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災害支援にITが果たせる役割とは?

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「災害が発生したとき、ITを活用すれば、もっと効果的な支援ができるのではないか。」

4月4日(土)と5日(日)の2日間、全国から40名ほどが集まり、福島県いわき市で「災害時におけるITを活用した支援に関する会議」が開催された。

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参加者は、各自治体の社会福祉協議会の関係者、災害ボランティア団体、大学や研究機関の研究者、IT企業の関係者など、災害支援やITに関わる人たちで構成されている。特に中心となっているのは、社会福祉協議会の関係者だ。

社会福祉協議会(社協)とは、民間の社会福祉活動を推進することを目的とした非営利の民間組織で、それぞれの都道府県、市区町村で、地域住民のほか、民生委員・児童委員、社会福祉施設・社会福祉法人等の社会福祉関係者、保健・医療・教育など関係機関の参加・協力のもと、地域の福祉増進に取り組んでいる。

また、地域のボランティアと協力し、高齢者や障害者、子育て中の親子が気軽に集える「サロン活動」を進めているほか、ボランティア活動に関する相談や活動先の紹介、また、小中高校における福祉教育の支援等、地域の福祉活動の拠点としての役割も果たしている。災害時には、外部からのボランティアの受け入れや活動調整の窓口にもなる。

今回の会議では、災害時に設置される「災害ボランティアセンター」の活動を効果的に行うために、ITに何ができるかが話し合われた。

災害時には、全国から多くのボランティアや支援物資などが、被災地に集まってくる。それらをうまく活かし、いち早く被災者に支援を届けることが、災害ボランティアセンターの使命となる。しかし、普段「災害」には関わっていない限られた人たちだけで、それをこなすことは容易なことではない。ならば、ITの力を活かせば、そんな彼らの活動を支えられるのではないか、そのためにはどんなことをすれば良いのかが議論された。

初日は、災害ボランティアセンターでの活動経験や災害IT支援の実践事例などが紹介され、これからの議論のための情報提供や問題提起が行われた。

その後、「情報発信」、「災害ボランティアセンターの業務効率化」、「災害時に備えた人材育成」、「災害時のガバナンス対策」の4つグループに分けて、IT活用のあり方が議論された。私は、「情報発信」グループの議論に参加した。

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私たちのグループでは、まず「誰のために、何のために情報発信が必要か」が議論された。改めて、こうやって整理してみると、災害ボランティアセンターのミッションや役割が見えてくる。

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しかし、このような「あるべき姿」と現実はほど遠い。それが、このチャートだ。

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それぞれの課題について、どのようなことをすべきかを議論し、26の解決策を洗い出した。これについては、早々に整理してみようと思う。

いずれにしろ、ITが関わる前にやるべきことは多そうだ。しかし、同時にITを活かすこと、あるいは、ITを前提に考えれば、新しい情報発信のための仕組み作りができそうだ。

その他のグループも様々な実現可能なアイデアが示され、具体的なアクションプランも提示された。生産的で熱心な議論に、瞬く間に時間が過ぎていった。

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普通なら関わることの少ない社協や災害ボランティアの方達とIT関係者が、一堂に会して話し合う機会は、これまでには無かったことだ。お互いの常識の違いを知り、言葉の違いを知り、また、世代の感性の違いを知り、新たな気付きを得る機会となった。このような経験は、同じ業界内の付き合いでは、得られるものではない。

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特に「ITは難しいもの」と考える現場が普通であり、そう言う人たちと向き合うことの大切さを再認識させられた。これは、災害現場に限らず、私たちの日常そのものでもある。ITというものが、世の中に活かされるためには、この常識に立って考えなければいけない。また、「普段使えないものは、災害時にも使えない。」と考えておかなくてはいけない。FacebookやTwitter、あるいは、その他のITツールも日常使っている感覚の延長で考えなくてはいけない。ITリテラシーの育成やUIだけではなくUXを意識したデザインにも気を使う必要があるだろう。

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ITに関わるものとして、自分達の業界やその関係者では無い人たちと、このような議論ができてほんとうに良かったと思っている。多様な常識や価値観に触れたことで、改めてITの可能性とそれを活かしてゆくことの難しさを考える良い機会となった。また、同時に、ひとの繋がりの大切さを実感するものでもあった。「こういうことならあの人がいる」というお互いの繋がりが、きっとどこかで役に立つ。そんな、貴重な機会を与えられたことに感謝したい。

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目次

  • 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
  • 第1章 クラウドコンピューティング
  • 第2章 モバイルとウェアラブル
  • 第3章 ITインフラ
  • 第4章 IoTとビッグデータ
  • 第5章 スマートマシン

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