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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

新社会人は報道を鵜呑みにしない姿勢を身につけよう

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 「新社会人は」なんてタイトルにつけてしまいましたが、すいません、単に僕が書きたいだけなんです。この話は。新社会人にこじつけてるだけです。内容は旧社会人(?)にも当てはまります。

 とにかく! 報道を鵜呑みにしてはいけない、ということ。新聞やTVで「報道」と称して流れる情報の半分以上は何らかの嘘や間違いが含まれると思ってかかったほうがいいぐらいです。このことは新社会人はいまいちピンと来てないと思いますが、いずれ自分の業界に関する報道を見れば見るほど「あれえ~?」と思うようになることでしょう。

 とにかく世の中には誤った情報が多いので、それに振り回されないためには「自分で考える」ことが必要です。とはいえ「自分で考える」といってもどうすればいいのかわかりませんよね。
 「自分で考える」ために大事なことをとりあえず2つ挙げます。

極力、一次情報に当たること
一次情報を自分で整理する習慣をつけること

 一次情報、とは何か。たとえば北朝鮮による人工衛星と称する飛翔体打ち上げ事案を報じる次のリンク先の記事には

政府関係者「不意を突かれた...」官邸は情報出さず
http://news.tv-asahi.co.jp/news/web/html/220413051.html

「Jアラートは警戒を促すためのもので、発射された模様という段階で官邸から第一報が流れることになっていました」

 とあります。これは一次情報ではありません。一次情報というのはJアラートを運用する責任者側、つまり政府側の情報でなければならず、上記記述はその一次情報を記者が解釈して報じた二次情報です。

 結構この「記者の解釈」が間違っている場合がよくあるんです。それを知らないと、記者がおかしな解釈で書いた二次情報を信じ込んで大事な意思決定をしてしまいかねません。くれぐれも一次情報を確かめる習慣をつけましょう。

 というわけで一次情報を探しに行くと例えばこれがそうです

J-ALERTの概要
http://www.fdma.go.jp/html/intro/form/pdf/kokuminhogo_unyou/kokuminhogo_unyou_main/J-ALERT_gaiyou.pdf

 これを読むと、「弾道ミサイル情報については原則として同報無線等を自動起動して、国から住民まで緊急情報を瞬時に伝達する」・・・と書かれているように見えます。

 なるほど、記者の解釈が正しいじゃないか、と思ってしまいがちですが、元の記事のように「批判的な論調で」書かれている記事については、批判されている当事者側の言い分を聞くのも大事です。
 というわけで批判されている政府側の記者会見を確認しましょう。これも「当事者」が語った一次(に近い)情報です。

官房長官会見の要旨=北朝鮮ミサイル(時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012041301060

ここには次のような質疑応答があります。

質問:飛翔(ひしょう)体が日本に向かっている場合に限りJアラートを活用するということは、事前に関係自治体に伝わっていたのか。
回答:消防庁国民保護運用室長名で、各都道府県に対し、市町村や消防機関に周知するよう連絡していた

 「飛翔(ひしょう)体が日本に向かっている場合に限りJアラートを活用する」と、「事前に決まっていてそう周知していた」と官房長官は会見してますね。

 これは初めに挙げた「記者の解釈で書いた二次情報」である「「発射された模様という段階でJアラートを使う」との記述とは食い違っています。さて、どちらのほうがより真実に近いのでしょうか? ここで、結局は自分で考えて判断しなければならなくなります。そういう経験を積んで判断力を上げていくことが必要なわけです。

 ちなみにこんなふうに一次情報をたどっていくとあっちこちで矛盾が出てきます。
 だいたいにおいて、「記者が批判的な論調で書いているもの」はそうなります。
 ・・・というより、「批判・賞賛を問わず、記者が自分の評価を加えて書いているもの」はどうしても一次情報と矛盾するものが多くなります。

 だから、そういうものは十分に注意しなきゃいけないんですよね。

 ちなみに私の経験上、報道のニュアンスと政府見解が食い違っている場合は、「報道のほうが間違っている場合のほうが多い」です。
 とはいえもちろんいつどんなときもそうなるわけではありません。
 どっちのほうが正しいのか、あるいは真実は別にあるのか? は、個別の疑問ひとつひとつについて精査していかなければわかりません。
 だから、

極力、一次情報に当たること
一次情報を自分で整理する習慣をつけること

 これはぜひ意識しておきたいわけです。

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