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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

理系コミ:「一次電池と二次電池」の名前の由来を小学生に説明する

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さて、先日の「理系のためのコミュニケーション能力向上作戦」で出した「一次電池と二次電池の名前の由来を小学生に説明する」問題、やってみましょう。

小学生に説明するので、難しいことは書けません。
「一次電池」と「二次電池」という名前を見比べると、違うのは
「一」「二」という数字だけです。
ということは、その「数字」が見て分かるようにすればいい、ということです。

そして、「二」が「見て分かる」ようにするための方法、それは要するに

1and2.png
なんです。実際、原文中ではこういう関係が説明されてますね。

primarysecondarycell.png
ただ、このままだと若干弱いです。ここに、電池を「使う」イメージを加えます。

using-primarysecondarycell.png
こうするだけで、「二次電池を使う」ためには電池が「2個」必要である、という印象がぐっと強くなります。

ちなみに、実際にこの問題を出題して解答を求めたところ、1次・2次電池の性質を表に整理してから「充電」の矢印を引くタイプの解答が多かったですね。(普段私が「表を作れ表を作れ表を作れ」と連呼しているせいかもしれませんが)

primarysecondarycell-matrix.png
しかし、このタイプの図だと、「1つ」対「2つ」の差がパッと見ただけでわかる、というわけにはいかないのです。

今回の問題の答えは、「実際に小学生を相手に1次電池と2次電池を使って実験をしてみせる」ことをイメージすれば、わりと簡単にアイデアが浮かんだはずです。
(まあ、充電には時間がかかるので、小学生に対してそのまま実験してみせるのは難しいですが)

文字で書かれていることを組み替えるだけだと、いくらラベルを付けても表を作っても「現実のイメージが湧かない」というケースが結構あります。

    この文章は、現実の世界のどんな状況を表しているのか?

を、文章から一旦離れて「現実の世界の映像として」イメージする習慣は大事です。

さて、ということで理系のためのコミュニケーション能力向上作戦、「一次電池と二次電池の名前の由来」は終了です。いかがでしたでしょうか?

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