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ログを活用することで行う「見える化」とその効果

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 ナレッジマネジメントを始めとしたシステム導入による効果のひとつに「見える化」がある。例えば社内で誰がどんな情報へアクセスしているかを見えるようにするとなかなか面白いことが起きる。昨日に続いて私自身の経験談で紹介するが、私が現在社内で利用しているナレッジマネジメントツールの文書共有メニューには、社内のノウハウである各文書へのアクセス履歴とこれまでの合計件数が表示されるようになっている。そう文書へのへのアクセスログをユーザに公開して最近のBlogにある足跡機能のようなものを実装しているのである(画像参照) Shikisai

 この機能は非常に小さい機能であるが実はかなり有益である。まず文書ごとのアクセス合計件数を使うことで社内のノウハウのうち利用率の高いものをピックアップすることができる。ちなみに私がこの機能を使うタイミングは非常に忙しい時と非常にヒマな時である。忙しいときには全文書を上から順番に見ていくのではなく皆が最近良く使う文書の傾向を把握することで最低限の状況把握を行い、逆にヒマなときは皆が良く使っているが自分が見たことがない文書を中身までじっくりと読み込み勉強をするのである。

 これは別に皆と同じことをしたいとか自分だけ取り残されるのが嫌なわけではない。私のように現場の第1線にいるものにとっては、同様の立場にいる人間が注目している情報を把握しておくことは営業活動や提案活動を行うためには非常に参考になるのである。皆が注目している情報は、顧客からの注目の高い情報であったり社内で見逃してはいけないノウハウである可能性が高い。アクセス件数という指標をとおして今はやりの集合知を活用することができるのである。

 先日のエントリーで企業内ソーシャルブックマーク(SBM)には期待できるかもしれないというような内容を書いたが実はこれを書いた根拠はこういう経験にある。

 ちなみに私の使っているシステムでは、アクセス件数をクリックするとさらに細かく各ファイルをダウンロードした人の名前の一覧が表示されるようになっている。このアクセス履歴も私にとっては便利な機能である。私も外部で講演した資料や提案書をこのシステムに登録することがあるのだが、この資料をダウンロードした同僚が随時把握できるのでこの情報を使って、見込み客やリードなどが足りない時にこちらから逆にダウンロードした人に利用用途を聞くことが出来るのだ。私のようにプロダクト担当の営業・マーケティングをしている立場の人間にとっては、実際にマーケット別の担当営業を介して実際の顧客先に出会うための嬉しい仕掛である。

 他にもアクセス件数が可視化されるため競争意識が働くといった効果もあるが、こういった「見える化」の効果については、POLAR BEAR BLOGの「ネットで社内競争」というエントリーでも以前に同じような話題が出ていたので、ユーザ側の意識改革へ「見える化」が働く効果は案外高いと思っている。

 特に最近では、内部統制の強化やセキュリティチェック、トラブル時の原因追及などの理由で、企業内システムで様々なログを取得する動きが盛んである。Webサーバへのアクセスログやメールの送受信記録だけでなくPC端末の操作記録をすべて記録保管するような企業も増えてきている。しかしながらそうして取得したログは蓄積・保管されるだけとなっている企業も多い。いざ事件などが起きればこうして保管したログを掘り起こして原因究明などに活用するのであろうが、定常的にログを上手に活用している企業はあまりないようだ。今日のエントリーで紹介した仕組みはこういった過去に取得したログを有効に活用する事例としても参考になるのではないだろうか。

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