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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

問題解決の提案パターン:「就職活動は長期化すべき」

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 こんにちは。知識構造化に異常な情熱を燃やしている開米瑞浩です。
 異常な情熱なんて言うと変な人のようですが、まああながち否定できないかも(笑)。

 原発話ばかり書いていてもいけないので、今回は本業の話です。

 私の本業は、企業社員の「文書化能力」や「教える技術」を向上させるための教育研修です。

 なにかとフクザツな情報を正確に理解し、それを関係者と共有して仕事をしなければいけない現代の企業社会においては、「気持ちを伝えるコミュニケーション」だけでは仕事は成り立ちません。

 複雑な「情報」は、「文書化」しない限り間違いなく伝達ミスが起きます。
 しかも文書化したとしても誤解が起きるので、それを防ぐためには「理解しやすいように書く」ことが必要です。

 だから、「読解力・図解力」そして「教える技術」なんですね。

 今回は、そんな私の本業のほうから練習問題をひとつ出してみましょう。

■問題解決を提案するパターン

 何か問題が起きているから解決策を考えよう、という場合、特に、「その解決策じゃダメだよ、もっといい案がある」という話をするときにはこういうロジックパターンが良く出てきます。



 (1)表面的な問題の認識 に対して (2)安易な解決策 が出てきた。しかし (3)問題の本質 を考えると、(2)の策では (4)悪影響が出ることが予想される。 そこで、(3)を踏まえて(4)が起きないような (5)対案を提示する という流れです。

 こういうパターンがよくありますので、何か問題への解決策を提案する時には応用してみてください。

 たとえば下記のような文から、(1)~(5) に該当する内容を探してみるとどうなるでしょうか?
 (1)~(5)に当てはまる情報をそれぞれ1行程度で要約してみましょう。

 就職活動は長期化すべき

 就職活動に追われて本来の学業に支障が出る、就活が学生生活をゆがめている、という批判への対応策として、2013年春入社の新卒採用について、日本経団連は会員企業に対して、開始時期を遅らせて就職活動期間を短縮するように求めた。
 が、これで就職活動が楽になる、と考える学生はあまりいないだろう。
 根本的な問題は学生が職業に関する情報をあまりにも持っていないことになる。世の中にどんな仕事があるのかを知らないからこそ、あこがれや安定志向だけで有名な大企業を志望する学生が後を絶たない。その結果、知名度が低い大多数の会社は内実がどんな優良企業でも採用が困難になり、学生側は本来得られたはずの就職の機会を失う。応募が殺到する一部大企業にとっても、甘い考えの学生を振り落とす手間が増えるだけで、決して良い結果を生んでいない。
 この状態で就職活動期間を短縮しても、「乏しい知識で短い期間に決定すること」を迫られるだけで、事態はかえって悪化する。
 就職活動期間はむしろ長期化させるべきだ。大学生活の全期間を通してさまざまな機会に学生が企業の仕事を知るチャンスがあるべきだ。そうして、うわべだけの華やかさだけではなく、本当の姿を知ってこそ、就職活動は正常かされるだろう。

 (この問題は、2011/01/11 INSIGHT NOW! 誌掲載の川口雅裕氏による
「就職活動はむしろ、もっと長期化させるべき」を参考に作成しました)


 ・・・・という問題をたくさん作って企業研修を行うのが私の本業です。
 その本業で使っている練習問題の一部をこちらのサイト→「アイデアクラフト研修資料室」で公開していますので、使えるものは使ってやってください。

 以上、それでは解答はまた次回! (^^)/

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