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間にあった!定期券を紛失、ApplePayのSuicaに切り替えたら~移動の落とし穴まとめ~

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今年から息子が都内で小学生になりました。子どもがひとりで身支度できるようになり、子どもを置いて出張に行くのが楽になりました。また、学校のスケジュールに家族が左右されるようになり、つまり子どもの学校がない時は家族旅行のチャンスになります。こうして、家族ともども旅づいた中、経験した移動にかかる恐怖の落とし穴をまとめてみました。

プールと海.jpg

■定期券をなくした

最初のアクシデントは去年、自分が通勤時にうっかり、定期券のSuicaカードを落としてしまったことでした。当日すぐに見つかったものの、紛失に気づいた時の動揺(仕事が手につかない...)、受け取りに行く疲労(保育園のお迎えに間に合わない...)を経験。すぐに見つかる日本の治安に感謝しつつ、このカード一枚に翻弄されるとは...と脱力感に座り込んだものです。

金魚.jpg

■UBER、LYFTの快適さ

その後、カリフォルニアからラスベガスにかけて家族旅行に出かけました。タクシーは待たせられる、料金が割高なのに運転手のマナーが悪い(大声で電話しながら運転、止めろといっても"ごめん"ですまされるなどなど)。一方でUBERやLYFTは便利で快適(現金不要、支払の手間なし、地元の運転手との会話が楽しい、クルマを大切にしているので乗り心地がいい)と、移動の明暗を痛感。後者を選ばない理由がまったく見つからず、一気にデジタル配車派になりました。

Disney Land California.jpg

■iPhone XでモバイルSuicaアプリデビュー、盲点だったダウングレード体験

そこで自分の定期券の更新時に、iPhone X端末上のモバイルSuica(電子乗車・定期券)アプリケーション(アプリ)に切り替えました。これで、カード状の定期券をうっかり落とすリスクは減ります。スマートフォン一つですむ、快適なデジタルモビリティの始まりです。一方で、これまで何年も使ってすり減ったカードのSuicaが、瞬時に無用になるのは不思議な感覚でした。

しかし若干困ったことがありました。以前はカード状のSuicaをiPhone Xのケースに入れていたので、Suicaの電子マネー機能を使ってコンビニエンスストア、自動販売機、タクシー、レストランなど、幅広い支払がスマートフォンを持っていればできました。しかし、SuicaをiPhone Xに取り込んでしまったいまや、わたしのSuicaアプリに登録しているクレジットカードはVisa(注:手持ちの2枚のうち銀行系はWallet登録できず、JAL カードの家族会員カードは登録できたので、後者を使用)、ApplePayと連携していないので、支払に使えないのです。iPhone XのSuicaアプリは、カードだったときの支払機能を無くし、電車のみの使用に限定されてしまいました。これでは、いわばダウングレードです...。

流れる川.jpg

■現金がない...の恐怖体験

そうこうしているうちにギリシャ、クレタ島で国際会議の出張が入りました。現金は空港で1万円のみ換金。なぜならホテルはクレジットカード払い、2日間の会議を終えて最終日の午前中は観光ができたとしても、帰国までお金を使うところはほぼないからです。会議は成功、最終日はクノッソスの遺跡ツアーに参加し、歴史の重厚さ、神話にやどる人の想像力の豊かさに、旅の疲れが吹き飛び、力がみなぎりました。

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さて、ホテルに戻って荷物をピックアップし、帰りの空の長旅を始めよう、と、クノッソス近辺でタクシーをつかまえ「クレジットカードでいいですか?」と聞くと「OK」。しかし車が走り出して違和感を覚えたので、ふたたび「クレジットカードしかない、現金はない、クレジットカード大丈夫だよね?」と聞くと「現金オンリー」との返事。殴ってやろうかと思いましたが、暴行事件で捕まりたくないのと、相手のほうが明らかに力ある若い男性なので、おとなしく相談。

すると、「ATM(現金自動預け払い機)がある」との返事。実は成田からギリシャまでの経由地イスタンブールの空港で、クレジットカードがPINコード失念により使えなかった(以前、シンガポール空港でも同じことをした)という経験があったので、ATMには大きな不安がよぎります...。

クノッソスの街の壁に埋め込まれた古いATMを前に、わたしのクレジットカードは機械に入ったり出たりを繰り返すのみ...。飛行機の時間が気になり、パニック寸前で「だれかー、たすけてー!」と叫ぶと、わたしのタクシー運転手のお兄さんが飛び降りてきて、お金をおろすのを手伝ってくれました。その「大丈夫、大丈夫」と優しい笑顔に、思わず「ひーっ」と泣きそうになりながら、現金を手に安堵。クレタも治安が良くて助かった。余談ですがここで身に沁みたのは、場合によりOKやYesは、あいづちであって、合意の意味ではないということでした。

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■増税前に定期券を更新しよう

そんな海外での騒ぎがあり、現金の強さを実感。それからは、フィジー、熱海、鴨川など、子どもの初めての小学校夏休みを彩る旅でも、地元の足回りやオプション支払いなどの随所で、現金は必要でした。その夏休みの狂乱も終わって早9月。今年は10月の消費税増税を前に、定期券の更新はいつにも増して忘れたくないものです。

iPhoneのSuicaアプリはやはりよくできていて、定期券の更新時期が近づくと、改札口に接触時のやさしい動き(ハプティクス)や、メールでお知らせしてくれます。おかげで、9月12日までの定期を忘れることなく、9月にはいって早々に更新しようと、みどりの窓口に向かいました。そこで言われたのが「定期券はいったんアプリに取り込むと、以後すべての変更はアプリ内で行っていただけます」。

つまり、みどりの窓口では何もできない、ということでした...。

モバイルSuicaメール.png

考えてみたらそれはそうだ、と自分の浅はかさに気づき、iPhone X相手になんども定期券の継続購入を試みます。

気をつけなければならないのは、Suicaアプリでいったん改札の中に入ってしまうと、出るまで定期券購入の操作ができないこと。電車の中という最大の隙間時間中に、定期券を更新することはできません。いらいらしながらようやく改札の外に出て、購入手続きを再開すると、クレジットカード登録の画面になり、何度となく登録をしても「このカードはすでにWalletにあります」という画面で止まり、それ以上進めません

このSuicaはWallet.PNG

何度も試して諦めて、次にiPhoneのSuicaアプリに最大限チャージして、そこから定期券の継続更新料を支払えるかを試しました。しかし、チャージ可能な金額上限が、定期券代に満たず、それもうまくいきません。

Suica Max charge.PNG

こうして2、3日かけてなんども試してようやく気づきました。つまりこれは遠回しに、iPhone XでモバイルSuicaを継続購入することはできない、ということなのです...!

■わたしが使っていたのはApplePayできないSuica!

そこでようやく、ようやく意味がわかりました。JRが「ApplePayのSuicaをはじめる」と書いているとおり、わたしが使っているのは、iPhone Xという"端末"だけではなく、ApplePay"経済圏"の中のSuicaアプリなのでした。そしてそこには、わたしが使うVisaカードは入っていないため、逆立ちしても決済が成立しないのです!

木を見て森を見ず、とはこのことでした。わずか半年前に、意気揚々とカードからデジタルトランスフォーメーションしたわたしのSuicaの運命は、このまま存続することは不可能。iPhone Xを出てカードに戻るか、同経済圏で使えるビューカードを新たに作って支払するか、の二択しかないのです。上述のダウングレード時に気づくべきだったのですが、人は想像できないリスクには気づきづらいものです...。

同様の焦りを覚えた経験を持つ「はたらく秋葉原のWeb担当」記事を見つけて疑問は解決。やはりわたしのVisaカードでは、ApplePay経済圏で生きていけないと悟りました。そしてCoinWithの解説記事を読んで、ビューカードを作る良し悪しを吟味しながらページ下の申込を何度かクリックして...、iPhone Xを触る指を止めて考えました。

■ビューカードを作っても間にあわない...

わたしは、クレジットカードを増やしたいですか?手数料を払い、損得を考え、購入履歴、信用、ポイント、などまたいろいろなデータを増やして管理する手間をいとわない人間ですか?答えは、いえいえそんな立派な人間ではございません。。。

いや、それにそもそも、ビューカードを作るのにかかる日数は1週間その前にわたしの定期券は有効期限が切れてしまう。作ったところで継続購入に使うには間にあわないのです。

それは止めるしかないねぇ」という気楽な夫の声に背中を押され、手元のiPhoneでぽちっと支払い手続き完了。インターフェイスはスマートフォンならではの入力しづらさがありましたが、ものの数分で終わりました。

Suicaエラー.PNG

■おかえりSuicaカード!

それから駅に向かい、みどりの窓口に受け入れてもらえる喜び。待ち時間すら、さまざまなパンフレット、駅員の対応などに目が行き、すべてが信頼を象徴するタッチポイントに見えます。週末で列がないことも幸いして、10分足らずで定期券は私の手もとに6カ月ぶりに戻ってきました。おかえり、もう落ちないでよ!

おかえりSuica.jpg

これにかかった金額は、アプリでの払い戻しに220円、カード発行に500円、そしてモバイルSuica期限切れまでの5日間の定期券分 約830円相当で1,550円程度。勉強代と考えれば許容範囲でしょう。

■アナログとデジタルの居心地

いやー、大変だった。こうやってこの1年で、だいぶ移動にかかるデジタルとアナログの間を旅しました。

世界は広い、日本も広い、自分がどこを拠点に生活するかで、ベストな支払い手段の組み合わせは変わる。

土地、経済圏、便利さの選択と、愛着や習慣の組み合わせが、個人にとっての最適解の見つけ方なのだろうな、と思います。

調味料と同じで、どちらがいいではない、必要なのは組み合わせですね。

注:

Visaカードの種類によりiPhone端末のモバイルSuicaアプリへの登録、決済の可否が異なるようです。わたしの手持ちのVisaカード2枚のうち、銀行系VisaはそもそもiPhoneのWalletに登録できず、JAL カードの家族会員カードは登録できましたが、決済ができませんでした(カード登録時には問題ないので気づかず、定期券切れ直前のアプリケーション誤作動で気づいた次第)。なおビューカードと提携していないANAのVisaカードで、iPhoneのモバイルSuicaで問題なく利用できる事例がありました。

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