「そうなったらいいなぁ」を事業戦略という不思議(1/2)
「海外への進出を考えているんですが、まずは国内企業の海外進出を支援することからはじめようと思っています。」
「でも、同じようなことを考えている企業も少なくないと思いますよ。結局は地場の企業を顧客として取り込んでゆかなければ、海外事業は、頭打ちになるんじゃありませんか。」
「ええ、私達もそう考えています。でも当面は、仕方がないと思っています。まずは、進出して、走りながら考えて見ようと思っています。まあ、はじめてのことでもありますし、やってみなければ分かりませんよ。」
本当にそれでいいのでしょうか?
地の利も分からず、人脈がない状況にあっては、最初は仕方のないことだと思います。しかし、海外進出となれば、大きなリスクを冒しての先行投資です。それが、「当面」の戦略だけで、実行に移していいのでしょうか。いずれ訪れるであろう未来が分かっているにもかかわらず、当たって砕けるというようでは、なんとも心許ない話です。
「海外の顧客を取り込むためにこういうことをやる」という具体的イメージを仮説として持たなければ、本当にそのやり方が妥当かどうかは分かりません。情報も入ってこなければ、人のつながりも生まれないでしょう。何が必要なのかも見えてこないはずです。
- 当面は日本企業の海外進出を支援し、3年後は地元企業の顧客比率を3割りまで引き上げる
- 現在のパッケージ・ビジネスから、3年後には、SaaSビジネスへの転換を図る
- 現在、グループ内企業の売上比率が8割りだが、5年後にグループ外の比率を8割に引き上げる
どのように実現するのですか?
担当者曰く「そうでも言わなければ、上も納得しませんしねぇ。」
経営者曰く「それぐらいの高いハードルを掲げておかないと、何もやりませんよ。まあ、正直なところ、本当にできるとは思っていませんけどね・・・」
なんて、本音が聞こえてきそうです。
- 海外顧客を取り込むための訴求点はなんですか。
- どのような価値を地元企業に提供できるのでしょうか。
- なにが地元企業や他社にはない強みなんでしょうか。
- どのようにチャネルを開拓し顧客ベースを拡げるべきなのでしょうか。
新たにSaaSビジネスを手がけようとする場合はどうでしょうか。
- SaaSとなれば、顧客ベースも収益構造も変わります。それでも収支は保てるのでしょうか。
- パッケージをそのままパブリッククラウドで動かしても課金方式に配慮しなければ高くなってしまいます。また運用の常識も変わります。それに伴うリスクや対策を明確にできているのですか。
- マルチテナンシーには対応できていますか。
- 今はない顧客ベースを新規に開拓しなければなりませんが、そのためのマーケティングや営業の戦略はできていますか。
- これまでそういうことに取り組んだ経験は少なく人材もスキルも不足しています。それをどうやって補うのですか。
- 自分たちにできないとすれば、外部との協業を模索しなければなりませんが、かれらが協業することにメリットを感じてくれなければうまくゆくはずなどありません。どのような協業のスキームを実現するのですか。
走りながら考えることは必要です。しかし、どこに向かうかを決めないままにただひたすら走ることを、「事業戦略」とは言いません。では、どうすれば良いのでしょうか・・・続く
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