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最強営業の極意「営業はお客様の教師になる」とはどういうことか 1/2

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営業という仕事にどのような役割を期待するかは、会社によって違うだろうが、これからの時代、教師としての役割を期待されることになるだろう。

私は、講義や講演を生業にしているが、ご依頼を頂くには、営業として、自分の講義や講演を売り込む必要がある。例えば、こんな具合だ。

「全国の営業職員に、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)について講演をして頂けないでしょうか。」

大手商社の営業部門から、こんな相談を頂いた。理由を聞けば、お客様との商談で、DXが話題になることがあるという。しかし、言葉は聞いたことはあっても、何のことかはよく分かっていない。リモートワークやオンライン通販、AIやクラウドを使って何かやることなのだろうとは想像がつく。しかし、ちゃんと分かっているわけではない。分かっていないからと言って仕事に差し支えることはないが、分からないままだと、営業としてかっこが悪い。コロナ禍になり、DXについての話題があちこちで聞かれ、分からないではかっこがつかない。もしかしたら、DXをきっかけに仕事のネタも生まれるかも知れないが、まったく知らないでは、どうしようもない。だから、DXとは何かを教えてほしいという。

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そこで、私は、次のような話しをした。

DXもいいのですが、それ以前の話しとして、デジタルとはなにかをまずは理解してもらう方がいいのではないでしょうか。デジタル化だとか、デジタル・ビジネスだとか、デジタル・トランスフォーメーションだとか、デジタルという言葉が巷にあふれていますよね。DXもいいのですが、まずはそんな話をした方が良くないでしょうか。

DXの話をしないと言うことではありません。むしろそれ以前のことが理解できていなければ、DXだって分からないと思いますよ。デジタルとは何か、デジタルと社会の関係、デジタルが自分たちの仕事やお客様の事業にどんな変革を強いるのかを、まずは大きく捉える話しの方がいいように思うのですが、いかがでしょうか。できれば、営業が自分の言葉で、"デジタルとは"をお客様に説明ができるようになれば、いいですよね。」

営業である以上、お客様にかっこ悪いところは見せたくない。専門的な知識はなくても、「デジタルとは、こういうことですよ」ぐらいのことは、お客様に話せる程度にはなっておきたい。そうすれば、お客様に尊敬され、話も弾み、お客様との対面時間を増やすことができるだろう。例えデジタルに関わる商談ではなくても、対面時間を増やせば、いろいろと話のネタはひろがり、仕事のきっかけがつかめるかも知れない。それを期待してのことであろうと、想像した。

つまり、この講演への期待、すなわち講演の結果としての「あるべき姿」は、「話しを聞いた営業が、デジタルの話題についていける、お客様にいいところを見せることができること」であろうと想定し、次のようなテーマにしてはどうかと提案した。

営業なら知っておきたいデジタルの基本の"き"

〜デジタルをお客様に説明できるようになろう〜

「なるほど、その方が、みんな興味も湧くでしょう。参加者も増えると思います。ぜひ、それでお願いします。」

一般に、お客様から営業への相談があるときは、次のようなケースが多い。

  • これが欲しい、いくらで手に入るか?
  • こういうことをしたのだが、何かいい製品やサービスはあるだろうか?
  • こうすることになった、御社でできるか、できるならいくらか?

冒頭の事例のように「DXの講演をして欲しい、やってもらえますか?」と同じだ。大変有り難いきっかけではある。しかし、「はい、できます。おいくら万円です。」では、あまりにも芸がなさ過ぎる。だから「なぜ」を問い、相手の真意を探った訳だ。

「なぜ」を知り、ならば、こんな話をすればいいと、講演のスペック(仕様あるいは話すべき内容)を考えるのは稚拙だ。まずはその前に、相手の求める真の目的、すなわち「あるべき姿」を考える。それが、お客様に「かっこいいところを見せたい」であると想像する。そして、その「あるべき姿」を実現するにはどうすればいいのかと考え、こんな内容にしてはどうかと提案したわけだ。

お客様は、「こうして欲しい」を営業に求めることが常である。しかし、「こうして欲しい」は手段だ。その背後に、実現したい「あるべき姿」があるはずだ。つまり、「DXの話し」は手段であり、「お客様にかっこいいところを見せたい」が「あるべき姿」となる。

お客様の期待する「あるべき姿」は何かをまずは探ることだ。ならば、それを実現するための最善の策を提示するのが、プロとしての営業の真骨頂であろう。

では、具体的に、どのようなやり方をすればいいのだろうか。明日は、この点について、考えてみようと思う。

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【募集開始】次期・ITソリューション塾・第38期(106日〜)

次期・ITソリューション塾・第38期(106日 開講)の募集を始めました

ITソリューション塾は、ITのトレンドを体系的に分かりやすくお伝えすることに留まらず、そんなITに関わるカルチャーが、いまどのように変わろうとしているのか、そして、ビジネスとの関係が、どう変わるのか、それにどう向きあえばいいのかを、考えるきっかけになるはずです。

また、何よりも大切だと考えているのでは、「本質」です。なぜ、このような変化が起きているのか、なぜ、このような取り組みが必要かの理由についても深く掘り下げます。それが理解できれば、実践は、自律的に進むでしょう。

  • IT企業にお勤めの皆さん
  • ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
  • デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん

そんな皆さんには、きっとお役に立つはずです。

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実務・実践のノウハウを活き活きとお伝えするために、現場の最前線で活躍する方に、講師をお願いしています。

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最終日の特別補講の講師についても、これからのITあるいはDXの実践者に、お話し頂く予定です。

詳しくはこちらをご覧下さい

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  • 回数 :全10回+特別補講
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  • 会場 :オンライン(ライブと録画)
  • 料金 :¥90,000- (税込み¥99,000) 全期間の参加費と資料・教材を含む

詳細なスケジュールは、こちらに掲載しております。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

【9月度のコンテンツを更新しました】
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研修パッケージ
・【新規】IT営業向け講演資料・正解のない時代に営業は何をすべきか
・【改訂】総集編 2021年9月版
・【改訂】DX基礎編 デジタルトランスフォーメーションの本質とビジネス戦略
・【改訂】SI事業者のための最新のITトレンドとビジネス戦略 1日研修パッケージ
・【改訂】新入社員のための最新ITトレンド1日研修・2021年版・パッケージ
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ビジネス戦略編・DX
【改訂】デジタル化とは何かp.6
【新規】デジタル化とはレイヤ構造化と抽象化 p.12
【改訂】デジタル化がもたらすレイヤ構造化と抽象化/デジタル化p.13
【新規】VUCAの時代の課題解決に対するアプローチ p. 27
【新規】DXとはVUCAの時代に対応するための変革 p. 48
【新規】DXの定義 p.49
【新規】DXの定義 p.50
【新規】DXの目的 p.51
【改訂】DXの公式 p.115
ビジネス戦略編・その他
【新規】優秀なエンジニアのマインドセット p.143
【新規】優秀なエンジニアになるための自律的サイクル p.144
サービス&アプリケーション・先進技術編/AIとデータ
【新規】特化型人工知能(AI)と汎用型人工知能(AGI) p.15
【新規】教師あり学習と教師なし学習 p.126
【新規】強化学習 p.127
ITインフラとプラットフォーム編
【新規】ゼロトラスト・ネットワークによるセキュリティ p.116
開発と運用 編
【新規】作らない技術を前提としたシステム p.9
【新規】ITの変化とビジネス対応 p.10
【新規】「作る技術」から「作らない技術」へ p.11
【新規】「作らない技術」のスタック p.12
下記につきましては、変更はありません。
 ITの歴史と最新のトレンド編
 サービス&アプリケーション・基本編
 サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
 クラウド・コンピューティング編
 テクノロジー・トピックス編

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