知識レベルの違う相手への説明その1:用語ギャップの確認と対応
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こんにちは。日夜、知識の構造化に激しく取り組んでいる開米瑞浩です。
ずいぶんとご無沙汰しましたがそろそろ気を取り直して再開するとしましょう。
8月末にあるメーカーさんで「技術者のための読解力図解力トレーニング」という講座をやってきたのですが、そこでこんな悩みの声を聞きました。
この悩みは本当によくありますね。当社推定では受講者中の68.9%の方にとって身に覚えがあったようです。あ、68.9の根拠はワタシのカン(笑)ですけど
さて、どうしましょう?
「このゴールデン・メソッドさえ覚えればあなたも苦もなく知識レベルの違う人にラクラク説明できるようになる!!」なんてそんな魔法のような手法があったら助かりますが、残念ながらありません。
率直に言って手っ取り早い解決法はないので、地道にやるのが一番です。
そこで地道に何をやるか、ですが、大まかに2方面のアプローチがあります。
(1)用語ギャップの確認と対応
(2)目的志向のロジック整理
今回は(1)用語ギャップの確認と対応 について書くことにします。
■相手が知らない用語を使って説明してはならない
大原則として押さえておかなければならないのは、「相手が知らない用語を使って説明してはならない」ということです。ところが、知識レベルが違う人と話すとどうしてもこういう事態が起こりやすいので困るんですね。
ワタシ玄人、アナタ素人
という時は、相手がどこまで知っているのかなかなか把握できません。
そこで、せめて用語だけでも「知識レベルのギャップ」を確認しておくことが求められます。そのための具体的な手順として、私が行っている方法を紹介しましょう。
まず、何について話をするのか、そのテーマを決めたら、それを説明する短い文(キーフレーズ)のリストを作ります。要は箇条書きにしておきます。このリストは後で前後を入れ替えたりして組み替えるので、極力「一文を短く」作ります。前後の流れはおかしくてもかまいません。ロジックが通っていなくてもかまわないのでとにかく思いつくまま書き飛ばしてください。
次に、そのキーフレーズ・リストを眺めて、使っている用語を全部洗い出します。相手が知らない可能性が少しでもある用語は全部書き出してください。
ここまで準備をしたら、次は本人に確認します。
説明したい相手が知っているかどうかをチェックしてもらうわけです。これを実際やってみると、意外な言葉が通じないことに気がついて驚くことがよくあります。
例えば私は以前、IT技術者数名に通信技術の話をしていて「Ethernet」という言葉が通じないことにびっくりしたケースがありました。特に技術の変化の激しい分野では、ベテランが「こんなことは基礎知識だから新人も当然知っている」と思っているその先入観が通用しない場合があるわけです。
そんなふうに相手が知らない用語については打開策を考えます。
打開策、にもいくつかあってたとえば
A. 削除できるものは削除する
B. 相手が知っている用語に置き換える
C. その用語を理解してもらうための説明を別にする
D. その用語がわからなくても大丈夫だと安心してもらうための演出をする
といった方法があります。
AとBについてはそのままの意味ですので、C、Dについて説明すると、Cは要は説明を追加するという話です。「テーマ」そのものには直接関係ないので「キーフレーズ」には出ていない、しかし「用語」を理解するためには必要な説明を追加します。
そしてDは、たとえば「用語集を別紙でつけておく」といった方法がその1つです。用語集があると、知らない用語が出てきても「後で調べられる」と思うので、聞く側のストレスが減ります。
と、そんな方法をあれこれ組み合わせて「用語のギャップ」を確認し対応します。
いずれにしても、「ギャップを確認する」ためには、まずは
使っている用語を洗い出す
という作業が必要なのは当然ですね。これがとても地道な作業なんです。
でも、これをやらないことには先に進みません。地味ですけれど一歩一歩進めていく、そんな習慣を持ちたいものです。
では、「用語ギャップの確認と対応」については今回書きましたので、近日中にアプローチの2つめ、「目的志向のロジック整理」について書くことにします。どうぞご期待ください。
【お知らせ】
10月に名古屋で公開講座を開催します
■10月6日 主催:中部産業連盟
"アイデア・思考を見える化させる 「読解力×図解力」 スキルアップ研修"
"これは分かりやすい!"と言われる 企画書・提案書・報告書・業務マニュアルを作成するための基礎的スキルを上げていく方法を体感しましょう
詳細はこちら→http://www.chusanren.or.jp/sc/sdata/1726.html
■10月25日 主催:中部産業連盟
"部下に必要な仕事と知識を教え込む3つの心得"
自律型部下を育てるティーチング(いわゆる仕事の教え方の見本)」を様々な演習を通じて体得できます
詳細はこちら→http://www.chusanren.or.jp/sc/sdata/2282.html
ずいぶんとご無沙汰しましたがそろそろ気を取り直して再開するとしましょう。
8月末にあるメーカーさんで「技術者のための読解力図解力トレーニング」という講座をやってきたのですが、そこでこんな悩みの声を聞きました。
「知識レベルの違う人に説明をするのが難しい」
この悩みは本当によくありますね。当社推定では受講者中の68.9%の方にとって身に覚えがあったようです。あ、68.9の根拠はワタシのカン(笑)ですけど
さて、どうしましょう?
「このゴールデン・メソッドさえ覚えればあなたも苦もなく知識レベルの違う人にラクラク説明できるようになる!!」なんてそんな魔法のような手法があったら助かりますが、残念ながらありません。
率直に言って手っ取り早い解決法はないので、地道にやるのが一番です。
そこで地道に何をやるか、ですが、大まかに2方面のアプローチがあります。
(1)用語ギャップの確認と対応
(2)目的志向のロジック整理
今回は(1)用語ギャップの確認と対応 について書くことにします。
■相手が知らない用語を使って説明してはならない
大原則として押さえておかなければならないのは、「相手が知らない用語を使って説明してはならない」ということです。ところが、知識レベルが違う人と話すとどうしてもこういう事態が起こりやすいので困るんですね。
ワタシ玄人、アナタ素人
という時は、相手がどこまで知っているのかなかなか把握できません。
そこで、せめて用語だけでも「知識レベルのギャップ」を確認しておくことが求められます。そのための具体的な手順として、私が行っている方法を紹介しましょう。
まず、何について話をするのか、そのテーマを決めたら、それを説明する短い文(キーフレーズ)のリストを作ります。要は箇条書きにしておきます。このリストは後で前後を入れ替えたりして組み替えるので、極力「一文を短く」作ります。前後の流れはおかしくてもかまいません。ロジックが通っていなくてもかまわないのでとにかく思いつくまま書き飛ばしてください。
次に、そのキーフレーズ・リストを眺めて、使っている用語を全部洗い出します。相手が知らない可能性が少しでもある用語は全部書き出してください。
ここまで準備をしたら、次は本人に確認します。
説明したい相手が知っているかどうかをチェックしてもらうわけです。これを実際やってみると、意外な言葉が通じないことに気がついて驚くことがよくあります。
例えば私は以前、IT技術者数名に通信技術の話をしていて「Ethernet」という言葉が通じないことにびっくりしたケースがありました。特に技術の変化の激しい分野では、ベテランが「こんなことは基礎知識だから新人も当然知っている」と思っているその先入観が通用しない場合があるわけです。
そんなふうに相手が知らない用語については打開策を考えます。
打開策、にもいくつかあってたとえば
A. 削除できるものは削除する
B. 相手が知っている用語に置き換える
C. その用語を理解してもらうための説明を別にする
D. その用語がわからなくても大丈夫だと安心してもらうための演出をする
といった方法があります。
AとBについてはそのままの意味ですので、C、Dについて説明すると、Cは要は説明を追加するという話です。「テーマ」そのものには直接関係ないので「キーフレーズ」には出ていない、しかし「用語」を理解するためには必要な説明を追加します。
そしてDは、たとえば「用語集を別紙でつけておく」といった方法がその1つです。用語集があると、知らない用語が出てきても「後で調べられる」と思うので、聞く側のストレスが減ります。
と、そんな方法をあれこれ組み合わせて「用語のギャップ」を確認し対応します。
いずれにしても、「ギャップを確認する」ためには、まずは
使っている用語を洗い出す
という作業が必要なのは当然ですね。これがとても地道な作業なんです。
でも、これをやらないことには先に進みません。地味ですけれど一歩一歩進めていく、そんな習慣を持ちたいものです。
では、「用語ギャップの確認と対応」については今回書きましたので、近日中にアプローチの2つめ、「目的志向のロジック整理」について書くことにします。どうぞご期待ください。
【お知らせ】
10月に名古屋で公開講座を開催します
■10月6日 主催:中部産業連盟
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