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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

知識を構造化しよう-抽象化力、磨いてますか?

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 前回(「知識を構造化しよう-実際の場面をイメージしてみる)までで、知識を構造化するためにまずは「順番が適切かどうかを考える」ことが有効だと書きました。しかし、「順番」だけで終わりではありません。まだやれることはあります。その1つが「抽象化」です。

 「抽象的な話」は何かと嫌われますが、それは「抽象的=分かりにくい」という先入観があるからです。実際には、抽象化することによってわかりやすくなる場合は極めて多いので、「抽象化をする力」を磨いておくことは非常に重要です。

 ということでひとつの例を出しましょう。以下のAグループとBグループにそれぞれ名前をつけるとしたら、どんな名前をつけますか?

<Aグループ>
  ダックスフント
  イングリッシュ・グレイハウンド
  ダルメシアン

< Bグループ>
  スフィンクス
  マンクス
  アメリカンショートヘア

 Aグループの3つはどれも有名な犬種ですね。ですからAグループには「犬」と名前をつけてよさそうです。
 「抽象化」というのはこんなふうに、「複数の要素に共通する性質を見つけて分類し、分類に名前をつける」ことです。


 ただそれだけのことなのですが、これを意識的にやっているかいないかで、情報の伝わりやすさが格段に違ってくることがあります。
 実際、おなじみの「食中毒予防のポイント」の話を例にとって見てみましょう。するとたとえばこんな抽象化をすることができます。




 要は「チェックポイント」に並んでいる個別の項目を「食材調達」「調理」食事」「残り物保管」の4種類に分類したわけです。これが「抽象化」ですね。
 抽象化をしておくと、「先生」から生徒へたとえばこんな質問をすることができます。

    先生:調理をするときに気をつけなきゃいけないことは何?
    生徒:きちんと火を通すこと、それから・・・・
    先生:たとえば「まな板」は?
    生徒:あ、きれいに洗っておく
    先生:それは使った後? 使う前?
    生徒:使った後すぐ
    先生:じゃあ、使う前は?
    生徒:清潔であることを確認して使う、ですね
    先生:そう、そういうこと、OK!


 要は、「抽象化」しておくと、その「抽象的な言葉で質問して、具体的な内容を答えさせる」というワークができます。具体的な個別項目だけを教えて「これ全部覚えておけ!」とするよりも、抽象と具体の間を行ったり来たりして考えさせるほうがずっとよく記憶に残り、理解が進むので、「教える」ためには「抽象化」が非常に大事なんですね。

 なお、「抽象化」のメリットはもう2つあります。それは、

    抽象化をしようとすると、自分の知識不足に気がつきやすい
    抽象化をしようとすると、自分の意図を明確にすることを求められる


 の2点です。
 今回書かなかったBグループ、「スフィンクス」「マンクス」「アメリカンショートヘア」を例にして、次回この2点の話を続けます。

 (続く)

 
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