言葉では伝えられないことがある。だからメール Price less~子供にネットを教える(3)
午後の会議中に、高校生の娘の携帯から次のようなメールが届いた。私と妻があて先になっていた。
「最近、ケンカが多いお父さんとお母さんへ
いろいろ、大人にしかわからない事情~ってものがあるんだと思うけど、子供の前でケンカしないで欲しいわけで。 特にケントなんか、まだ小さいから、すごくく気をつかってるだろうし、かわいそうだよ。二人ともガンコだしね。
お母さんはもっとお父さんを大切にしたほうがいいと思う。、、、」
昨晩、”どちらが子供の美容室代を払うか”という、つまらないことがきっかけで妻と喧嘩になったのだが、娘はその事がきになっているらしい。娘のメールは続く。
「だから、いろいろ考えたんだけど、大学は公立へ行きたいと思います。ああやって、お金のことで喧嘩しているのを聞いてると、私立に行きたいなんて言いたくないし、それに、やっぱり最初から行きたいと思ったところに行きたいんだよね。浪人してもいいかと思うわけよ。 プライドもあるしね、、、」
会議中だが、お母さんとは仲直りする、進学の件は週末に喫茶店で話しようと短くメールで返した。
しばらくすると小学校4年生の息子から届いた。息子は学校から帰ってきてから迷惑メール対策をフルに設定したYahooメールを利用している。
「おとうさん サッカーボールのくうき入れてください。ポケモンフェスタがあるからつれていってください。きのうは楽しかったです。ありがとう。」
平日は息子が起きている間に帰られないことが多いこともあるが、会えたとしても帰宅したときに妻や子供達から言われると、私が面倒くさがることを気遣って、頼みごとはメールで送ってくる。
いつものようにサッカークラブから帰ってきた後、自分が連れて行ってほしいところを子供向けポータルサイト探してポケモンのイベントの件を連絡してきたようだ。前半は妻から言われて書いたものだろう。
息子とほぼ、同時に今度は妻からメールが届いた。
「スズメがバルコニーの手すりにとまらないように釣り糸を張ったんだけど、釣り糸の両側をとめたガムテープにスズメが貼り付いちゃって、暴れていたと思ったら、釣り糸に足が絡まって、すずめがガムテープくっつたまま、ぶら下がってバタバタしているのよ~!怖いから早く帰ってきて救助して~!これじゃあ、私、舌切り雀の意地悪ばあさんよ~」
と返信が来た。 喧嘩の翌日なので「君は生まれつき意地悪ばあさんだよ」と返信しようかと思ったが、ベランダの手すりにぶら下がっていバタバタしているすずめの姿と、それをカーテンの隙間から呆然と見ている妻の姿が浮かび、思いとどまる。 妻は、娘が夫婦喧嘩を気にして送ったメールを読んで、すずめの件を話題にして仲直りしようとしているんだと察した。
そして、妻との喧嘩は、私が明日の朝、元気に「おはよう」と言えば収まるし、週末に妻と二人で喫茶店に行ってお金の件を話し合い、娘と二人で進学のことについてちゃんと話せば良い。
<メールだから言えることがある>
メールというのは、家族のコミュニケーションの潤滑油として重要な役割を果たす。
もし、私が家にいて、実際に顔をあわせていたとしたらどうなるだろう。
妻はそっけなく「サッカーボールに空気入れといてね」と言い、私は「はい、後でやっとくよ」と返す。そして、しばらくしたら「早く空気入れときなよ。明日なんだからね」「あとでやるってばー」「あ、スズメが引っかかってる。あっちも何とかしといてね」「はいはい、後でね」「今やって、今」「もーうるさいなー」となるだろう。その場に娘がいたとしても、「もうケンカやめてよ!」と感情的に言うか、何もいわずに部屋にいってしまう可能性が高い。
これが、電話だったとしても、うまくいかない。手紙という手もあるが、メールほど気楽にかけない。 電車の中や仕事や遊びのちょっとした合間に書くことができないからだ。
家族のように日頃から近い関係だからこそ、本当に困ったときや、素直な意見はメールの方が書きやすいのである。 メールは、本当の気持ちを伝えることに極めて重要な役割を果たしてくれるのだ。 そして、何より子供とのメールでのやりとりが潤滑油になるのだ。
子供が大きくなったときに、メールが家族の潤滑油を果たしてくれるように、するためには、子供が小学生のうちにいくつかのことを親子で身に着けておかなくてはならない。
<親子で学ぶべきメールコミュニケーションのポイント>
1.小学校4年生になったらパソコンのキーボードによる文字入力を覚える
小学校2年生ぐらいになると、インターネットのホームページをクリックするというレベルの利用を行っていることは多いだろう。しかし、ローマ字をならい、自分の意思を伝えることが出来るようになる小学校4年生には思考の邪魔にならない程度の文字入力技術が必要だ。
2.誰かに何かをして欲しい時、やめて欲しいときは、自分がそれでなぜ困るのかの理由と自分の素直な気持ちを書く
妻や子供に「口の利き方が悪い」「ゲームやらずに勉強をやれ」「食事の時は両手をテーブルに出せ」「出したものは片付けておけ」
と言うと、自分のストレス問題は解決したとしても、相手の行動や癖はなかなかなおらない。 命令や指示されると相手は反発するか、「やろうと思ってたのに」と不満に思ったり、「はいはい言ったとおりやってりゃいいのね」と自分で考えず、人に責任を押し付けるように育つ可能性がある。
しかし、「帰りが遅くて、とっても心配だった」「ゲームばっかりやっているのを見ると、なぜかとてイライラするので助けて欲しい」のようなメッセージを伝えるだけで、相手は、いずれ自分なりの考えで協力してくれる。
3.リスクなしで大もうけ勧誘メールは100%詐欺
「そんなに儲かるなら、なぜ他人に教えるんだ?」と不振におもいながらも、お金が苦しいときほど、ついつい手を出したくなるのが、ノーリスクの金儲け話だ。 リスクのない金儲け話は100%詐欺であることを親子で肝に銘じよう。また、「ラッキーメール」「100万円プレゼント」といったものは、商品の送付先とか無料会員登録という形で個人情報をとるのが目的の場合が多い。
「努力のないところに成功はない」ことを教育する意味でも重要だろう。
4.絶対に信用できるメール以外は友達に転送しないこと
お宝画像とか、様々な耳より情報がメールに届いた場合や「10人に送ると幸せになります」のようなものは、絶対に信用できるもの以外は、友達に転送しないようにしよう。 そのメールがきっかけで、騙されたり、何かをとられる可能性がある。 あなたが加害者になり、友達から信用を落とさないために。
5.携帯電話を欲しがったらお金銭感覚を身に付けさせよう
メールといっても、今は携帯を利用したがる場合が多い。携帯1台で年間6万円程度が必要になる。使う子供は携帯代がどのぐらいなのかわからないまま使うことが多いようだが、この携帯は毎月5千円だぞ!と口すっぱく言っても実感がない。
我が家では、携帯電話代はお小遣いで払うことになっている。お小遣いを3千円増やしてあげて、月々のおこずかいは月の使用料金を引いた額を渡している。安い携帯コースを自分で探し、毎月の利用も控えるようになる。
6.メールによる誹謗中傷や友達とのトラブルが起きたら。
相手の行動を止めさせようとしたり、相手を責めたりせず”2”と同じように、自分の気持ちを素直に伝えよう。相手が子供であればあるほど、相手からの指摘や指示に従うことを屈辱的に感じ、従わない。 しかし、相手を責めない自分の素直な気持ちには応じてくれることが多い。以下が、一つの参考例になるだろう。
http://blogs.itmedia.co.jp/kenjiro/2008/05/it-b31d.html
7.セキュリティ、ウイルス対策を万全に
気持ちよくメールでのコミュニケーションを行うためには不可欠だ。これはお父さんの仕事としてしっかりやっておこう。
別途ネットセキュリティ、ウイルス対策、メールセキュリティ、フィルタリングなどを紹介するが、割と簡単に、無料でかなり充実したセキュリティ、ウイルス対策が行える。
8.パソコンの画面は、他人からは見にくいような場所、方向に
大人であっても、入力している最中の文章やインターネットを使っている画面を見られたくない。フィルタリングや迷惑メール対策を万全にした上で、それ以降は自由に使わせてあげよう。
9.二人だけの秘密をつくる
私は、このブログでも書いているような、マイミクとのデートなどの話を子供だけにしている。 そして、長女、次女は彼氏のこと、息子は大切なものを無くしてしまったことを私だけに話している。
このように、子供と二人だけの秘密を作ることは、何でも話せる関係を作るためには重要だ。 これらの話は当然、メールの世界だけで行われる。
今、複数の家族に、親子のネット利用で親子の絆を深め、問題解決力の高い子供に育てる試みを行っている。ポイントや利用ガイドラインがブラッシュアップされ次第公開していく。