「ソフト老害」についての考察
「あなたが思うようにやってくれ!」と言いながら、「もう少し、こうした方がいいんじゃないかなぁ」と"アドバイス"し、それに従わなければ、承認や許可を与えない。
「それはいいじゃないか」と全面的に受け入れる態度を示しながら、「ただ、まだうちには少し早すぎるかも知れないねぇ」や「やるからには慎重を期した方が良いね」と漠然とした言葉で、自分の価値観にそぐわないことを拒絶する。
「なかなか、良い考えじゃないか」と真剣に受け止めるが、興味がないので、それ以上話しを聞こうとせず、相手がやる気をなくすように仕向ける。
老害だとか、パワハラだとか、まわりから言われないようにと心がけているのかも知れない。初めは、相手の考えや意見を受け入れる態度を示しながら、結局は、自分の考えや価値観に従わせようとしているわけで、これもまた老害的態度だ。
あからさまな価値観の押しつけや強要はないにしても、結局は同じことをしている。私はこのような態度を「ソフト老害」と呼んでいる。
「老害」にしても、「ソフト老害」にしても、共通しているのは、自分の考えや価値観が絶対であるという思いこみだ。ひとことで言えば、謙虚さがない。自分の考えや価値観が、様々な考え方や意見のひとつであるという考えに及ばないのだろう。
もちろん全てに於いて、自分の考えや価値観を押しつけようとするわけではない。自分の経験値、特に過去の成功体験に結びついている場合などは、圧倒的な力を持っている。一方で、自分の経験値や知識にないことについては、あまり考えようとせず、むしろ積極的に「それについてはまったく素人なんで」や「新しいことにはついていけなくて」と、学ぼうとか、考えてみようという態度を全面的に放棄する。
さて、こういう「老害」や「ソフト老害」にならないためには、どうすべきなのだろう。
最も大切なことは、自分を相対化することだ。自分の考えや価値観もまた、様々な考えや価値観のひとつであるという態度であろう。昨日のブログでも書いたが、老害的な人は、他人の話を聞こうとしない。それは、「自分が正しいのだから、そんな話を聞いてもムダ」と言う想いがあるのだろう。まずは、この態度を捨てて、白紙になって、あるいは、自分を絶対であるという考えから解き放ち、相手の話を真剣に聞き、疑問を呈し、質問をして、理解しようとすることだ。
そして、相手の意見も自分の意見も平等に扱って、客観的に評価しようとすることだ。
このような態度とともに大切なことは、学び続けることだろう。
「専門的なことは分からない」とか「新しいことは分からない」という言葉で、相手を威圧していることのもまた老害と言える。もちろん、「専門家」である必要もなければ、「最新」を知っている必要もないが、そういうことが理解でき、意志決定の材料として使える程度には知識を持っておくべきだ。
「謙虚さ」と「学び続ける」ことは、表裏の関係なのかも知れない。
まもなく締め切り!
次期・ITソリューション塾・第47期(2024年10月9日 開講)
次期・ITソリューション塾・第47期(2024年10月9日[水]開講)の募集を始めました。
特別補講の講師が決まりました。
==========
企業文化の変革に挑む富士通の取り組み
〜フジトラの実践を通じて見えてきたITビジネスのあるべき姿と課題〜
特別講師:富士通株式会社 執行役員常務 CIO(兼)CDXO補佐 福田 譲 氏
==========
富士通は、いま「フジトラ(富士通トランスフォーメーション)」に取り組んでいます。フジトラは、ビジネス・モデルや業務プロセスの変革に留まらず、企業文化の変革にも踏み込んだ、会社を作り変えようという取り組みです。道半ばとはいえ、確実に成果が現れつつある一方で、様々な課題にも直面しています。そんなフジトラの実践をリードする福田譲氏に、フジトラの"いま"を"正直に"ご紹介頂きます。
DXの実践に取り組む多くの企業にとって、大変参考になると思います。
次のような皆さんには、きっとお役に立つはずです。
- SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
- ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
- デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
- IT業界以外から、SI事業者/ITベンダー企業に転職された皆さん
- デジタル人材/DX人材の育成に関わられる皆さん
ITに関わる仕事をしている人たちは、いま起こりつつある変化の背景にあるテクノロジーを正しく理解し、自分たちのビジネスに、あるいは、お客様への提案に、活かす方法を見つけなくてはなりません。
ITソリューション塾は、そんなITの最新トレンドを体系的に分かりやすくお伝えするとともに、ビジネスとの関係やこれからの戦略を解説し、どのように実践につなげればいいのかを考えます。
詳しくはこちらをご覧下さい。
※神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO(やまと)会員の皆さんは、参加費が無料となります。申し込みに際しましては、その旨、通信欄にご記入ください。
- 期間:2024年10月9日(水)〜最終回12月18日(水) 全10回+特別補講
- 時間:毎週(水曜日*原則*) 18:30〜20:30 の2時間
- 方法:オンライン(Zoom)
- 費用:90,000円(税込み 99,000円)
- 内容:
- デジタルがもたらす社会の変化とDXの本質
- IT利用のあり方を変えるクラウド・コンピューティング
- これからのビジネス基盤となるIoTと5G
- 人間との新たな役割分担を模索するAI
- おさえておきたい注目のテクノロジー
- 変化に俊敏に対処するための開発と運用
- アジャイルの実践とアジャイルワーク
- クラウド/DevOps戦略の実践
- 経営のためのセキュリティの基礎と本質
- 総括・これからのITビジネス戦略
- 特別補講 :富士通・常務取締役 福田譲 氏
- 企業文化の変革に挑む富士通の取り組み〜フジトラの実践を通じて見えてきたITビジネスのあるべき姿と課題〜
神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO
8MATOのご紹介は、こちらをご覧下さい。
6月22日・販売開始!【図解】これ1枚でわかる最新ITトレンド・改訂第5版
生成AIを使えば、業務の効率爆上がり?
このソフトウェアを導入すれば、DXができる?
・・・そんな都合のいい「魔法の杖」はありません。
これからは、「ITリテラシーが必要だ!」と言われても、どうやって身につければいいのでしょうか。
「DXに取り組め!」と言われても、これまでだってデジタル化やIT化に取り組んできたのに、何が違うのかわからなければ、取り組みようがありません。
「生成AIで業務の効率化を進めよう!」と言われても、"生成AI"で何ですか、なにができるのかもよく分かりません。
こんな自分の憂いを何とかしなければと、焦っている方も多いはずです。