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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

文書化研究No.5: 「しくみ-状態」ペアのBefore/After

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こんにちは、文書化支援コンサルタントの開米瑞浩です。

難しいことをわかりやすく書きたい人のための文書化支援」と、それに関連した企業研修を本業にしているため、たとえば↓こういう文章をどうわかりやすく改良するか、という工夫に日夜頭を悩ませています。

RSSとは、Webページのタイトル、見出し、要素(本文)、更新日時などの属性(summary)をXMLフォーマッ トで記述して、各ページの更新情報を公開するためのしくみです。XMLフォーマットで記述されたRSSフィードを、RSSリーダーと言われるソフトに読み 込ませることによって、更新情報が自動取得、閲覧できます。これにより、ニュースサイト、ブログなど、自分の関心事に沿った情報を、効率的かつ習慣的に取 得することができます。
あれ? 以前見た記事と同じじゃないか、と思われた方、その通り! この例文だけで実はいくつもネタがあるんですよね。

今回は、「しくみ-状態」ペアのBefore/Afterという観点で検討します。

今回見るのはこのフレーズです。

効率的かつ習慣的に取得することができます
これ、「改良」を語っている文ですよね。「改良」を語るのであれば、「以前は○○だったが、改良されて××になった」のように「比較」することが望ましいところです。比較が明示されていないと、既にその知識をもっている人でなければ「改良」を実感することができませんので。

 というわけでその欠点を直した改善案を書くと、こうなります。

(Before/After比較文)
自分が関心を持っていて、更新されたかどうかを常時チェックしたいサイトが多数あるとします。そのとき、RSSを使わない場合は、その多数のサイトをいちいち開いて「更新されたか?」を自分の記憶と比べて確かめなければなりませんが、RSSを使うと多数のサイトから更新された情報のみ集めてまとめて一画面に表示してくれるため、手間を省くことができます
 この改善案は「しくみ-状態」のペアでBefore/Afterを比較していることにも注目してください。

 「こんなしくみだから、こんな状態である。それが新しいしくみになると、その結果、新しい状態を実現できる」というわけです。「しくみの変化」を、その結果「できることの変化」にひもづけて語れると、わかりやすくなる場合が多いので、

「改良」を語るときは比較が重要
「しくみ-状態」ペアのBefore/After

 と意識してみてください。また、「状態」はこの他にも「機能」や「効果」「特性」などの名前で呼ばれることもあり、「しくみ」は「メカニズム」や「機構」と呼ばれることもあります。
 具体的な呼び名は違っても「しくみ-状態」のペアはよく出現するパターンなのです。

↓この内容はPDFファイルにもまとめてあります。

開米の文書化研究ノート No.5 「しくみ-状態」ペアのBefore/After

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開米の文書化研究ノート コーナー 


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