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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

原子力論考(32)信頼のおける発言者を見分ける糸井メソッド

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 著名なコピーライターの糸井重里氏が原発事故の少し後にtwitterで書いていたことが、実に実に "なるほど!" な感じなので紹介します。

 大元は2011/4/25に糸井氏がtwitterで↓
http://twitter.com/#!/itoi_shigesato/status/62361426609704960
ぼくは、じぶんが参考にする意見としては、「よりスキャンダラスでないほう」を選びます。「より脅かしてないほう」を選びます。「より正義を語らないほう」を選びます。「より失礼でないほう」を選びます。そして「よりユーモアのあるほう」を選びます。

 と書いたもの。(リンク先は時間が経つと消えると思いますが、2011/11/28現在はまだ残ってました)

 なぜこういう基準で「参考にする意見」を選ぶのか。その理由を私なりに考えてみて、つまりこういうことではないかな・・・とまとめてみました。



 つまり、「間違っていたときの軌道修正がしにくくなるスタイルの意見表明の方法は取らないようにしよう」という基準なのではないか? ということです。

 たとえば私が他の誰か、仮にAさんと意見が対立したとしましょう。
 当然、最初は私なりに「自分が正しい」と思ってAさんと対立するとしても、人間誰しも間違えることはあります。「実はAさんのほうが正しかった。俺は間違っていた」とわかったとき、どうするべきでしょうか?

 まあ普通に考えたら「私が間違っていました。Aさん、あなたのほうが正しかった」と言ってAさんに合流すべきですが、「糸井流・5つのべからず」をもしやってしまっているとそれが難しくなるんですよね。

 もしAさんのスキャンダルをほじくるような批判をしていたら、あるいは失礼な言動を取って怒らせていたら、Aさんと和解するのは難しいです。
 「Aさんは悪玉だ。俺のほうが正義だ」と正義を盾にして自分の正当性を主張していたら、「実はAさんのほうが正義でした」と前言を撤回するのは難しいです。
 「Aさんを信じると不幸なことが起こる。大勢の人が死ぬ」なんて脅迫的言動を使って人を動かそうとしていたら、それは間違いでした、とは言いにくいです。
 それでも、そうした言動をユーモアに包んでいたらまだ笑ってごまかすことができるかもしれませんが、ユーモアなしでは救いようがありません。

 というわけで、もし「糸井流・5つのべからず」をやってしまうと、自分が間違っていたときにそれを認めて軌道修正をするのが遅くなります。
 そして、人間はどこかで間違えるに決まっているので、「間違いを認めにくくなるような言動」を普段からしていると、だんだんそれが蓄積していってしまいには間違いだらけになってしまうことでしょう。

 だから、「糸井流・5つのべからず」を普段からしている人の発言は、間違いだらけになっている可能性が高いです。これは、人間が行動を選択するときの心理にかかわる本質的な問題なので、どんな分野を専門にしている人についてでも言えそうですね(きっと)。

 というわけで、この糸井流メソッドはいい!! と思い、ぜひともここで紹介したくなった次第です(^_^)/

 そろそろ原子力問題については考えるのも疲れてきた方も多いことと思いますが、ここらで一度、自分が今まで参考にしてきた情報源を点検してみませんか?
 もしその情報源の人物が、「糸井流・5つのべからず」に当てはまる言動をしていたら、その人の発言の信頼性は相当に危ういということです。


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