このチャートは、いくつかの「IoTビジネスの成功例」として紹介されたものを「なぜ取り組んだのか」、「どのように取り組んだのか」という観点で整理したものだ。
多くの事例に共通するのは「IoTで何かをしよう」と考えたわけではなかったこと。人材の不足、競争の激化、環境変化の速さといった直面する課題を解決しようとしたとき、「いまでき得る最善の手立ては何か」を追求し解決策を模索した結果、「IoTだった」ということにすぎない。
また、決して新しいことばかりを取り入れたわけではない。既に社内に蓄積されていた技術要素やノウハウを新たな目線で組み立て直し、そこに新しい要素を付加することで、業界の常識を変えてしまったというケースもある。
- 課題は何か
- どうすればその課題を解決できるか
- そのための最善の手立ては何か
そんな基本に忠実であっただけで、それが結果として、「IoTの成功事例」として、世の中が評価し、そう言っているに過ぎず、当事者が、「IoT」に取り組んだわけではない。
ITベンダーやSI事業者のやることは、お客様の「あるべき姿」を示すことだ。製品やサービスは、その「あるべき姿」を実現する手段であり、それを使わせることをビジネスのゴールとしてはいけない。お客様の「あるべき姿」を実現する上での課題を解決することが、ゴールである。
「それではビジネスにならない」
と言う人もいるだろうが、時代のニーズにふさわしい製品やサービスを品揃えしていないことが、そもそもの問題であろう。例え自社で扱ってはいなくても、お客様の課題解決のためには、これが最善の手段だとなれば、それが提供できる企業と手を組むか、それができなければ、そういう企業を紹介すればいい。
そうすれば、お客様は、あなたの会社を評価し、信頼も高まり、何でも相談してくれるようになる。そうなれば、売り込まずして、案件がどんどんとやってくる。そういうお客様を増やせば増やすほどに、例え「売れない」場合はあっても、結果として、案件の総数は増え、その収支は大黒字になる。
そのためには、自分たちの品揃えをアップデートし続けることが大切だ。そんな、時代にふさわしい製品やサービス、ソリューションを揃える不断の努力を怠らないことだ。
ポンコツ製品を後生大事にリストに並べ、使えそうな製品はありませんかとアピールする。そんな恥ずかしいことはやめたほうがいい。お客様は、それほど「何も知らない」人たちではない。特に事業部門にアプローチしたければ、厳に慎むべきだろう。
ましてや、「DXのためにこの製品を使いましょう」などと軽々しく言うべきではない。DXとは事業の変革だ。この製品を使えば、事業の変革に貢献するという自信、そのロジックがあるならば、ためらうことはないが、DXという流行言葉にあやかっているだけならば、それは辞めた方がいい。あまりにも浅はかであり、見え透いている。もし、恥ずかしいという感覚がないのなら、それはかなりヤバイと自覚すべきだろう。
「向き合うべきは課題である」
DXも同じだ。「DX」という言葉にこだわる必要はない。課題を解決するために最善の手をつくせばいい。ただ、「最善の手」として、デジタルの選択肢は増えているから、「うまく手段として使えた」ならば、「DX」という言葉を使えばいいのだけのことだ。大切なのは、課題が解決されることであり、それによってビジネスの変革が進むことだから、それができたのなら、堂々とそれをDXと言えばいい。
そんな課題を見ることなく、「DXのためにこの製品を使いましょう」というのは、恥ずかしいら辞めた方がいい。お客様から、「何も分かっていないな」と、馬鹿にされるだけのことだ。
- 課題は何か
- どうすればその課題を解決できるか
- そのための最善の手立ては何か
この原点を忘れないようにしたいものだ。
DX疲れにうんざりしている。Web3の胡散臭さが鼻につく。
このような方もいらっしゃるかもしれませんね。では、伺いたいのですが、次の3つの問いに、あなたならどのように答えますか。
- DXとはこれまでのIT化/コンピューター化/デジタル化と何が違うのでしょうか。
- デジタル化やDXに使われる「デジタル」とは、ビジネスにとって、どのような役割を果たし、いかなる価値を生みだすのでしょうか。
- Web3の金融サービス(DeFi)で取引される金額はおよそ10兆円、国家が通貨として発行していないデジタル通貨は500兆円にも達し、日本のGDPと同じくらいの規模にまで膨らんでいます。なぜ、このような急激な変化が起きているのでしょうか。
言葉の背景にある現実や本質、ビジネスとの関係を理解しないままに、言葉だけで議論しようとするから、うんざりしたり、胡散臭く感じたりするのかもしれせん。
ITに関わり、ビジネスに活かしていこうというのなら、このようなことでは、困ってしまいます。
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