「わかりやすく書く」ための、役に立たないコツの話
文書化能力向上コンサルタントの開米です。
5月に技術評論社から書籍を一冊出します。
そのための原稿を書いているところなのですが、ちょっとその一部をご紹介しましょう。
書籍の一部ですから、前後のつながり等がないとわかりにくい部分があることはご容赦ください。
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(前略)・・・・プログラムを書いたりログを解析するのは得意だけれど書類を書くのは苦手、というエンジニアが少なくないのも事実です。そんなエンジニアが「わかりやすく書く」ためのノウハウを探してたどり着く情報の一例をあげてみましょう。
【わかりやすく書くためのコツの例】
A.二重否定を使わない
B.漢字を減らす
C.一文を短くする
D.語尾を統一する
E.二重敬語を使わない
F.箇条書きを使う
G.主語と述語を近づける
他にもいろいろとあるのですが、きりがないので7つで止めておきます。これらはいずれも「読みやすく理解しやすい文章を書く」コツとしてはだいたい正しいことを言っています。しかし、正しいからといってそれだけで役に立つわけではありません。
上にあげた「7つのコツ」のようなものは、ざっくばらんに言えば「文章をこぎれいに見せるためのテクニック」であり、わかりやすく書くためにやらなければいけないことの全体の中では1割程度の重みしかありません。では、残りの9割はどのようなことでしょうか?
残りの9割は、文章を書く「前に」必要な作業です。おおまかに次の図のようなイメージで考えてください。
重要なのは、「文章を書く」のは最後の段階であり、マラソンに例えるならそれはラスト400メートルだということです。ゴール前の400メートルが意味を持つのは、それまでに大差がついていないときだけです。
ですので、「文章のテクニック」だけに気を取られないようにしてください。実際には文章を書き始める前の作業でほとんどの勝負が決まります。
実際には 「文章を書く」 段階のテクニックをいくら覚えても、その前がしっかりしてなかったら役に立たないんです。 そっちのほうが遙かに重要だというのにです。 ・・・・(以下、後略)