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売れないことを「営業の努力不足」に押し込めてしまう大きな勘違い

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新規事業を考える時、欠かすことができない視点が、「マーケティング」だ。SaaSなどのクラウド・サービスで新規事業を考えようとするのであれば、この視点を欠かすことはできない。しかし、現実には、これまで同様の「セールス」活動で新規事業を立ち上げようというケースをよく見かける。

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本来「セールス」とは、既存、新規を問わず、担当するお客様から売上や利益を上げる活動だ。今月、今四半期、今年度といった「現在」の視点で売上や利益に貢献する活動で、具体的には、以下のような活動を行う。

  • お客様の現状や課題の理解
  • お客様個別の要望への対応
  • お客様個別の提案戦略の策定と実践
  • お客様の意志決定プロセスに関与し契約・受注

売上と利益の計上

これに対して、「マーケティング」は、顧客・事業領域の拡大や市場を創造する活動だ。来期、次期3カ年、長期の視点で売上や利益に貢献する活動で、具体的には、以下のような活動を行う。

  • 市場の理解と分析
  • 事業領域の拡大や市場創造のための戦略立案
  • 製品やサービスの開発や体系化
  • 製品やサービスの価格決定
  • 販売方法の戦略策定と展開

これまで、SIビジネスに、「マーケティング」は必要がなかった。なぜなら、既存のお客様からのリピートやリテンションが収益の大半を占めており、既存のお客様との良好な関係を維持するために、ご要望にしっかりと応え、確実に成果を上げること、つまり「セールス」で十分だったからだ。

しかし、新規事業がこれまでに参入してこなかった事業領域への進出や市場の創造により、新たな顧客を創出することであるとすれば、「セールス」では、限界があり、「マーケティング」を行うことが必須となる。

「マーケティング」のテクニック論の詳細に語るつもりはないが、マーケティングの最も基本的なフレームワークであるSTP(Segmentation/Targeting/Positioning)を使った検討程度は、最低でも行うべきではないかと思う。ここで、STPについて、簡単にご紹介しよう。

  • S(細分化)とは、さまざまな角度から市場を調査し、ユーザー層や購買層を区分して、事業展開の切り口を整理すること。
  • T(ターゲット選定)とは、細分化した市場区分の中で、提供しようとしているサービスによって競争優位が築けるセグメントはどこかを決めること。
  • P(ポジション決め)とは、ターゲットとして選定したセグメントの中で、どのようなメリットを顧客に提供して競合との差別化を図り、独自性を発揮すべきかを決めること。

このような検討もないままに、新規事業を行うことは、地図も持たずに初めての土地を訪れるようなもので、右往左往するだけのことだ。

また、「マーケティング」は、テクノロジーやビジネス環境などのトレンドをしっかりと見据える必要がある。先日のブログで紹介したIoT、ビッグ・データ、クラウド、AIなどのトレンドは、SI事業者が、今後大きく影響を受けるであろう領域だ。このようなトレンドが自社の収益構造にどのような影響を今後与えるかについて客観的な評価を行い、新規事業戦略との整合性を確認する必要がある。

SIとサービスを主体としたビジネスの本質的な違いは、「マーケティングが必要であるかどうか」にある。これは、ビジネスにすり込まれたDNAの違いともいえる。そのような視点を欠いたままに、売れないことを「営業の努力不足」あるいは「サービスの機能不足」に押し込めてしまうのは、大きな勘違いであると思った方が良い。

*更新しました* 今週のブログ ---

専任の “「お客様の立場」責任者” を持つ

「なんで、俺たちが、そんなことしなきゃいけなんですか?」

ある社内プロジェクト会議で、ベテランのエンジニアが、営業の責任者にかみついていました。こんな不毛な議論を続けても、仕事がうまくすすむわけはありません。

なぜこんなことになるのでしょうか。どうすれば良いのでしょうか。

今週のプログは、そんなことを考えてみました。

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