知っているつもりの知識から、説明できる知識へ
「皆さんに資料をソフトコピーのままで渡しているのは使ってもらいたいからです。自分の言葉で説明できるようになってこそ、本物の知識です。そういう実践的な知識を身につけていただきたいんです。」
2009年5月にスタートしたITソリューション塾は、第21期の最終講義を昨夜終えることができました。今期は82名/34社でしたが、仕事を終えてからの毎週2時間の講義は、なかなか大変なことです。それでも、自分力を磨く時間だと割り切って優先的にスケジュールする人も少なくありません。それもまたこの塾に通うことの意義なのだと話されていました。
私は、1982年に日本IBMに入社し営業として社会人をスタートしました。それから34年、IT業界で過ごしてきたわけですが、いまほど「よく分からない時代」はないと感じています。それは、テクノロジーの爆発的多様化とこれまでにない変化のスピードが理由です。
これまでもメインフレーム、ミニコン・オフコン、パソコンとコンピューターの小型・高性能化、それにともないシステム構成や利用形態は大きく変わりました。しかし、ITビジネスの本質は、コンピューターを買って、アプリケーションを構築・導入し、それを運用するという基本形を変えることはありませんでした。その本質を根本的に変えたのは「クラウド・コンピューティング」の登場です。
ユーザーがコンピューターを利用するのはそれを使った結果としての「価値」を手に入れたいからです。しかし、その価値を手に入れるためには手段であるコンピューターとアプリケーション・システムという道具を買わなければなりませんでした。しかし、クラウドの登場は、手段を手に入れなくても直接「結果」を手に入れられる時代へと変えてしまったのです。
また、クラウドは失敗のコストを劇的に引き下げました。かつては、何かしたければコンピューターを購入し、運用管理の要員も雇わなければなりませんでした。数千万円の投資です。簡単に失敗することなどできません。当然、慎重にならざるを得ず、手堅い成功を積み重ねるしかありません。しかし、クラウドのおかげで失敗しても数千円、数万円になりました。容易に沢山の失敗ができるようになりました。
「新規事業の成功は千に3つの確率」といいますが、そのための997の失敗を容易に重ねることができるようになったのです。それが、「テクノロジーの爆発的多様化と変化のスピードの速さ」を生みだしています。
しかし、変化の波は「緩やかに変わる波」、「うねるように繰り返す波」、「あっという間に通り過ぎてしまう波」があります。それらをごちゃごちゃにして見てしまうから難しいのです。フーリエ変換して異なる波長を分離して、それらをわかりやすく、歴史に沿って整理することです。そうすれば、なぜそのキーワードが登場したかが理解できます。ひとつひとつのキーワードが大きな構造としてつながってゆきます。それをわかりやすいチャートと解説で説明すれば、なるほどそういうことだったのかと言うことが理解できるのです。
「よく分からない時代」だからこそプロの説明力必要です。お客様はそれを価値として求めています。だから、IT業界でプロとして生きてゆくためには、自分の言葉で、そして、相手に分かる言葉で説明できなければいけないのです。
知っているつもりの知識から、説明できる知識へ
ITソリューション塾は決して難しいテクノロジーを難しく学ぶ場所ではありません。テクノロジーの背景にあるニーズは何か、それがどんな価値を生みだすのかを整理することが目的です。お客様はその説明を求めています。
人工知能が急速に進化を遂げても、お客様に寄り添い、その想いを斟酌し、わかりやすく説明できる能力は、しばらくは人間にはかなわないでしょう。いや、人間にできる領域はもうそこにしか残っていないのかもしれません。
だからこそ、自分の言葉を磨き、人間としての役割を果たすべきなのです。ITソリューション塾が、そういう人たちを育て、自らがハブになりその役割を果たしてくれれば、日本はもっとうまくITが活用できるようになるはずです。最終講義を終えて、そんな想いを新たにしています。
知っているつもりの知識から、実戦で使える知識へ
残席数名
- 5月17日(火) 18:30より
- 毎週2時間 全11回
- 定員80名
- クラウド・コンピューティングと仮想化との違い、または両者の関係を説明してください。
- 「セキュリティ対策」という言葉がありますが、そもそも何をすることなのでしょうか。その目的と具体的な対策について説明して下さい。
- IoTとビッグデータ、アナリティクスの関係を説明してください。
- RDB(リレーショナルデータベース)が広く利用されている一方で、NoSQL(Not Only SQL)と言われるデータ管理の仕組みが注目され、利用が拡大しています。その理由とNoSQLの適用領域について説明してください。
- アジャイル開発やDevOpsが注目されています。それはどのような理由からでしょうか。従来までのやり方と何が違い、あなたのビジネスはどのような変化を求められるかを、その理由とともに説明して下さい。
あなたは、以上の質問に答えられるでしょうか。
「お客様に相談しお願いする存在ではなく、お客様に相談されお願いされる存在になること」
これは、私なりにイメージする営業やエンジニアのあるべき姿です。そのためには、
「お客様の相談に応えられる体系的な知識とそれを説明できる能力を持つこと」
これに尽きると思います。ですから、こういう質問に答えられることは、お客様に相談されるための前提であり、そういう安心感というか、信頼感があるからこそ、ITに関わることならまずは相談される存在になれるのです。
もちろん、これ以外にも様々な能力の総合力が必要であることは言うまでもありませんが、ITを生業にしている以上、この点においてお客様以上の知識と説明できる能力がなければ、プロとしての基本をクリアできているとは言えません。
自分商材について説明できても、他社の商材や世の中のITの常識のなかで、「自社の商材の位置づけを説明できない」
それで、お客様はあなたに相談するでしょうか。
「知ってるつもり知識から、説明できる知識へ」
ITソリューション塾はそんな能力を身につけて頂くための「実践スキル養成講座」です。
詳細は、こちらにてご覧下さい。
*定員に達しました締め切りとなります。もし、まだ決定ではないけれど、ご参加のご意向がありましたら、まずはメールにてお知らせください。参加枠を確保させて頂きます。
【最新版】最新のITトレンドとビジネス戦略【2016年4月版】
*** 全て無償にて閲覧頂けます ***
【大幅改訂】新入社員研修のための「ITの教科書」
いよいよ、新入社員研修が始まりますが、そんな彼らのための「
よろしければ、ご活用ください。
さて、この教科書を作った理由ですが、
そこで、そんな彼らのために最新のITトレンドを教えると共に、
改めて基礎的なこと、
それぞれ、プレゼンテーション(PPTX形式)と教科書(
ダウンロード頂いた資料はロイヤリティフリーですから、
【最新版リリース】ITのトレンドとビジネス戦略・最新版【2016年4月】
【インフラ・プラットフォーム編】(267ページ)
- PaaSの内容を更新しました。
- APIエコノミーについての解説を追加しました。
- データベースの内容を更新しました。
- 新たに「ストレージの最新動向」の章を追加しました。
【サービス・アプリケーション編】(218ページ)
- IoT
- M2M/IoTの発展経緯とCSP(Cyber-Physical Systems)を訂正しました。
- 機器のイノベーションとビジネス戦略を追加しました。
- スマートマシン
- スマートマシンとは何かを簡単に説明するチャートを追加しました。
- 人工知能と機械学習を追加しました。
- 人工知能の4レベルを追加しました。
- ニューラルネットワークの原理を追加しました。
- 開発と運用
- アジャイルとDevOpsの関係について訂正および新たなチャートを追加しました。
- これからのサイバーセキュリティ対策について新たなチャートを追加しました。
【ビジネス戦略編】(91ページ)
- ポストSI時代に求められる人材について内容を改訂しました。
- 常識崩壊の時代を追加しました。
- ITとの正しい付き合い方を追加しました。
閲覧は無料です。ダウンロード頂く場合は会員登録(500円/
http://libra.netcommerce.co.
まずは、どのような内容かご覧頂ければ幸いです。
「ポストSIビジネスのシナリオをどう描けば良いのか」
これまでと同じやり方では、収益を維持・拡大することは難しくなるでしょう。しかし、工夫次第では、SIを魅力的なビジネスに再生させることができます。
その戦略とシナリオを一冊の本にまとめました。
「システムインテグレーション再生の戦略」
- 歴史的事実や数字的裏付けに基づき現状を整理し、その具体的な対策を示すこと。
- 身の丈に合った事例を紹介し、具体的なビジネスのイメージを描きやすくすること。
- 新規事業を立ち上げるための課題や成功させるための実践的なノウハウを解説すること。
また、本書に掲載している全60枚の図表は、ロイヤリティ・フリーのパワーポイントでダウンロードできます。経営会議や企画書の資料として、ご使用下さい。
こんな方に読んでいただきたい内容です。
SIビジネスに関わる方々で、
- 経営者や管理者、事業責任者
- 新規事業開発の責任者や担当者
- お客様に新たな提案を仕掛けようとしている営業
- 人材育成の責任者や担当者
- 新しいビジネスのマーケティングやプロモーション関係者
- プロジェクトのリーダーやマネージャー