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「売るモノが変わる」ポストSIビジネスが向き合うべき本質的な変化

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「売るモノが変わる」

ポストSIビジネスを考える時、この変化の本質に向き合う必要がある。

スクリーンショット 2020-06-23 6.34.02.png1970年代から1980年代の日本の労働生産性は世界一位だった。この頃は、「いいモノを作って売る」ことがビジネスを成長させる原動力。そのために、優れた技術を持つ企業や人間力による機能や品質の作り込みが求められた。日本はこの点において、世界で抜きん出た存在だった。

しかし、いいモノが作れるようになれば、それを安く作り市場を拡げようとのモチベーションが働く。その結果、安い労働力を求めて新興国に生産拠点を移す動きが加速する。同時に自動化も推進し、生産性の向上に加え、品質や機能を機械によって底上げした。その結果、コモディティ化がすすみ、安さだけでは成長を促すことができなくなった。

そこで、顧客毎に個別最適な組合せを提供する「インテグレーション」の視点が注目されるようになった。商品単体では差別化難しくても、個別最適化された財やサービスの組合せを提供することで差別化を図り、成長に結びつけようという動きだ。しかし、ここに来てこの「インテグレーション」も揺らぎはじめている。

しかし、それまでのいずれもが「顧客価値を実現する手段」を提供するものだった。顧客は、手段(製品)を手に入れ、それを使わなければ、価値を手に入れられなかった。しかし、クラウドを使えば、コンピューターという手段を手に入れなくてもアプリケーションを使うことができる。また、センサーが組み込まれたジェット・エンジンはリアルタイムで飛行中のデータを把握できることからエンジンの稼働時間に応じて課金するというビジネスが可能になった。また、UberLyftGrabなどの個人所有の自動車による配車サービスはタクシーやレンタカーのように自動車を自ら所有することなく「自動車で人を目的地に移送する」というサービスを提供している。

つまり、「顧客価値」を実現する手段を提供することから、「顧客価値」そのものを提供することへと変わりつつる。モノからコト、あるいは、モノからサービスへとビジネスの主役がシフトし、モノはサービスを実現するための手段、すなわち脇役へと変わってしまう。

この新しいパラダイムはクラウドやインターネット、IoTAIなどのテクノロジーに支えられている。この現実にSIビジネスも向き合わなければならない。

モノの販売や工数のビジネスが直ちになくなることはない。しかし、モノや工数を手に入れなくても顧客価値を直接手に入れられるようになれば、そちらに需要がシフトすることは必然の流れだ。

コロナ禍によって、リモートワークを強いられた結果、鉄道やバス、自動車や航空機の需要は劇的に落ち込んだ一方で、ZoomTeamsなどのオンライン会議サービスの需要は大幅に拡大した。つまり、モノを必要とする移動に関わるビジネスは、オンライン会議サービスに置き換えられたわけだ。これもまた、モノからサービスへとビジネスの主役がシフトした1つの事例と言えるだろう。

クラウドやゼロトラスト・ネットワーク、IoTAI、アジャイル開発やDevOpsといったキーワードも、「モノからサービスへとビジネスの主役がシフト」するという文脈から捉えれば、必然の流れとなる。コロナ禍はこの流れを加速する。

「売るモノが変わる」とは、そんな社会構造、あるいは産業構造の変化の必然である。過去のパラダイムにしがみつくことが、いかにビジネス・リスクであることは、言うまでもないだろう。

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クラウド・コンピューティング編

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サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT

  • 【新規】IoTの定義 p.15
  • 【新規】サプライチェーンとデマンドチェーン p.44-45
  • 【新規】MaaSエコシステムのフレームワーク p.61

サービス&アプリケーション・先進技術編/AI

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下記につきましては、変更はありません。

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