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世紀の絶景は今年の11月まで? 文化財保護か経済かで揺れるヴェネチア

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クルーズの旅で最も人気のある寄港地がイタリアのヴェネチアです。近年、就航するクルーズ船が巨大化するにあたり、高さ60メートルの甲板から見下ろすヴェネチアの街が世紀の絶景と人気が高まっています。しかし、その絶景が見られるのも今年の11月までになりそうです。イタリア政府が9万6千トン以上の大型船のベネチア湾の航行を禁止するためです。

理由は人類の宝でもあるヴェネチアの街という文化遺産を守るためです。確かに、超高層ビルを横にしたような巨大な船が誤って街に突進してきたら大惨事です。また船が湾の浅瀬を傷つけることが高潮の原因になっているとの指摘もあるそうです。船から眺める方からしたら絶景でも、街から見上げる船は景観を乱しているいるという声もあります。数年前に座礁したイタリア船の事故がこの決定を後押ししました。

一方で、一度に何千人規模の観光客(それも船旅ということで富裕層も多い?)を運んでくる大型客船は、ヴェネチアの街の経済を潤す宝の船でもあります。経済や商業・物流のルートから外れてしまうと都市が衰退する可能性もあり、港湾関係者や観光業界はこの禁止令に反対し、撤回を求めて行政裁判所に提訴。裁判所がその禁止令を根拠が不十分と停止したとのニュースも出ていました。

文化財保護か、経済か、ヴェネチア市民とイタリア政府は難しい問題に揺れているようです。写真やテレビの旅番組で大型客船からのヴェネチアの眺めを見ましたが、それだけでも目の覚めるような美しさでした。これを肉眼で見たら、やはり感動すると思います。大型船の航行が禁止になるか、先延ばしされるのか、禁止が停止されるのか分かりませんが、世紀の絶景を見ておきたい旅人は、今年の夏休みにヴェネチアに寄港するクルーズ旅行を計画してもよいかもしれません。

昨年からクルーズ旅行にはまってしまった私も計画している一人です。やはり、この絶景は見ておきたいと思いました。

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