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知識こそ財産 そのための取り組みを怠ってはいないだろうか?

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「知識こそ、事業資産ですよ。」

中堅ITベンダーの社長から伺った話です。

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とてもあたりまえのことだとおもいました。しかし、このあたりまえに関心を払わず、「エンジニアは工数」と考え、「稼働率を上げることにしか関心がない」というSIerは少なくないのも現実です。

「自分たちがやりたい新しい技術をお客様に積極的に提案し、それで仕事をもらってくるようにしています。」

そして、それをすべて一括請負で行ってきたそうです。「少しでもリスクがないように、準委任でやろう」という発想は、そもそもなかったそうです。

技術者が技術を楽しみ、その技術で成果が出せる環境を提供するためには、この方法しか思い浮かばなかったそうですが、結局はそういうことがエンジニアのIT知識を育てることになっているのでしょう。

しかし、SIerの第一線で働くエンジニア達に話を聞けば、既存システムの保守に多くの時間を費やし、新しいシステムを、新しい技術を使って開発する機会など、なかなか巡ってきません。そのため、新しいITの知識に接する機会は限られているのが現実です。そして、この状況をさらに悪い方向へ向かわせようとしているのが、いまの特需です。

IoTやビッグデータ、人工知能など、新しいテクノロジーが新たな需要を生みだそうとしています。これに伴い、開発手法やエンジニアに求められるスキルも大きく変わります。しかし、いまの特需に求められるスキルはテクノロジーは、従来の延長でしかありません。しかし、この特需のおかげで、その背後ですすむこの急速な変化に多くのエンジニアが関与するチャンスが奪われ、スキルを従来のままに塩漬けにしてしまう危惧をはらんでいます。

この特需は、今年から来年にかけて終わってしまうでしょう。そして、その後は、再びオリンピック特需が起こるかもしれません。しかし、そこに求められるスキルは、きっと従来の延長線上にあるものではなく、背後で着実に進化を遂げてきた新しいテクノロジーへの対応であることは間違いありません。しかし、塩漬けにされたスキルで、その需要に応えることはできません。このギャップを短期間に埋めることも容易なことではないでしょう。

収益構造も変わることを余儀なくされるでしょう。モバイルやウェアラブルなど、私たちの日常は、もはやITという前提の上で成り立っています。ITは業績に直結するようになり経営やビジネスの現場は、これまでにも増して、ITを意識するようになるでしょう。その一方で、クラウド・サービスの普及は、ITの難しさを隠蔽してゆきます。そうなると、業務や経営の立場にある人たちが、ITに関わる意志決定に大きな影響力を持ち始めます。そのとき、「これだけ工数がかかったのでお支払いください」が通用するのでしょうか。

また、ビジネス環境の不確実性と変化のスピードの速さは、仕様を全て固めてからシステムを開発する従来型のやり方では対応できなくなるでしょう。仕様が全て決まらないままに開発を始めなくてはなりません。また、開発しても変更に即応できなければ、だれがそんなシステムを使うでしょうか。

このように、「人月積算型+ウォーターフォール型」開発を前提にしたビジネス・モデルは成り立たなくなるのです。

これは、エンジニアだけに言えることではありません。営業に求められる役割もスキルも大きく変わります。

工数を増やすことが営業の大切なミッションでした。しかし、ひとつひとつの案件規模が小さくなり、工数をまとめて獲れる案件が少なくなったのは、今に始まった話ではありません。また、仮に工数を確保できても利益確保が難しくなっています。そして、上記に挙げたような変化が目の前に迫っているのです。

だから「ソリューション営業」で差別化を図り、ビジネスを拡大しなければとなるのでしょう。しかし、未だ「ソリューション営業」の本質を理解しないままに、「お客様の課題を見つけなければならない」、あるいは、「もっと上流から係わりお客様の現場のニーズを見つけ出さなければならない」という、表面的な手法論が語られ、なかなか成果が上がらないと嘆く声も聞かれます。

「ソリューション営業」の本質は、プロジェクトをお客様に仕掛けることです。「こういうプロジェクトを一緒になって起こしましょう。そして、御社の業績拡大を図りましょう」と仕掛ける営業活動です。お客様の課題やニーズを見つけ、それを解決するための「システムを提案」をすることに留まっていては、お客様の業績拡大に貢献できるとは限りません。これをさらに一歩進め、ビジネス・プロセスの変革をも伴う「プロジェクトを提案」し、その実施に責任を持つ事業部門長や経営者に迫り、説得し、その実現をコミットすることで契約を獲得する営業活動といえるでしょう。

当然、営業は業務や経営についての知識を持たなくてはなりません。また、ITのトレンドを正しく理解し、プロジェクトを成功させるために最適なテクノロジーの組合せを提案しなければなりません。そして、そのプロジェクトを成功させるために、自社の内外にかかわらず、お客様をも巻き込んで最適な体制を作り、それを維持しなければなりません。

こんな話をするとそれはコンサルタントの仕事ではないかと言われる方もいらっしゃるかもしれません。そのとおり、営業はコンサルタントでなくてはならないのです。そして、もうひとつの役割を背負います。それは、プロデューサーとして、プロジェクトを完成させ、お客様のご満足を見届ける役割です。ここまでできて、営業はお客様の信頼を得て、次のビジネスへの確かなチャンスを手に入れることができるのです。

「簡単なことではない」

「理想論だ」

「うちにはそんな人材はない」

必ずそんなことをおっしゃる方がいらっしゃいます。だからこそ、そういうことを実現すべく施策を打たなければならないのです。

「そのとおりですね」

「うちでもやらなければなりません。」

このようにご同意頂ける方もおおいのではないでしょうか。しかし、「今は忙しいので落ち着いたら取り組みます」というようでは、きっと落ち着いても着手されないでしょう。

「知識こそ、事業資産」

この言葉は、SIerが企業として根っこに持つべき理念ではないかと思っています。当然、そこで働くエンジニアや営業は、これを実践しなければなりません。

先日、ある中堅SIerさんで、「新規事業開発プロジェクト」が解散しました。その理由は、「現場の工数が足りないから」でした。そのプロジェクトには、優秀なエンジニアや営業が参加していたのですが、全員現場に戻されてしまいました。そんなことで良いでしょうか。「蟻とキリギリス」の物語に描かれた蟻になるのか、キリギリスになるのかを考えた方が良いかもしれません。そして、これは、会社の問題としてではなく、エンジニアや営業が、自分の問題として真剣向き合うべきことです。

「知識こそ、自分の財産」と考え、自分の人生を考えることも必要かもしれません

【最新版】最新のITトレンドとビジネス戦略【2016年3月版】

*** 全て無償にて閲覧頂けます ***

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【新規登録】新入社員研修のための教材を追加登録しました。

ITの未来:主に新入社員を対象に、IT(情報技術)の未来について解説したモノです。プレゼンテーションに加え、解説文(教科書)も合わせて掲載いたしましたので、自習にも役立ちます。

既に登録いたしました「ITの基礎」、「情報システムの基礎」と合わせてご活用下さい。全てワードとパワーポイントのファイルですから自由に加工編集できます。

【目次】

  • アンビエントITの時代に生きる私たち
    • 現実世界をデータ化する仕組み:IoTとソーシャル・メディア
    • あらゆるものをつなげる:インターネット
    • ビッグ・データを蓄え処理する:クラウド
    • ビッグ・データを解釈し意味や価値を取り出す:アナリティクスと人工知能
    • 人間の身体能力を拡張する:ロボット
    • 現実世界とサイバー世界が一体となって機能する:サイバー・フイジカル・システム
    • ITを抜きにして考えられない時代へ
  • 最新のITトレンド
    • インターネット
    • クラウド・コンピューティング
    • IoT(Internet of Things)
    • 人工知能

【ダウンロードできる教材】

  • プレゼンテーション(pptx形式:21ページ)
  • 教科書(docx形式:40ページ)

既に以下を登録済みです。

【ITの基礎】

  • プレゼンテーション(pptx形式:31ページ)
  • 教科書(docx形式:23ページ)

【情報システムの基礎】

  • プレゼンテーション(pptx形式:10ページ)
  • 教科書(docx形式:15ページ)

【更新】最新のITトレンドとビジネス戦略

【インフラ・プラットフォーム編】(246ページ)

  • ハイブリッドクラウドのプレゼンテーションを作り直しました。p.41

【サービス・アプリケーション編】(207ページ)

  • IoTとCPSの関係についてプレゼンテーションを追加しました。P.16
  • IoTの設備サービス事例として、CRMとトータルエンジニアリング・サービスについてプレゼンテーションを追加しました。P.50
  • DevOpsの目的についてプレゼンテーションを追加しました。p.193

【ビジネス戦略編】(89ページ)

  • 2つのIT:「企業価値を高めるIT」と「顧客価値を高めるIT」を追加しました。 p.9
  • 「道具としてのIT」から「思想としてのIT」への進化を追加しました。p.10
  • 「いつまでなら大丈夫ですか?」への回答を追加しました。p.43
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「ポストSIビジネスのシナリオをどう描けば良いのか」

これまでと同じやり方では、収益を維持・拡大することは難しくなるでしょう。しかし、工夫次第では、SIを魅力的なビジネスに再生させることができます。

その戦略とシナリオを一冊の本にまとめました。

「システムインテグレーション再生の戦略」

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  • 歴史的事実や数字的裏付けに基づき現状を整理し、その具体的な対策を示すこと。
  • 身の丈に合った事例を紹介し、具体的なビジネスのイメージを描きやすくすること。
  • 新規事業を立ち上げるための課題や成功させるための実践的なノウハウを解説すること。

また、本書に掲載している全60枚の図表は、ロイヤリティ・フリーのパワーポイントでダウンロードできます。経営会議や企画書の資料として、ご使用下さい。

こんな方に読んでいただきたい内容です。

SIビジネスに関わる方々で、

  • 経営者や管理者、事業責任者
  • 新規事業開発の責任者や担当者
  • お客様に新たな提案を仕掛けようとしている営業
  • 人材育成の責任者や担当者
  • 新しいビジネスのマーケティングやプロモーション関係者
  • プロジェクトのリーダーやマネージャー
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