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コレ一枚でわかるスマートマシン(3/4)UIとしてのスマートマシンと人工知能

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昨日は、スマートマシンが実現しようとしていることを説明しました。今日は、新しいUIとしてのスマートマシンと人工知能について解説します。

マン・マシン・インターフェイスとしてのスマートマシン

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スマートマシンが実現しようとしていることを別の視点で捉えてみると、それは、コンピュータが人と関わるところ、すなわちマン・マシン・インターフェイスあるいは、ユーザー・インターフェイス(UI)を拡張することです。

コンピュータが、どれだけ高速・高性能になっても、人工知能がどれほど賢くなっても、人との接点が、液晶画面しかなければ、コンピュータにできることは限られてしまいます。

ところが、先に紹介した倉庫用ロボットや荷物配送用の無人ヘリコプター、自律走行車は、人がショッピング・サイトで商品を注文すると、倉庫内の商品の場所を自分で探して、荷揃えしている人にこれを運び、人工知能を使って選択された最適経路を自分で走行し、お客様にとどけることまでやってくれます。また、商品の到着時間をスマートフォンに音声で問いかければ、その言葉の意味を理解し、必要な情報を探し、到着時間を音声で応えてくれます。この音声認識や音声応答の仕組みは、キーボードが使えないモバイルやウェアラブルを使うために欠くことのできない機能となっています。

これまでは、コンピュータの処理した結果は、液晶画面に表示され、人がその内容を読み取りこれを解釈して、自ら判断して実行しなければなりませんでした。ところが、スマートマシンは、判断や実行までしてくれる新しいマン・マシン・インターフェイスとも言えるでしょう。

このような新しいマン・マシン・インターフェイスの出現は、コンピュータと人との関係を大きく変えることになります。そして、それは同時に、コンピュータと人との役割分担を大きく変えることにもなるでしょう。

スマートマシンの頭脳「人工知能」

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「スマートマシン」の頭脳が、「人工知能(AI: Artificial Intelligence)」です。

従来、機械は人が操作するか、手順を教えてその通り動かすものでした。しかし、AIは、自ら学習し、状況を把握し、判断できる能力を機械に与えます。

人工知能には、人の「知的活動を再現する」と「脳の活動を再現する」の2つのアプローチがあります。

前者は、あらかじめ「ルール」をたくさん用意しておく「ルールベース」です。外国語翻訳者や医者、弁護士といった専門家のノウハウをルール化して組み入れた「エキスパート・システム」が実用化されています。ただ、ルールを人が作り登録しなければならないため、手間がかかり普及しませんでした。

この状況を変えたのが、「機械学習」です。ビッグデータを統計的に解析して、「日本の首都」と「東京」の関係を見つけ出し、「日本の首都が東京である確率は99%」といったルールを自動的に生成しようというものです。ただ、「おなかがすいた」が、空腹の表明や食事の催促、仕事が終わっての開放感を表現するといった文脈に即した意味は解釈できず、限界も指摘されています。

後者は、人の脳の仕組みを模倣して、機械に人のように学習させ考えさせようというものです。神経細胞(ニューロン)のつながりをモデルにするため、「ニューラル・ネットワーク」と呼ばれています。これを使えば、人がルールを教える必要はありません。例えば、ネコと人間が映っている動画を大量に見せることで、両者の特徴を自分で学習し、両者の違いを区別できるようになったという事例が報告されています。

現状では、前者の実用化が先んじていますが、後者の研究も進んでおり、今後大きく発展することが期待されています。

・・・明日に続く

最新ITトレンドとビジネス戦略【2014年12月版】を公開しました

今回は解説文を大量に追加しました。プレゼンテーションの参考にしてください。また、新しいトレンドを踏まえ、プレゼンテーションを13ページ追加しています。無料にてご覧いだけます。

【2014年12月版】(209ページ)の更新内容は次の通りです。

  • 「クラウド・コンピューティング」に解説文を追加しました
  • 「仮想化とSDI」を「ITインフラと仮想化」に変更し、プレゼンテーションを大幅に追加しましたました。
  • 「ITインフラと仮想化」に解説文を追加しました。
  • 「IoTとビッグデータ」に解説文を追加しました。
  • 「IoTとビッグデータ」に3Dプリンターの解説を追加しました。
  • 戦略について一部チャートを変更し、資料を追加しました。

2015年2月4日(水)より開講するITソリューション塾【第18期】の募集を開始致しました。

既に、定員80名に対して半分ほどのお申し込み、参加意向のご連絡を頂きました。ありがとうございました。

第18期では、テクノロジーやビジネスに関する最新のトレンドに加え、提案やビジネス戦略・新規事業開発などについても考えてゆこうと思っています。また、アジャイル開発でSIビジネスをリメイクした実践事例、クラウド時代のセキュリティとガバナンスについては、それぞれの現場の第一線で活躍される講師をお招きし、生々しくそのノウハウをご紹介頂く予定です。

ご検討ください。

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詳しくはこちらをご覧下さい。また、パンフレットもこちらからダウンロードできます

よろしければ、ご投票頂ければ幸いです m(_ _)m

拙著「システムインテグレーション崩壊」が、「ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書大賞」にノミネーションされました。お読み頂きました皆さんに感謝致します。

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「システムインテグレーション崩壊」

〜これからSIerはどう生き残ればいいか?

  • 国内の需要は先行き不透明。
  • 案件の規模は縮小の一途。
  • 単価が下落するばかり。
  • クラウドの登場で迫られるビジネスモデルの変革。

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