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あの富士通がAI駆動開発をここまでやっているの?!という驚きについて

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319日(水)のITソリューション塾・第49期・第6回で、AI駆動開発の最前線について、講義&ディスカッションを楽しみました。先陣を切ったのは、富士通の三浦真樹さんです。ソフトウェア戦略統括部・ソフトウェアオープンイノベーション事業本部のシニアディレクターで、富士通社内でのAI駆動開発の現状と今後について、お話を頂きました。詳細については、ご了解を頂いておりませんので、ここでは割愛いたしますが、「凄い」です。GitHub Copilot使いがなんと4000名ほど社内にいて、「使うことが当たり前」という状況になりつつあるそうです。また、その取り組みの課題や成果を社内で共有し、データとして捉え、新たな取り組みに活かす"体制"ができていることも驚きでした。

ここでいう"体制"とは、会社の組織やルールのことではありません。自発的、自律的に情報を共有し、研鑽できるコミュニティが自然発生的に生まれてきて、それらを会社の命令としてではなく自主的に運営しているという"体制"です。

大変失礼ながら、「あの富士通が?」と三浦さんに言ってしまいました。かつての富士通を知っている人間から見れば、驚きしかありません。三浦さん曰く「富士通は変わりましたね」とのこと。私もそう感じました。まるで、シリコンバレーのITネイティブ企業のような状況に、改めて富士通の変革活動「フジトラ」の成果をまじまじと見せられた想いです。「フジトラ」については、以前記事にまとめていますので、こちらをご覧下さい。

ベンチャーと異なり、政府機関や官公庁、エンタープライズ企業を数多く顧客に抱える富士通はウオータフォール開発の権化的存在です(笑)。そういう会社でも、AI駆動開発で成果をあげている現実を数字で見せていただき、大いに感銘を受けました。

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また、この回には、日本におけるAI駆動開発の先駆者的存在であるクリエーションライン・CTOの荒井康宏さんに、AI駆動開発の最前線について、ご紹介頂きました。数多くのサービスが登場していること、そしてその機能や性能が急速に高まり、AIエージェントも「かなり使えるぞ」と言う状況でした。

485146069_9271512636251226_5283511262525569950_n.jpgそんな荒井さんの話の中で、特に興味深かったのはこのチャートです。

AI駆動開発で何でもできるわけではないという冷静な視点です。これは、とても大切なことで、昨今のブームで過剰な期待が高まっているわけですが、こういう冷静な視点で考えてみることは、とても大切に感じました。そして、このチャートのもうひとつの重要なメッセージは、"2025/3時点"です。つまりこの先このチャートがアップデートされていきますよと言うことです。

ITの世界は日進月歩です。この現実を棚上げして、古き良き時代のテクノロジーやメソドロジーにこだわり続けている企業が多いのも現実です。しかし、それか以下にリスクの高いことなのかを真摯に受け入れるべきでしょう。AI駆動開発は、いまはまだ黎明期ですが、いつまでもそのままではありません。この変化を先取りできるかどうかが企業の競争力を左右する鍵であることを改めて肝に銘じる必要があります。

このイベントには、オルターブースの代表でGitHub Copilotの達人的存在である小島淳さんや戦略スタッフサービスの代表でアジャイルコーチのレジェンドである戸田孝一郎さんにもご参加頂き、熱い議論で盛り上がりました。詳細をご覧に入れたいところではありますが、ITソリューション塾のクローズドなセッションでの発言でもあり、かなり過激な発言も飛び出しましたので(笑)、公開は差し控えさせていただきます。

しかし、それぞれに極めている皆さんの発言には、とても重みがあり、物事の本質を見抜く力を感じます。そして、何をすべきかを自ずと教えられます。そういう意味でもITソリューション塾の今回のセッションは"神回"とも呼ぶべき内容でした。

私は、ITソリューション塾を主宰し、既に16年立ちました。卒業生は延べ4000名ほどです。2008年にこの塾を始めた当時は「クラウドとは?」というところから始まり、いまのAI革命に至るトレンドをつぶさに追いかけてきました。この経験から言えることは、AIのもたらす影響を軽く見てはいけないという教訓です。

どんな技術だって、同じことが言えるかもしれませんが、ITソリューション塾以前の1982年からIT業界に関わり、その最前線で仕事をしてきた者としていま起きていることは、間違えなく時代の転換点です。いまだ、AIを遠ざけている人がいるわけですが、間違えなく「AIを使える人がAIを使えない人の仕事を奪う」ことになるでしょう。ITビジネスは、まさにそんな変化の最前線にあります。ITに関わる人たちは、ぜひこの現実に危機感を持ち、真摯に目を向けて欲しいと思います(その一助としていただくための書籍を只今執筆中です)。

今回、話をしてくれた皆さんに共通しているのは、「システム開発の現場でAIを使っていますよね」という感覚でしょうか。残念ながら、受講者のかなりの皆さんが「未だ」のようでした。塾に参加される皆さんのITトレンドについての感性は高い方だと思いますが、それでもこの現実です。

あらためてITビジネスの現場でAIはどのような位置づけとなっているのか、なろうとしているのかは、しっかり見ておくべきだと、この講義をMCして強く感じた次第です。

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