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「知的財産推進計画2006」の見直しに関する意見

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小倉弁護士が「「知的財産推進計画2006」の見直しに関する意見募集」でパブリックコメントを公開されていますが、このスタイルを真似て以下のような意見を投稿しました(送信したのが締め切り前日だったので、どうせなら“後出し”しようかと思っていて忘れてました^_^;)


第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり

I.世界トップクラスのコンテンツ大国を実現する

1.ユーザー大国を実現する

(1) IPマルチキャスト放送の積極的活用を図る

(追加)

(1)-(a) IPベースのユニキャスト放送を検討

現在の動画ポータルサイトに見られるオンデマンドでの動画視聴の需要に応えるため、IPユニキャスト方式によるオンデマンド動画配信について、著作権法上「有線放送」と同様の取扱いにすることを検討する。検討すべき内容としては、別途許諾が要求される「通信」との区別(コピープロテクションなど)、帯域(バックボーンと終端)に対するデータ転送量、負荷分散技術、配信先の拡大にともない増加する権益の一極集中の防止(出演者を含む関係者への利益配分)など(※)。

※「3.ビジネス大国を実現する」―「(3)著作権に係る課題を解決する」―「①マルチユースを想定した契約を普及し、権利の集中管理を進める」に関係する。

2.クリエーター大国を実現する

(4) 利用とのバランスに留意しつつ適正な保護を行う

① 国内制度を整備する

iii)

(修正)

著作物の保護期間について「延長」ではなく「延長登録制」の導入を検討する。著作物の保護期間の延長は、著作権者の不在(不明)や分散にともない、使用許諾が得にくくなる(得られなくなる)著作物、つまり再利用できない孤児著作物を増加させる懸念がある。一方、著作権者が求める保護の強化に応えるため保護期間を延長するための登録制度の導入を検討する。10年あるいは20年単位で延長できるようにし、登録にかかる費用は管理費用程度(実費)で行う。また、登録制の導入は、諸外国との制度の違いを解消するために、国際的な仕組みとして推奨することも必要である。

(追加)

iv) クリエーターによる著作者人格権の不行使の明確化

クリエイティブ・コモンズなどに見られる他者の改変を認める著作物の存在を許容する方法を検討する。現在の著作権法は同一性保持権に関して、これを放棄できないと解されているため、クリエーターが他者による改変を認めた場合でも、著作者人格権の不行使契約が無効であるとの見解がある。こうしたクリエーターの意思をも尊重できるよう、著作権法の改正などを検討する。いったん改変を許諾した著作物について、後に改変を禁止することは、改変者の創造の権利を損なうため、これを認めないといった措置を講じる必要がある。

v) ウェブコンテンツの保存

検索エンジン用に検討されているキャッシュサーバーの法整備と同じく、ウェブコンテンツの永久保存を実現するための著作権法整備を検討する。後世に出版物の記録を残すための国会図書館に対する納本制度に対応するウェブコンテンツの保存は、現在、管理者が明確に許諾を与えたものだけに限られている。しかし、個人のブログやサイトといった形で蓄積されている情報においついていないのが現状である。検索エンジンと同じレベルで広範な情報の蓄積を目指す(この目的のためには robots.txt による検索場所の限定にしたがう)。
また、この目的以外にも、特定の時点におけるウェブコンテンツの「スナップショット」を保存・証明できる仕組みを検討する。これは、誹謗中傷などの発言やオンラインのみで提示される使用許諾契約など、容易に改変されてしまうウェブ上のコンテンツに一定の証拠能力を与えることを目的とする。時間やアクセス元IPによる変化へ対応するためにはブラウザとの連携についても検討することが望ましい。著作者の権利侵害にならないよう公開範囲についての限定も検討の必要がある。

3.ビジネス大国を実現する

(2)コンテンツを輸出する

⑥音楽レコードの還流防止措置制度を見直す

著作権者への対価が正当に支払われている音楽レコードの還流防止制度について、廃止を含めて見直しを検討する。工業製品やソフトウェアなど他の産業において、国際競争における価格制度の保護が行われているものは多くない。また、インターネットを通じた音楽配信ビジネスが活性化された場合は、音楽レコードの還流のみを防止しても実効を持たなくなる可能性もある。知的財産大国を目指すのであれば、農業のような国際競争力のない分野のように保護を与えるのではなく、むしろ価格を含む公正な国際競争の下に置くべきである。


p.s.
ちなみに、どう書くものかと思っていたまま「レンタル CD やめろ」というのを書き忘れました。日和ったわけではありません。まあ、いまさら現実的な提案だという気もしませんが。

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