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営業は売り込みもお願いも必要ない 2/2

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前回に続く

「セキュリティが心配なので○○を禁止する。」

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そんな「セキュリティ対策(?)」が、当たり前に行われている。本来、テクノロジーは、利便性や効率を高めることや、いままでできなかったことをできるようにしてくれるという価値を提供する。「セキュリティ対策」とは、この価値を最大限に引き出すための安全対策であり、その安全を確実に維持するためのルールの運営や教育などの安心対策でなくてはならないはずだ。そんなテクノロジーの価値を毀損する「セキュリティ対策」に意味はない。

何が起こるか分からない、不安だから、心配だからと、セキュリティ対策の本来の目的を棚上げし、「対策すること」を目的とするとこんな発想になってしまう。

そもそも何を守るのか。どの程度の安心や安全を担保すればいいのか。対象や基準を定めぬままに、対策だけを考えている。本来対策など必要のないことまで含めて、漠然と「心配だから、不安だから」と、一律全てに対策(らしきこと)をしていることもある。

例えば、機密扱いする価値のないイベントの案内を暗号化してメールに添付し、そのパスワードを続けて送ってくることがある。暗号化することに無駄なシステム資源を消費し、平文でパスワードを送り、それを開く手間を受けとる人にも求めてくる。暗号化された添付ファイルはウイルス・スキャンができないので、セキュリティ・リスクを拡散させる可能性もある。こんなことをしていてセキュリティが担保されることなどないことは、まともに考えれば分かる話だ。

メールへ添付すること自体ネットワークに負担をかけるわけで、それが同報通信ともなると膨大なトラフィックを産み出す。また、メールで送り出されたファイルは、送信者には管理できない。そのためセキュアに扱われているかどうかが分からなくなってしまう。ファイル共有サービスを使えば、誰がいつその資料をダウンロードしたかが分かるし、問題があればいつでもダウンロードを停止できる。これがセキュアな運用だ。しかし、外部の仕組みを使うのが心配だと根拠稀薄な理由により、それも使わせないところもある。そして、大量なデータはメール添付できないので、CDDVDで郵送することをルールにしているところさえある。郵送した瞬間に自分の管理外に置かれる。それがどのように使われるかが分からなくなってしまう。

本質に向きあうことなく思考停止し、セキュアであることよりもセキュリティ対策(?)を行うという形式が大切であると考える人たち、それに文句は言いつつも改善を働きかけない人たちの結果としての暗黙の了解が、テクノロジーの価値を毀損し、ビジネスへの貢献を阻んでいる。

ものごとの本質を問い、本質的価値を最大限に引き出すために、何をすべきかを考え、それにふさわしい手段を提供することが、ITに関わるビジネスの「あるべき姿」だろう。しかし、その本質を問わないままに、手段を提供すること、あるいは手段の価値(=儲け)を最大化することが目的とはなってしまっては、やがてはお客様の信頼を失ってしまうだろう。

ここに紹介したセキュリティ対策(?)以外にも、似たような話はいくらである。本質を棚上げし思考停止し、過去の形式だけをただ無批判に繰り返すことが、いかに無益であり、むしろ事業や社会の発展を停滞させる実害でしかないことを、お客様に気付かせなくてはならない。そのためには、常に本質を問い、「正しいこと」を、責任を持って伝えることを心がけるべきだろう。

これができれば、営業は売り込む必要もなければ、お願いする必要もない。お客様が「本質」を理解すれば、自分たちの課題は何かに気付くだろう。そうすれば、これを解決したい、これを実現したいとの思いを持つ。それが実現した後の状態、つまり「あるべき姿」についてのイメージを描くことができれば、その実現に向けて行動に移す決心をするだろう。そういう行為が、結果として案件を創り出す。

*完*

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

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