人事院の新オフィスに見る組織発信の本質
先日、人事院の新オフィス(アクセアタワー)の内覧会に参加しました。
人事院本院が2026年1月16日から2月16日にかけて、中央合同庁舎第5号館別館から、虎ノ門アルセアタワーの13階から15階に順次移転とのプレスリリースは昨年12月5日に発表されています。
フロア数を絞り、部門間の偶発的な交流が生まれる動線設計。ABW(仕事内容に応じて働く場所を選べる仕組み)を取り入れ、ポータブル電源を備え、オンライン会議ブースやファミレス風の席、ホワイトボード仕様の机を配置するなど、デジタル時代の働き方に適応した環境が整えられていました。
座席数は十分に確保しつつ、役職者の個室はガラス張りに。閉鎖性を排し、透明性を感じさせる設計です。一方で、前オフィスのソファを再活用し、ビルの仕様に合わせて間仕切りを工夫するなど、無駄なコストをかけない姿勢も印象的でした。
MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を壁面に掲示するなど、「組織として何を大切にしているのか」が空間そのものに表現されています。単なるレイアウト変更ではなく、思想を伝えるための設計になっていました。
さらに、出勤状況を可視化するアプリは内製とのこと。GSS(Government Shared Service)と呼ばれる、デジタル庁提供の政府共通基盤(PC、ネットワーク、セキュリティ、クラウド)を活用している点も印象的でした。
単にツールを導入するのではなく、「自分たちの働き方に合わせて設計する」という意思が感じられます。空間だけでなく、デジタルの領域でも組織の思想が一貫していると感じました。
また、過去の移転を経験した意思決定者が毎回会議に参加することで、判断のスピードを高め、プロジェクトを迅速に進めたとのこと。こうした意思決定のあり方にも、一貫した姿勢が見て取れます。
説明担当の方は「写真は自由に使って構いません」と明言し、スライドもデータで提供。撮影も原則自由(人物や一部エリアを除く)というオープンな対応でした。この"隠さない姿勢"そのものが、信頼を生むメッセージになっていると感じます。
施設ツアーそのものが、組織の考え方を広めるPRになります。参加者はその場で働き方について考え、意見を交わし、その体験をそれぞれのネットワークへ持ち帰る。私たちは往々にして「メディア露出=PR」と考えがちですが、伝え手は記者やインフルエンサーに限りません。体験した一人ひとりが、次の語り手になっていきます。
空間・制度・ツールが分断されている組織は少なくありません。だからこそ、それらが一貫して設計されていること自体が、強いメッセージになる。
自由に、オープンに発信すること。発信先をメディアに限定しないこと。PRの本質を改めて実感した素敵な内覧会でした。