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ポストSIビジネス:新規事業を成功させるプロジェクトの進め方

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「新規事業開発のためのプロジェクトチームを作って活動しています」

そういう会社は、少なくない。しかし、先に紹介したような組織や体制を作って継続的に取り組んでいる会社となると、決して多くはない。

『新規事業開発責任者』なる人を選任し「新規事業を立ち上げなさい」と言い渡し、後は個人の自助努力に任せるだけになっている。あるいは、専任者がだれもいないプロジェクトになっている。

先のブログでも指摘したとおり、兼任で任されていれば、具体的な成果を求められる本業を優先させようとするのは、当然の心理だ。たとえ結果が出なくても、「本業が忙しいから」と言い訳もできる。そんなことでは、成果を期待することはできない。

たとえば、次のようなルールでプロジェクトに取り組んでみてはどうでしょう。

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新規事業の専任者を、経営者あるいは事業責任者が任命する。

  • 営業企画や事業企画、マーケティングなどの部門に所属し、新規事業立ち上げプロジェクトの責任者として機能させる。
  • KPIは、プロジェクトの成功とマイルストーンの達成。

専任者はプロジェクトの起ち上げにあたり、成功と見なす条件、たとえば、売上金額、市場シェア、顧客数などの目標を決める。

  • 同時に、その期間と四半期ごとのマイルストーンを設定する。

プロジェクトには、営業、技術、マーケティングなど、ほかの部門の関係者を兼任で参加させる。

  • 各部門は、このプロジェクトのスポンサーとして予算を提供する。

専任のプロジェクト責任者の下、役割分担を行い、作業を進める。

  • 彼らと定期的に打ち合わせを行い、PDCAを回す。

四半期単位ごとに設定したマイルストーンの達成状況を、経営者あるいは事業責任者が評価。

  • 成果が上がれば組織を拡大し、独立した専任部隊に格上げする。
  • うまくいかなければ、プロジェクトを終わらせる。

「そんなことができる人材がいたら苦労しませんよ」

しかし、決断をしなければ、いつまで経ってもそういう人材を育てるきっかけは生まれない。私は多くのITベンダーやSI事業者の人たちと付き合っているが、そういうチャンスを与えてくれないことに不満を持っている「できる人」たちがたくさんいる。ただ、現場のマネージャは彼らが引き抜かれてしまうことに抵抗するだろう。それが、「そんなことができる人材」を埋もれさせているのかもしれない。我が国における企業をまたがる「人材の流動性の低さ」という足かせも、社内であれば少しは自由度があるはずだ。

専任を置いて取り組んでも、成果がなかなか上がらないことはめずらしくない。そのようなときは、積極的に外部のリソースを活用すべきだ。成果が上がらないのは、担当者の努力不足、能力不足とは限らない。これまでの職場の経験から培われた価値観や既成概念が新しい発想を妨げていることも少なくない。あるいは、上司や社長の顔がちらついて、思い切った判断が下せないこともある。

志の高いベンチャー企業は少なくない。「内部で解決するのがあたりまえ」と考えず、出資も含めた協業を積極的に模索してみてはどうか。彼らは、常識にとらわれない新しい発想やスキルを持っている。一方で、ビジネス化のノウハウや資金、人脈に乏しいところも少なくない。彼らを「取り込む」のではなく、彼らの「不足を補う」ことで、新しいビジネスの萌芽を育てることが大切だ。

IntelやGoogle、Ciscoなどのテクノロジー企業が取り組んでいるCVC(Corporate Venture Capital)は、参考になるだろう。彼らは、単にベンチャー企業に投資するだけではなく、事業化や事業拡大のノウハウを提供し、彼らの成功を支援している。彼らの成功によるキャピタルゲインを期待するだけではなく、むしろ彼らとのシナジー効果や、M&Aにより自分たちの事業ポートフォリオに組み入れることで、有望な新たな事業を立ち上げようとしている。それが、自前主義の限界を突破する有効な手段となっている。

また、スタートアップ段階のベンチャーに対しては、「シードアクセラレーション」といって、数十万円~数百万円程度の少額の出資を行い、あわせてビジネスのノウハウを提供して、彼らの事業化を支援する活動を行う企業もある。事業化の段階が進むごとに出資金額を増やしていくことで、投資リスクを抑えることもできる。特にITベンチャーのスタートアップは、クラウドの普及により、かつてのような大金を必要としなくなった。

このような取り組みを、業績が伸びているとき、あるいはキャッシュのストックがあるうちに行うことが大切だ。業績が低迷し、資金余力がなくなってしまってからでは、「すぐになんとかしなければ」と短期間で成果を求める。しかし、『イノベーションのジレンマ』の著者であるクリステンセンの言葉にもあるように、「新事業が成功する条件は、成功するまで試行錯誤を繰り返す資金余力があること」であり、この原則を実践できなければ成功はおぼつかない

2015年2月4日(水)より開講するITソリューション塾【第18期】の募集に参加しませんか?

このブログでも紹介させて頂いたテクノロジーやビジネスに関する最新のトレンドをビジネスにどう結びつけてゆけば良いのかを考えてゆきます。そのための提案やビジネス戦略・新規事業開発などについても解説します。また、アジャイル開発でSIビジネスをリメイクした実践事例、クラウド時代のセキュリティとガバナンスについては、それぞれの現場の第一線で活躍される講師をお招きし、生々しくそのノウハウをご紹介頂く予定です。

きっと貴重なきっかけを手に入れられると思います。どうぞご検討ください。

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詳しくはこちらをご覧下さい。また、パンフレットもこちらからダウンロードできます

最新ITトレンドとビジネス戦略【2014年12月版】を公開しました

今回は解説文を大量に追加しました。プレゼンテーションの参考にしてください。また、新しいトレンドを踏まえ、プレゼンテーションを13ページ追加しています。無料にてご覧いだけます。

【2014年12月版】(209ページ)の更新内容は次の通りです。

  • 「クラウド・コンピューティング」に解説文を追加しました
  • 「仮想化とSDI」を「ITインフラと仮想化」に変更し、プレゼンテーションを大幅に追加しましたました。
  • 「ITインフラと仮想化」に解説文を追加しました。
  • 「IoTとビッグデータ」に解説文を追加しました。
  • 「IoTとビッグデータ」に3Dプリンターの解説を追加しました。
  • 戦略について一部チャートを変更し、資料を追加しました。

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拙著「システムインテグレーション崩壊」が、「ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書大賞」にノミネーションされました。お読み頂きました皆さんに感謝致します。

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「システムインテグレーション崩壊」

〜これからSIerはどう生き残ればいいか?

  • 国内の需要は先行き不透明。
  • 案件の規模は縮小の一途。
  • 単価が下落するばかり。
  • クラウドの登場で迫られるビジネスモデルの変革。

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