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テレビは終わっているか?

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15年前の人気番組「ウゴウゴルーガ」の DVD ボックス発表会見は、かなりにぎわったようですね。私も、このころは割とテレビを見ていて、「ウゴウゴルーガ」はお気に入りの番組でした。実は、ウゴウゴ君とルーガちゃんの「サイン」(※実際には「サイン」ではなく「ハンコ」でしたが)まで持っています。しかし、今はほとんどテレビを見ません。とくに地上波は縁遠く、すぐに思い出せる番組は「ピタゴラスイッチ」(NHK)くらいです。

池田信夫氏のブログの「テレビが終わってるのに気づかない人々」というエントリでは、そのタイトルに反して「意外に、まだテレビは終わっていないように見える」とあります。実際、世の中の人がテレビを見なくなったわけではないようで、視聴率から推測されるテレビ視聴者数や最近のワンセグ人気を見る限り、メディアとしての役割は「終わっている」わけではないようです。アナログ放送終了時にどうなるかはわかりませんが、ハードウェアリテラシの高い日本なら、けっこう乗り越えてしまうのではないかという気もします。もちろん、GyaO のようなネット配信が(必要な法整備をふまえて)メディアの一角を担っていくというシナリオもあるでしょう。ネット配信に地域性がない点では、地方局の存在に危機感を持っている人は多いかもしれません。

一方、その中身(コンテンツ)はどうでしょう。ウゴウゴルーガが人気を博していた当時、関連書を出していたビレッジセンターが開催したパーティにプロデューサの桜井郁子さんが招かれていました。おそらく1993年頃のことで、そのときのスピーチで「テレビは、もうドラマもバラエティなど、やれることをやりつくした感がある。今は、テレビがどういう方向を目指すべきなのか模索している段階」という話がありました。インターネットが一般化する前から、何かと競合するからという発想ではなく、テレビの将来に対する危機感を持っていた人はいたわけです。

現在のテレビが引き続き視聴されているのが、そうした危機感のあらわれなのかどうかはわかりません。しかし、深夜番組のゴールデンタイム昇格といった流れがあったり、知識ものや、アニメ原作のドラマ化といった流れがあったりして、とりあえず新しいコンテンツは出続けているようです。必ずしも変化したものばかりでなく、wikipedia の「長寿番組」の項目を見ると、多くの番組が今なお放送中であることがわかります。「楽しめる番組のスタイル」の常道は、そうそう変化しないものなのかもしれません。

ときどきテレビとインターネットの融合という話を聞きます。私はこれを聞くたびに「来来圏」(1997年、フジテレビ)を思い出しますし、ネットによる対話性という話を聞くと、使いもしなかったケーブルテレビの双方向機能を思い出します。今、“新しい”と思われていることの多くは、意外に見捨てられてきたアイデアかもしれません。そして、おそらく、今後もテレビの主要な役割が単純な「視聴」であることに変わりなく、魅力ある(視聴率のとれる)コンテンツクリエイターあるいは発信者としての「テレビ」は残っていくことでしょう。

なお、あるある大事典の捏造をはじめ、番組の質の低下といった問題がよく指摘されます。私は、そもそもテレビをみなくなったので何も言えないのですが、昨今の2ちゃんねるなどの「評判」などを見る限りにおいては、これはテレビに限った話ではないようです。質の低下(それがあるとして)を理由に「テレビはもう終わり」という言い方はできないでしょう。

さて、冒頭で紹介したウゴウゴルーガでは、桜井プロデューサーがメインキャラクターの「テレビくん」を演じていたのはよく知られていると思います。番組中、週に一度登場していた食事コーナーも、桜井さんの手料理だそうです。この料理のメニューが番組のプレゼントになったことがあるのですが、めでたく妻が当選し、今でも大事に(引き出しの奥底に)保管されています。:-)

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