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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

「空飛ぶクルマ」で渋滞解消は無理じゃないですか

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「空飛ぶクルマ」発進目前! という記事が目に入ったので久しぶりに感想を書こうと思いました。

↓該当記事はこちら

テクノロジーが拓く未来の暮らし Vol.19 「空飛ぶクルマ」発進目前!

以下少し引用しますと、

2020年8月25日、日本中がとあるニュースに湧いた。

そう、国内で初めて「空飛ぶクルマ」の公開有人車両試験飛行が行われたのだ。わずか数分間ではあるが、車両が宙に浮かび、移動する姿は「空飛ぶクルマ」の実用化が間近であることを多くの人に知らしめるに十分だった。

(中略)

「空飛ぶクルマ」は交通渋滞の解消や物流サービスの効率化などにつながるとして、世界で開発が進められている

......だそうですが、ちょっと無理があるなあと思わざるを得ません。

空は3次元空間だから2次元の平面に制約される道路よりも自由に飛べる、と思いたいのはわかります。道路のほうは2次元と言いつつ実際は線状ですから1.5次元ぐらいしか使えてませんしね。

でも、たとえ「空飛ぶクルマ」自体が発達しても、離着陸がボトルネックになるので交通システムとしてはそんなにうまくはいかないでしょう。

既存の地上タクシーだったら、一部の禁止区間を除いて道路のどこででも乗降できますが、「空飛ぶクルマ」が離着陸できるスポットはそれよりも圧倒的に少なくなるのは自明の理です。つまり移動の自由は案外向上しません。

しかも、普通に考えて離着陸時は周囲半径5メートルは立ち入り禁止にするぐらいの安全離隔距離を取る必要があるでしょうし、一機の発着に3,4分はかかると思われます。

現在の繁華街のタクシー乗り場だったら毎分数台ずつ発車していくのは普通ですが、そんなペースでの離着陸はどう考えても不可能なわけです。

ということは、地上の渋滞緩和に意味があるほど「空飛ぶクルマ」が飛び回ったら、離着陸スポットで渋滞が起きるだけ。

もしそれが起きないほど離着陸スポットを増やせるぐらいに空き地のある地域だったら・・・そういう地域って今のクルマで十分でしょう?

というわけで、「空飛ぶクルマ」は実用にはなるでしょうが、「ヘリコプターよりは安い」という程度の「スペシャルな交通手段」としての位置づけにとどまり、「交通渋滞の解消」というようなインパクトが起きることはありえないです。

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