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インターネットとそのガバナンスについてつらつらと

IPv4アドレス残り10%を切る

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先週のこと。IANAからAPNICにIPv4アドレスの割り振りがありました。大きさは、/8 == class A相当 が2つ。これによって、IANAにおける未分配IPv4アドレスの在庫が/8で26個から24個へ。IPv4アドレス全体が256個ですから、10%を割り込むということになりました。

このタイミングに合わせて、IPアドレスを管理しているRIRs(地域インターネットレジストリ)の連合団体であるNRO=Number Resource Organizationから、以下のようなアナウンスがありました。

彼らはこの10%切りというタイミングを捉えて「大メディアキャンペーン」を展開するらしいです。

というわけで、JPNICでもこれに反応して何かアナウンスしようと準備したわけですが、どうも10%切りに合わせて騒ぐ、という気分にならなかったのです。どうしてかなと考えるに、今までも既に警鐘を鳴らし、情報を提供し、と言った形で進めてきたという背景があって、10% を切ったから特別にどう、というよりも、今まで同様淡々と準備を促すというほうが良いだろう、という結論になりました。

結果、「IPアドレス分配は、今までと変わらず進めますからね(在庫枯渇までは)」というメッセージを前面に出しました。我(我々)ながら、見事な淡々ぶりです。

一方で、10%切りという契機がそうさせるのか、最近、IT系Web媒体だけでなく、一般紙やテレビなどの取材も相次いでいます。ありがたいことですが、テクニカルタームなしに、目に見えないものの、説明をするということの難しさを痛感しています。

ところで、IANAからAPNICに割り振られたIPアドレスは、1.0.0.0/8 (1.0.0.0--1.255.255.255.255) と 27.0.0.0/8 (27.0.0.0--27.255.255.255) でした。このうち、1.0.0.0のほうはちょっとくせ者です。IPネットワークの構築をやったことがある方は身に覚えが有るんじゃないかと思いますが、評価検証のためにネットワークを組んだりすると、つい、1.2.3.4 とか、1.1.1.1とか、そういうアドレス付けちゃうんですよね。かく言う私も、、最初に扱った機器の検証のときに、、、

これは、完全に内部的に使われているのであれば何の問題もないんですが、実際には、たまにインターネット上に経路情報として現れます。もちろん、あってはならないことなので、誤った経路情報が過去に存在したアドレス空間というのは、みんなからの信頼度が若干落ちるんですね。1.0.0.0/8が実際に使われるのはもう少し後ですが、それまでには何らかの対策が取られる必要があるでしょう。

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