クルーザーなんて、格好つけたIT経営者のステータスだろ?と思うよね
ジャストプランニング(2001年 JASDAQ上場)の創業社長で現会長である私の弟がクルーザーを買ったということで、ゴールデンウィークに家族でのってきた。
「クルーザーを持っている」
というと、なんだか、IT会社の経営者のステータスという響きがあり、私のような、しがないサラリーマンには、
「すごいなー」
という気持ちと共に、
「自慢ね。はいはい。あんたはお金持ちですよ」
という、ひがみとも、やっかみともつかない気持ちがこみ上げる。
朝6時ごろ、有名人の船がたくさんとまっているという、横浜のハーバー(船着場?)に向かっていると、弟の車が追い越してきた。メルセデスのスポーツカーで後ろにはAMGという見慣れない文字が書いてある。 ははー、やはりね。
しかし、いざ、この10m強のクルーザーに乗り込むと、
経営者のステータスなんてものではないことがすぐにわかる。
「単なる釣りバカ」
なのだ。
誰かが船を操船するのかと思っていたが、船舶免許を取得し、自分で操船し、魚類探知機と睨めっこしながら、私の子どもたちでもつれる釣り場を探し、子どもたちが
「また、釣りがしたい」
と言ってもらえるよに最大限の工夫をしているのである。
釣りが好きで、みんなにも釣りが好きになって欲しいだけなのだ。
今日で、3日連続でこのクルーザーを操り、釣りをしていらしい。真っ黒な顔にねじり鉢巻をして子どものような笑顔で釣りを楽しんでいるのだ。
気さくで、バイタリティにあふれ、ホスピタリティの塊のような、この弟が私は好きだ。子どもたちも、この単なる親戚のおじさんが大好きである。
昼ごはんは、近くの島にとめて刺身のおいしい大衆食堂に行く予定であったが、船着場がいっぱいのため、カツオをつる仕掛けを引きながら横浜の南にある「クルーザーを乗りつけられるレストラン」前に船を着けて食事をした。
会話はもちろん「釣り」である。釣りのことを子どもたちに面白おかしく話をする。
クルーザーなどというものは、けっして優雅なものではない、波を蹴って走り、船酔いと戦い、ひたすら釣りをするのだ。優雅にVIPらしくシャンパンでも飲むような世界ではない。釣りが好きでなくてはまったく意味のない乗り物だ。
もちろん、3千万円以上する乗り物なので、成功した一部の者だけが手にすることができるおもちゃであることは事実だが、「格好つけたIT経営者のステータス」ではないことだけは確かのようだ。