「教える」ための知識の構造化、5つのポイント
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こんにちは。日夜、知識の構造化に燃えている開米瑞浩です。
そもそも「知識の構造化」とは一体何のために行うものかというと、たとえば
現在多くの会社では「技術継承」に悩んでいます。それぞれの会社がもつ「技術」を、自分自身で一から築いてきたベテラン世代が引退する前に若手に継承していかなければいけない、というのになかなかそれがうまく行かずに悩んでいる会社さんが多いんですね。
そんな「技術継承を阻む障害」のひとつになっているのが、「知識伝達の難しさ」。
仕事をするためには膨大な知識が必要になる、けれどそれぞれ難解でなかなか短時間では理解できない。理解しなくてもできるようにマニュアル化するのも難しいし、マニュアル化できたらできたで今度はそのマニュアルに縛られて自分では変えられない。
そんなジレンマを感じる場面も多いものです。
そんなときに、「技術の初心者に教えることを想定して知識を構造化する」ことが役に立ちます。
なかなかこれを意識的にやっている人が少ないのですが、学ぶ側(新人さん)ではなく、教える側の人の理解を確認する意味でも効果が高いので、是非やってみてください。
ポイントはいくつかあります。列挙すると
ひとつ実例を書きましたので、実際にどのように現物に反映されているか、実例を参照しながら見ていかれると良いでしょう。
ということで実例がこちら↓
→「明るさの単位を説明する方法」
このファイルは、「明るさ」を表す単位に「ルーメン」「カンデラ」「ルクス」「カンデラ/㎡(輝度)」の4種類があってどれが何を表すのかを説明した文書です。
実はこの話、私自身が昨日勉強していて迷ったものなんです。
趣味で電子工作をやる関係でLEDを使うのですが、小型のLEDは明るさが「カンデラ」単位で表示されているのに、強力な光を出すパワーLEDは「ルーメン」単位の明るさ表示なのを疑問に思い、「なぜこんな違いが出るのか?」と疑問を持ってカンデラとルーメンの違いを調べてみたら・・・・これがよく分からない(^^ゞ。
わからないのでもっとよく調べてみたら、30分ぐらいでだんだん分かってきました。
そこで、「こんな風に説明されたらよくわかったのになあ、自分だったらこう説明するなあ・・・」という実例として3時間かけて作ったのが、上記リンク先文書「明るさの単位を説明する方法」です。もし私のように「カンデラとルーメンはどう違うんだ?」と頭を悩ませた経験のある方がいたらぜひ読んでみてください。
そして、「教える/説明する技術」に興味のある方は、前述の「知識を構造化する5つのポイント」が実際どう現れているかを確認してみてください。
まず「(1)一度に1つだけ説明する」のは、教える/説明する技術の基本の1つ。人間は一度に2つ以上の「わからないこと、新しい知識」に触れると混乱しやすいので、2つ以上の新しい概念に振れざるを得ない場合でも、極力1つずつ説明できるように渾身の努力を投じる必要があります。各ページが、新しい概念を一度に1つしか出さないように構成してあることを確認してみてください。
ちなみに、どの会社で教育用テキストを作る場合でもこれが一番大事なポイントです。これが出来てないケースが非常に多いので。
次に「(2)1つ前の構造が次の説明につながるような構成」も、実際読んでもらえば分かりますが、あるページで「AとB」の組み合わせでAの変化を説明したら、次はBの変化を説明するとか、あるいはAをCに変えて「CとB」の組み合わせを使うとか、何らかのつながりが残るように構成してあります。
こんなふうに「前から後ろへ論理的に連続性がある構成」も、教える/説明する ための効果的な手法です・・・・・まあ、これやろうとすると大変なんですけどね、すごく(^^ゞ(^^ゞ(^^ゞ
3つめに「(3)身近な例を出す」こと。これはよけいな説明はいらないでしょう。
4つめが「(4)複数の概念の相互の関係が一目で読み取れるチャートを用意する」これの実例はp.9にあります。だいたい、難解な概念というのは、1つの現象を別な角度から見た複数の概念が入り交じっていることが多いです。それを区別するのが難しいわけです。だから、区別しやすくするために、「混乱しやすい複数の概念の違いをくっきり表せるようなチャート」を書くことが非常に有効です。 その一例が p.9 というわけですね。
ただし、おおまかにイメージをつかんでもらうことを優先して書いているので、厳密な定義とは違う説明をしている部分もあります。たとえば「カンデラ」の説明などがその例。カンデラの厳密な定義はこの資料には書いても無駄と判断しまして省略しました。
もちろん、本格的に勉強しようという人に対して厳密な定義を省略してはいけませんが、そうでない、まずは概要を知りたいという人に対しては厳密な定義を説明してもかえって邪魔になる例が少なくありません。これは対象者の知識レベルと目的に応じて使い分ける必要があります。
そこで、最後のポイント「(5)目的に応じて難易度と正確さのレベルを調整する」が出てきます。概要イメージをつかむのと、学術的厳密性、正確性を追求するのと、この両者は相反する場面が多々ありますので、ごっちゃにせずに切り分けましょう。
以上! この事例が会社で後輩を「教える」ことに悩む皆様の参考になることを願っています!
[お知らせ]
技術伝承力の向上、若手社員の強化を図りたいとお考えの人材育成部門のご担当者様・経営者の方向けに、開米が行っている研修プログラムを紹介するセミナーを開催します。
テーマ: "「教える人」が絶対押さえておきたい「初期指導のポイント」"
主催者:Six Stars-Consulting株式会社
日時:8月24日13:30~16:30
会場:千代田区大手町、アイティメディア社セミナールーム
費用:無料
詳細は告知ページをご覧ください
→知識・技術の伝承、職場でのOJT力を高める
「教える人」が絶対押さえておきたい「初期指導」のポイント
そもそも「知識の構造化」とは一体何のために行うものかというと、たとえば
複雑な知識を教えるためにこれが必要なんですね。
現在多くの会社では「技術継承」に悩んでいます。それぞれの会社がもつ「技術」を、自分自身で一から築いてきたベテラン世代が引退する前に若手に継承していかなければいけない、というのになかなかそれがうまく行かずに悩んでいる会社さんが多いんですね。
そんな「技術継承を阻む障害」のひとつになっているのが、「知識伝達の難しさ」。
仕事をするためには膨大な知識が必要になる、けれどそれぞれ難解でなかなか短時間では理解できない。理解しなくてもできるようにマニュアル化するのも難しいし、マニュアル化できたらできたで今度はそのマニュアルに縛られて自分では変えられない。
そんなジレンマを感じる場面も多いものです。
そんなときに、「技術の初心者に教えることを想定して知識を構造化する」ことが役に立ちます。
なかなかこれを意識的にやっている人が少ないのですが、学ぶ側(新人さん)ではなく、教える側の人の理解を確認する意味でも効果が高いので、是非やってみてください。
ポイントはいくつかあります。列挙すると
(1)一度に1つしか説明しないようにする特に大事なのは(1)ですので、これだけでも意識してやってみてください。
(2)1つ前の構造が次の説明につながるように構成する
(3)身近な事例を出す
(4)複数の概念の相互の関係が一目で読み取れるチャートを用意する
(5)目的に応じて難易度と正確さのレベルを調整する
ひとつ実例を書きましたので、実際にどのように現物に反映されているか、実例を参照しながら見ていかれると良いでしょう。
ということで実例がこちら↓
→「明るさの単位を説明する方法」
このファイルは、「明るさ」を表す単位に「ルーメン」「カンデラ」「ルクス」「カンデラ/㎡(輝度)」の4種類があってどれが何を表すのかを説明した文書です。
実はこの話、私自身が昨日勉強していて迷ったものなんです。
趣味で電子工作をやる関係でLEDを使うのですが、小型のLEDは明るさが「カンデラ」単位で表示されているのに、強力な光を出すパワーLEDは「ルーメン」単位の明るさ表示なのを疑問に思い、「なぜこんな違いが出るのか?」と疑問を持ってカンデラとルーメンの違いを調べてみたら・・・・これがよく分からない(^^ゞ。
わからないのでもっとよく調べてみたら、30分ぐらいでだんだん分かってきました。
そこで、「こんな風に説明されたらよくわかったのになあ、自分だったらこう説明するなあ・・・」という実例として3時間かけて作ったのが、上記リンク先文書「明るさの単位を説明する方法」です。もし私のように「カンデラとルーメンはどう違うんだ?」と頭を悩ませた経験のある方がいたらぜひ読んでみてください。
そして、「教える/説明する技術」に興味のある方は、前述の「知識を構造化する5つのポイント」が実際どう現れているかを確認してみてください。
まず「(1)一度に1つだけ説明する」のは、教える/説明する技術の基本の1つ。人間は一度に2つ以上の「わからないこと、新しい知識」に触れると混乱しやすいので、2つ以上の新しい概念に振れざるを得ない場合でも、極力1つずつ説明できるように渾身の努力を投じる必要があります。各ページが、新しい概念を一度に1つしか出さないように構成してあることを確認してみてください。
ちなみに、どの会社で教育用テキストを作る場合でもこれが一番大事なポイントです。これが出来てないケースが非常に多いので。
次に「(2)1つ前の構造が次の説明につながるような構成」も、実際読んでもらえば分かりますが、あるページで「AとB」の組み合わせでAの変化を説明したら、次はBの変化を説明するとか、あるいはAをCに変えて「CとB」の組み合わせを使うとか、何らかのつながりが残るように構成してあります。
こんなふうに「前から後ろへ論理的に連続性がある構成」も、教える/説明する ための効果的な手法です・・・・・まあ、これやろうとすると大変なんですけどね、すごく(^^ゞ(^^ゞ(^^ゞ
3つめに「(3)身近な例を出す」こと。これはよけいな説明はいらないでしょう。
4つめが「(4)複数の概念の相互の関係が一目で読み取れるチャートを用意する」これの実例はp.9にあります。だいたい、難解な概念というのは、1つの現象を別な角度から見た複数の概念が入り交じっていることが多いです。それを区別するのが難しいわけです。だから、区別しやすくするために、「混乱しやすい複数の概念の違いをくっきり表せるようなチャート」を書くことが非常に有効です。 その一例が p.9 というわけですね。
ただし、おおまかにイメージをつかんでもらうことを優先して書いているので、厳密な定義とは違う説明をしている部分もあります。たとえば「カンデラ」の説明などがその例。カンデラの厳密な定義はこの資料には書いても無駄と判断しまして省略しました。
もちろん、本格的に勉強しようという人に対して厳密な定義を省略してはいけませんが、そうでない、まずは概要を知りたいという人に対しては厳密な定義を説明してもかえって邪魔になる例が少なくありません。これは対象者の知識レベルと目的に応じて使い分ける必要があります。
そこで、最後のポイント「(5)目的に応じて難易度と正確さのレベルを調整する」が出てきます。概要イメージをつかむのと、学術的厳密性、正確性を追求するのと、この両者は相反する場面が多々ありますので、ごっちゃにせずに切り分けましょう。
以上! この事例が会社で後輩を「教える」ことに悩む皆様の参考になることを願っています!
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