オルタナティブ・ブログ > ITソリューション塾 >

最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

ITの観点からDXの「あるべき姿」を探る

»

DXとは、デジタル技術を駆使して、企業のビジネスモデルや組織文化、ひいては社会全体を根本から変革し、デジタル社会に適応することです。単に業務を効率化したり、コストを削減したりするだけでなく、顧客に新たな価値を提供し、社会に貢献できる企業へと進化することを目指します。そのためには、従来のアナログ時代の発想から脱却し、デジタル技術の可能性を最大限に引き出す必要があります。

そんなDXITの観点から捉え直すと、2つの「あるべき姿」が見えてきます。

  • リアルタイム・フィードバック・ループの完成
  • ビジネスをITの制約から解放すること

これらの重要性と実現方法を具体的に見ていくことで、DX推進の道筋を示すとともに、変化の時代におけるITプロフェッショナルの役割についても考えます。

リアルタイム・フィードバック・ループの完成

グローバル化や技術革新の加速により、現代社会はVUCAと呼ばれる、予測不可能で不確実な状況に直面しています。企業は、市場や顧客のニーズ、競合の動向、社会情勢の変化など、様々な要因に瞬時に対応し、競争力を維持していくことが求められます。

スクリーンショット 2025-01-22 5.45.29.png

このような環境下で重要となるのが、「リアルタイム・フィードバック・ループ」です。これは、顧客や市場からのフィードバックをリアルタイムに収集し、分析、意思決定、実行、そしてその結果を再びフィードバックするというサイクルを高速に回すことを指します。このループを構築することで、企業は変化に機敏に対応し、常に最適な意思決定を行うことができるようになります。

スクリーンショット 2025-01-22 5.46.06.png

リアルタイム・フィードバック・ループを実現する上で、ITは重要な役割を担います。ERPシステムを基盤として、IoTAI、データサイエンス、クラウドといった最新技術を統合することで、大量のデータをリアルタイムに収集・分析し、迅速な意思決定を支援することが可能となります。

例えば、IoTセンサーを活用することで、工場の稼働状況や製品の在庫状況などのデータをリアルタイムに把握することができます。AIを活用すれば、顧客の購買履歴や行動パターンを分析し、パーソナライズされたサービスを提供することができます。また、クラウドを活用することで、必要な時に必要なだけITリソースを調達し、柔軟にビジネスを展開することができます。

このように、ITはリアルタイム・フィードバック・ループを構築するための基盤となり、企業の競争力強化に大きく貢献します。

ビジネスをITの制約から解放する

多くの企業、特に長年事業を営んできた企業は、過去のしがらみに縛られ、レガシーシステムを抱えているケースが少なくありません。これらのシステムは、老朽化やブラックボックス化が進み、柔軟性や拡張性に欠けるため、新たなビジネスモデルやサービスの展開を阻害する要因となります。経済産業省が2018年に発表した「DXレポート:2025年の崖」で警告するように、レガシーシステムは企業の成長を阻む大きなリスクと言えるでしょう。

DXを推進するためには、レガシーシステムから脱却し、「アダプティブなアーキテクチャ」へと転換する必要があります。アダプティブなアーキテクチャとは、変化に柔軟に対応できる、柔軟性と拡張性に優れたITシステムのことです。具体的には、以下の手法を導入することで、実現することができます。

  • マイクロサービス・アーキテクチャー: システムを独立性の高い小さなサービス単位に分割することで、個別に開発・運用・改修を可能にします。これにより、システム全体の柔軟性と拡張性を高めることができます。
  • アジャイル開発/DevOps: 短いサイクルで開発・リリースを繰り返すことで、変化への対応スピードを高めます。また、開発チームと運用チームが連携することで、開発から運用までのプロセスを効率化し、迅速なサービス提供を可能にします。
  • クラウド活用: インフラを自社で保有するのではなく、クラウドサービスを利用することで、必要な時に必要なだけITリソースを調達することができます。これにより、初期投資を抑え、変化への対応力を高めることができます。

これらの手法を組み合わせることで、ビジネスはITの制約から解放され、変化に迅速に対応できるようになります。

変化の時代におけるITプロフェッショナルの姿

DXを推進する上で、ITプロフェッショナルの役割はますます重要です。ITプロフェッショナルは、単なる技術者ではなく、ビジネスの変革を牽引する存在として、以下の能力が求められます。

  • DXの真の理解: DXの本質を理解し、その重要性を経営層や現場に伝えることができます。
  • ビジネス視点: ビジネスの課題やニーズを理解し、ITを活用してどのように解決できるかを提案できます。
  • コミュニケーション能力: 関係部署と連携し、プロジェクトを推進していくためのコミュニケーション能力。
  • 最新技術の習得: AIIoT、クラウドなど、常に最新技術を学び、ビジネスに適用できる能力。
  • 問題解決能力: 複雑な問題を分析し、最適な解決策を導き出す能力。

ITプロフェッショナルは、これらの能力を駆使することで、DXを成功に導き、企業の成長に貢献することができます。もちろん、これらを全て完璧にこなせるスーパーマンになることなど、容易なことではありません。だからこそ、そんな「あるべき姿」を理想に掲げ、日々の研鑽を怠らないようにしたいものです。

次のアクションへ

DXは、一朝一夕に実現できるものではありません。長期的な視点に立ち、計画的に推進していく必要があります。まずは、自社の現状を把握し、DX推進のロードマップを作成することが重要です。

その上で、レガシーシステムの刷新、アジャイル開発/DevOpsの導入、クラウドの活用など、具体的な施策を検討し、IT人材の育成にも力を入れる必要があります。

実践で使えるITの常識力を身につけるために!
次期・ITソリューション塾・第48期(2025年2月12日 開講)

次期・ITソリューション塾・第48期(2025年2月12日[水]開講)の募集を始めました。

IT_logo.png

次のような皆さんには、きっとお役に立つはずです。

  • SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
  • ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
  • デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
  • IT業界以外から、SI事業者/ITベンダー企業に転職された皆さん
  • デジタル人材/DX人材の育成に関わられる皆さん

ITに関わる仕事をしている人たちは、いま起こりつつある変化の背景にあるテクノロジーを正しく理解し、自分たちのビジネスに、あるいは、お客様への提案に、活かす方法を見つけなくてはなりません。

ITソリューション塾は、そんなITの最新トレンドを体系的に分かりやすくお伝えするとともに、ビジネスとの関係やこれからの戦略を解説し、どのように実践につなげればいいのかを考えます。

詳しくはこちらをご覧下さい。

神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO(やまと)会員の皆さんは、参加費が無料となります。申し込みに際しましては、その旨、通信欄にご記入ください。

  • 期間:2025年2月12日(水)〜最終回4月23日(水) 全10回+特別補講
  • 時間:毎週(水曜日*原則*) 18:30〜20:30 の2時間
  • 方法:オンライン(Zoom)
  • 費用:90,000円(税込み 99,000円)
  • 内容:
    •  デジタルがもたらす社会の変化とDXの本質
    •  IT利用のあり方を変えるクラウド・コンピューティング
    •  これからのビジネス基盤となるIoTと5G
    •  人間との新たな役割分担を模索するAI
    •  おさえておきたい注目のテクノロジー
    •  変化に俊敏に対処するための開発と運用
    •  アジャイルの実践とアジャイルワーク
    •  クラウド/DevOps戦略の実践
    •  経営のためのセキュリティの基礎と本質
    •  総括・これからのITビジネス戦略
    •  特別補講 :選考中

6月22日・販売開始!【図解】これ1枚でわかる最新ITトレンド・改訂第5版

生成AIを使えば、業務の効率爆上がり?
このソフトウェアを導入すれば、DXができる?
・・・そんな都合のいい「魔法の杖」はありません。

=> Amazon はこちらから

神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO

IMG_7835.jpeg

八ヶ岳南麓・山梨県北杜市大泉町、標高1000mの広葉樹の森の中にコワーキングプレイスがオープンしました。WiFiや電源、文房具類など、働くための機材や備品、お茶やコーヒー、お茶菓子などを用意してお待ちしています。

8MATOのご紹介は、こちらをご覧下さい。

Comment(0)