IoTビジネスに取り組むために"Think big. Star small. Move fast."
「うちもIoTをやろうかと検討しているんですよ。」
ある中堅SI事業者の経営者の言葉です。
「どんなことをされようとしているのですか?」
私のこんな質問に、次のような答えが返ってきました。
「具体的に何があるという訳ではありませんが、これまで組み込み開発の経験もありますから、IoTが話題になってますし、そのあたりの受託開発も増えると思うんですね。だから、そういう仕事を増やしてゆこうかと思っています。」
デバイスの開発なのでしょうか、アプリケーションの開発なのでしょうか、プラットフォームの開発なのでしょうか、いずれにしろIoTを十把一絡げに捉えていらっしゃるようでした。
IoTビジネスをどのように捉えるかは、様々です。例えば、センサーやネットワーク機能が組み込まれたモノそのもの、それをネットワークにつなぐ通信モジュール、また、IoTに最適化されたネットワーク、デバイスを管理し集めたデータをアプリケーションへ送り出すプラットフォーム、そのデータを使ったアプリケーションなどいろいろな階層があります。
このような各階層での取り組みがすすむ一方で、そもそも、「IoTでどうやって稼ぐのか」といったビジネス・モデルが描けないままに、ビジネスの具体化がなかなか進まないという話も聞きます。
この現実に向き合うことなく自分たちの立ち位置を定めないままに、かつての受託開発同様に「依頼されたら対応する」というのでは、IoTビジネスに関わるのは、時期尚早と言えるでしょう。
まずは、「自分たちは何ものなのか」をしっかりと問うことだと思います。何が得意で、どのようなカタチでお客様や社会に貢献できるのでしょうか。IoTをその手段として活かしてゆくためには、そういう自分たちの立ち位置や役割を定めることが、まずは大切です。ただ、それを硬直的に捉える必要はありません。大きな構想を描き、とにかくいろいろと試し、答えを探すことです。それができる時代になったのです。
モノとモノをつなぐM2M(Machine to Machine)の歴史は、産業界や交通機関などの社会公共分野では、古い歴史があります。しかし、携帯電話やスマートフォンの普及と共に低コストで利用できるモバイルネットワークが隅々に行き渡り、通信機器やプロセッサー、センサー類の小型・低価格化が進みました。
その結果、失敗のコストが大きく下がり、新しいことを試してみることが容易になりました。先日発表のあったSORACOM Airもまた、IoT通信の価格破壊であり、新たな試みを促すものと言えるでしょう。
「千三つ」、すなわち1000に3つほどしか成功しないといわれる新規事業です。これまでは1回の失敗に大きなコストがかかり、簡単には「試してみる」ことができませんでした。しかし、失敗のコストが大きく下がったことで、簡単に試せるようになったのです。IoTは、そんな時代を背景としたM2Mの再定義であり、再発明を促しているともいえるでしょう。
自分たちの立ち位置を考え、大きな未来を描き、失敗のコストが下がった時代をフルに活かしてチャレンジを重ねること。IoTビジネスに取り組んでゆくためには、そんな考え方が必要なのだとおもいます。
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最新版【2015年10月】をリリースいたしました。今回の目玉は、最新ITトレンドを俯瞰するチャートの追加、IoT関連のチャートの追加、ビジネス戦略の内容刷新とSIビジネスを分析したチャートの追加です。
【テクノロジー編】(379ページ)
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【ビジネス編】(67ページ)
- 新たに「SIビジネスの現場や課題」の章を立て、8枚のチャートを追加しました。
- 成長してきたSI産業
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- 新たに「SIビジネスのが直面する現実」の章を立て、既存のチャートと4枚の新しいチャートを加えました。
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目次
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- 第1章 クラウドコンピューティング
- 第2章 モバイルとウェアラブル
- 第3章 ITインフラ
- 第4章 IoTとビッグデータ
- 第5章 スマートマシン