Growth Mindsetが、新しいテクノロジーをビジネスの武器に変える
12月11日に行われたITソリューション塾・第26期の特別補講「最新のテクノロジーをSIの武器にする!」で、セゾン情報システムズのCTOであり、アプレッソの社長である小野和俊氏にご講演を頂いた。
「ITのどこが楽しいですか?」
ちょっとふざけた質問をしてみた。
「そりゃそうですよ。自分が書いたコードでいろんなことが実現できる。新しいものだって作り出せる。こんな楽しいことはありませんよ。」
彼がスーパー・プログラマーだと言うことは知っていた。嫌いなはずはない。でも、あえて聞いてみるとこん言葉が返ってきた。
彼の話を聞いて、LOGOを思い出した。コンピュータ科学者であり発達心理学者でもあったシーモア・パパートが開発した子どものためのプログラム言語である。
彼は、スイスの心理学者であるジャン・ピアジェから様々なことを学んだとしている。ピアジェは、子どもが生まれてから成長する過程で、自分のまわりの世界についての理解をどのように発達させているのかを生涯の研究テーマとして取り組んだ人物だ。
子供は幼い時から様々なものに触れ、見て、感じて心的モデルを構築してゆく。それを繰り返すことで世界についての理解を発達させてゆく。成長の過程で子どもが様々な体験を重ねるうちに、ある体験が自分の作ったモデルと対立することがある。すると、そのモデルを変更して現実と整合させることによって世界の理解を深めてゆく。これを繰り返し続けてゆくことで、世界についての理解を発達させてゆくのだと考えた。
そんな子供にとっての「遊び」は、子供が世界の仕組みについて独自のモデルを作り、そのモデルとの対立を生みだす行為だと言える。ハパートは、この考え方に基づきLOGOを開発したという。つまり、LOGOを使って自分のモデルを創り、思い通りに行く、行かないといった「遊び」をさせて、体験とモデルがぶつかり合う機会を作ろうというわけだ。言うなればコンピュータによって、子どもたちに新しい世界を見る手助けをしようという想いが込められている。
小野さんの話を聞きながら、彼もまたそうやってコンピュータで「遊び」ながら、自分の世界を拡げてきたのかもしれないなぁという思いがよぎった。
「ブロックチェーンが分からないと言うから、役員や幹部が集まる会議でビットコインを配ったんです。そしたら、みんなピットコインが自分のスマホに送られてきたと、大はしゃぎで、こんなの簡単じゃないか、と言うことになり、それがきっかけで社内でもブロックチェーンやビットコインについての理解が得られるようになりました。」
まさに「遊び」を通して体験させ、ビットコインやブロックチェーンは分からないから不安、怖いといったこれまでの世界と対立させることで、彼らの世界観を拡げることに成功したわけだ。
「セゾン情報システムズ、ブロックチェーン技術を利用した社内仮想通貨を利用開始」
講演の翌日、この記事がネットを賑わしていた。やるなぁ〜、小野さん!
体験して、自分の持っている世界と対立して、整合して、世界を拡げてゆく。彼の話を聞きながら、まさにそれを実践している人なんだと実感した。
小野さんは、社内に「モダン開発チーム」という組織を作ったのだという。自分が「いいな」と思えるやり方を広める組織なのだという。彼が話してくれた資料に次のような一文があった。
- ITの世界はめまぐるしいスピードで変化しており、「効率的かつスピーディー、かつ楽しみながらシステムを作る」ための様々な工夫やツールが日々生まれている。そしてこうしたツールを有効活用することはプロジェクトの成功確率向上に大きく寄与する。
- こうしたツールや開発プロセス、設計や実装の技術によって得られる効果や感動を、モダン開発推進チームが現場に寄り添い、プロジェクトに一緒に参加してプロジェクトメンバーにそのすばらしさを体感してもらう。
- そしてファンになった人がインフルエンサーとしてそのやり方を社内に普及させていくことで、モダンな開発手法をねずみ算式に浸透させていく。
彼のプレゼンテーションの最後にこう書かれていた。
- システム開発によろこびと驚きの連鎖を
- Fun Place to Work
「楽しい!」それがひしひしと伝わってきた。楽しいからまたいろいろとやってみる。同席した日本マイクロソフトのCTO 榊原さんも同じような感覚の持ち主のようだ。彼もまたコンピュータを楽しそうに使いこなしている。
自分の考えでいろいろやって、試して、そして、またやってみる。そういう繰り返しで、自分の世界を拡げてきたのだろう。彼らにはそんな感覚というか習慣があるからこそ、テクノロジーをビジネスの武器にするためのリーダーシップを発揮できるのだと思う。
Growth Mindset(自分の成長は経験や努力によって、向上できるという心の有り様)を持ち、楽しみながら実際に試し、自分の可能性を広げてゆく。それが 新しいテクノロジーを武器にできる大きな原動力となっているようだ。
2月14日(水)よりスタートする次期「ITソリューション塾・第27期」の受付を開始致しました。
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日程 2018年2月14日(水)~4月25日(水) 18:30~20:30
回数 全11回
定員 80名
会場 アシスト本社/東京・市ヶ谷
料金 ¥90,000- (税込み¥97,200) 全期間の参加費と資料・教材を含む
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【お願い】早期に定員を超えると思われますので、まだ最終のご決定や参加者が確定していない場合でも、ご意向があれば、まずはメールにてご一報ください。優先的に参加枠を確保させて頂きます。
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第27期は、これまでの内容を一部変更し、AIやIoTなどのITの最新トレンドについての解説と共に、そんなテクノロジーを武器にして、どうやって稼げばいいのかについて、これまで以上に踏み込んで考えてゆこうと思います。また、働き方改革やこれからのビジネス戦略についても、皆さんに考えて頂こうと思っています。
SI事業者の皆さんには、これからのビジネス戦略やお客様への魅力的な提案を考える材料を提供します。
情報システム部門の皆さんには、自分たちのこれからの役割やどのようなスキルを磨いてゆく必要があるのかを考えるきっかけをご提供します。
講義で使用する500ページを超える最新のプレゼンテーションは、オリジナルのままロイヤリティ・フリーで提供させて頂きます。お客様への提案、社内の企画資料、イベントでの解説資料、勉強会や研修の教材として、どうぞ自由に活用してください。
古い常識をそのままにお客様の良き相談相手にはなれません。
「知っているつもりの知識」から「実践で使える知識」に変えてゆく。そんなお手伝いをしたいと思っています。
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA
2017年12月版・改訂/追加リリース
最新版【12月版】を更改しました
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・量子コンピュータのプレゼンテーションを追加しました。
・各チャートの解説文を大幅に追加・改訂しました。
・デジタル・トランスフォーメーションについて追加・改訂しました。
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サンプル:量子コンピュータ
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRAよりロイヤリティフリーにてダウンロードできます。ほかにも、3000ページほどのプレゼンテーションやドキュメントがロイヤリティフリーでダウンロード(パワーポイント形式、ワード形式、エクセル形式)できます。
今月度の追加・更新の詳細は以下の通りです。
ビジネス戦略
【改訂】デジタル・トランスフォーメーションの意味 p.5
【新規】デジタル・トランスフォーメーション実践のステップ p.11
【新規】デジタル・トランスフォーメーションとは p.12
【新規】SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーション p.13
【改訂】SIビジネスの変革を牽引するトレンド p.16
【新規】収益を生みだすビジネス構造 p.17
【新規】働く現場で何が起こっているのか? P.33
【新規】SI事業者の「働き方改革」 p.34
【新規】「働き方改革」で何を目指すのか p.35
開発と運用
【改訂・解説文】情報システムにもとめられる品質 p.5
【改訂・解説文】これからの開発と運用 解説文の改訂 p.6
【改訂・解説文】開発と運用の関係や役割を変革するDevOps p.25
【改訂・解説文】コンテナとDevOpsの関係 p.36
【改訂・解説文】コマイクロサービス p.38
【改訂・解説文】イベント・ドリブンとコレオグラフィ p.39
【改訂・解説文】超高速開発ツール p.41
【改訂・解説文】コレ1枚でわかるFaaS p.42
【改訂・解説文】これからのITとITビジネス p.48
【改訂・解説文】SRE(Site Reliability Engineer) p.49
【改訂・解説文】APIエコノミー p.51
インフラとプラットフォーム
【改訂・解説文】サーバー仮想化とコンテナ p.95
【改訂・解説文】デスクトップ仮想化とアプリケーション仮想化 p.97
【改訂・解説文】ストレージの仮想化 p.102
【改訂・解説文】SDNとNFV p.103
【改訂・解説文】SD-WAN p.104
【改訂・解説文】サーバー仮想化の3つのメリット p.106
【改訂・解説文】コンバージド・システムとハイパーコンバージド・システム p.135
【改訂】ストレージ性能の推移/1台当たりの容量 p.214
【新規】インフラでの重複排除/圧縮 p.220
テクノロジー・トピックス
【改訂・解説文】「ムーアの法則」と「メトカーフの法則」 p.5
【改訂】VRとARとMR (MRを追加、チャートと文言を改訂) p.14
【新規】従来の方法(集中台帳)とブロックチェーン(分散台帳) p.37
【新規】「量子コンピュータ」についての新章を追加 p.66〜79
量子コンピュータの必要性
これまでの古典コンピュータで解けない問題
循環セールスマン問題(組み合わせ最適化)
量子コンピュータとは何か
量子力学
量子コンピュータの適用分野
BitとQubit
量子コンピュータが高速で計算できる理由
量子コンピュータの種類
量子コンピュータの現状
自然現象を借用したアルゴリズム
量子イジングマシンとスパコン
D-Waveの計算原理
ITの歴史と最新のトレンド
*追加・変更はありません
サービス&アプリケーション・先進技術編/人工知能
*追加・変更はありません
サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
*追加・変更はありません
サービス&アプリケーション・基本
*追加・変更はありません
クラウド・コンピューティング
*追加・変更はありません