp)で十分とも考えられます。必ずしも gTLD に高額な対価を支払う必要はありません。

■本当に捨ててもよいドメインなのか

こうして削除されるドメインの中には、ときどき気になるものがあります。たとえば、ファミリーマートに吸収されたコンビニ「am/pm」が使っていた ampm.jp というドメインも来月1日に削除されます。ここでは具体的な例は挙げませんが、このように大手がブランディングしていたにも関わらず、ビジネスの終了とともにあっさり放棄されてしまうものがあるのです。

こうしたドメインは、ネット上のさまざまな場所からリンクされているため「残存トラフィック」を狙って再登録されることがほとんどです。ampm.jp ドメインも事後オークションになれば、ある程度高い値段が付くでしょう。実際、日本の事後オークションで高値が付くのは、そのようなドメインであることが多いのです。

>Comics48_loそのように放棄されてしまう理由には、JPRS が長期のドメイン登録を認めていない(1年ごとに更新するのが原則)ことがあります。.com などは最長で10年まで予約登録できるため、ビジネスやサービス、あるいは会社ごとなくなってしまっても10年間は他人に管理を渡さないようにできます。レジストラ(登録業者)によっては独自に長期間の予約登録を受けているところもありますが、これはレジストラが事前に支払いを受けて毎年の更新を自動化しているだけです。他のレジストラに移管してしまうと、登録期間は引き継がれません。

独自ドメインでブランディングした場合には、ある程度長期にわたってドメインを維持し続けることが望ましいとともに、JPRS にはより長期の登録を受け付けるようにしてほしいと思います。

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