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オンラインビデオマーケティングのための戦略<米国のホリデー期間中に見えてきた、これからのオンラインビデオマーケティングに必要なこと>

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景気後退が叫ばれる中、過去最高の売上を記録したと言われている米国のブラックフライデー。米国の長いホリデー期間はクリスマスが終わるまで続くわけだが、このホリデー期間中に、米国では今後の参考になりそうなオンラインビデオマーケティングの成功事例が続々公開されている。そこで今回は、このホリデー期間中に見えてきた、オンラインビデオマーケティング成功のために必要なポイントについて考えてみたい。

紹介している事例は小売事業者が中心ではあるが、オンラインビデオマーケティング自体はあらゆる業界にプラスの効果をもたらす重要な戦略の1つである。是非、小売業界以外の企業の担当者の方にも参考にしていただければと考えている。


【1】 小売事業者の43%がホリデー期間中オンラインビデオに投資すると回答

本題に入る前に、ホリデー期間突入前にshop.orgから興味深い調査レポートが公開されていたので紹介する。shop.orgが、小売事業者に対して、今年のホリデー期間中マーケティング予算を何に投資する予定かという質問をしたところ、小売事業者の43%がプロダクトビデオ(商品動画)に投資するという回答が返って来たという。

※ shop.orgの調査レポート:「About the 2011 eHoliday Study」 

トップの回答を得たフェイスブックページの72.5%と比べれば31%の差はあるものの、それでも上位8番目にランキングされたということは、米国の小売事業者にとって、オンラインビデオマーケティングがそれだけ重要な戦略の1つになっているということの証明だろう。

オンラインビデオマーケティングが、米国の小売事業から熱い注目を集めるのには大きく2つの理由が考えられる。1つは、オンラインビデオマーケティングの効果にある。オンラインビデオマーケティングの中にあって、小売事業者が最も活用しているプロダクトビデオがコンバージョンレートを5~35%も改善するという導入効果を、米国の小売事業者自身が認めているということだ。小売事業者自身が、プロダクトビデオを強く求めているということになる。

プロダクトビデオを強く求めているのは、何も小売事業者ばかりではない。米国の消費者もまたプロダクトビデオを強く求めている。それが2つ目の理由だ。プロダクトビデオは、米国の消費者にとって、イーコマースサイト上でショッピングする際の重要な購買決定要因の1つになっている。購入しようかどうしようか迷った時、最後はプロダクトビデオを見て決めるというのが、消費動向の大きな1つのパターンになっているからだ。

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【2】 ホリデー期間中に展開されたオンラインビデオ広告の特長

次に、今年のホリデー期間中に、米国の小売事業が展開したオンラインビデオの特長について見てみたい。

① ホリデー期間の熱狂を伝えるビデオ広告

下のビデオは、米国のオンライン小売事業者ターゲット が今年のホリデー期間用に公開したビデオ広告だ。見ての通り、米国にとってホリデー期間がいかに特別であるかということが伝わってくる内容になっている。ホリデー期間中に各小売事業者が公開したビデオ広告を見ていて気がついたのだが、一見してホリデー期間のための広告であるということがわかる内容のものが多い。

● ターゲット:ホリデー期間用のビデオ広告

ホリデー期間中であることがすぐにわかる、消費者のクレイジーな熱狂振りを反映した著名人やユーモアなパーソナリティを起用したビデオ広告が本当に多い。恐らく、ホリデー期間中であることが見ただけで伝わるようなエキサイティングなビデオを見せることで、消費者自身をその気にさせるという狙いがあるのではないだろうか。

メイシーズ百貨店のジャスティン・ビーバーを起用したビデオ広告は、ホリデー期間中のクレイジーさを伝えるという意味で、今年のホリーデー期間中に公開されたビデオ広告の中にあって、最も成功した1つであると言っていいだろう。12月7日現在で、すでに270万回近くも視聴されている。

●メイシーズ百貨店:ジャスティン・ビーバーを起用したブラック・フライデー用のビデオ広告

サイバー・マンデー用のビデオ広告も数多く公開されてる。ターゲットやメイシーズ百貨店のような強烈なインパクトには欠けるものの、ベスト・バイとウォルマートの広告はどちらも短い時間内にユーモアとサイバー・マンデーの重要性がメッセージとして込められている内容になっている。

● ベスト・バイ:サイバー・マンデー用のビデオ広告

● ウォルマート:サイバー・マンデー用のビデオ広告

② 伝統的な紙の広告を取り込んだビデオ広告

下のビデオ広告は、ゲームストップ・ドットコムがブラック・フライデー用に公開したものだ。このビデオ広告の面白い点は、小売事業者のビデオに必ずと言っていいほど登場してくる人間が全く使われていないということにつきる。その代わりにCGが駆使されているわけだが、もう1つの特長として伝統的な紙の広告を効果的に使っている点が非常にユニークだ。

印刷された紙の広告は、オンラインビデオ全盛の今となっても、決して廃れることがない広告の王道である。このゲームストップ・ドットコムのビデオ広告は、その紙の広告をビデオの中に上手く取り込んだ、非常にユニークなビデオ広告に出来上がっている。演出・表現方法は違っても、ホリーデー期間のクレイジーさを伝えることには成功している。既存の広告資産を再利用できることから、こうした紙の広告を取り込んだオンラインビデオ広告は今後も増えてくるに違いない。

● ゲームストップ・ドットコム:ブラック・マンデー用の紙の広告を取り込んだビデオ広告

Game Stop 2011 Black Friday At 2011BlackFridayAds.Com from 2011blackfridayads on Vimeo.

③ ホリデー・ハウルビデオ

このホリデー期間中は、消費者が自ら主演・撮影・編集までを務めることになる、いくつかの面白いハウルビデオも公開されている。missglamorazziが11月28日にYouTubeに公開したばかりのハウルビデオは、22分35秒の大作であるにもかかわらず、12月7日時点ですでに25万回以上の視聴回数を記録している。

● missglamorazziのブラック・フライデー用ハウルビデオ

11月25日に公開されたTheGridMonsterのハウルビデオも、すでに14万回以上視聴されている。さらに驚かされるのが、1,400件以上も寄せられているコメントの量だ。一見他愛もないように見える、消費者が自分で作ったビデオにこれだけたくさんの消費者が関心を寄せるところが、ハウルビデオの可能性を感じさせる点だと言っていいだろう。

● TheGridMonsterのブック・フライデー用ハウルビデオ

ティーンエイジャーたちが作るハウルビデオもまた、ホリデー期間中のクレイジーさを伝えてくれている。他のティーンエイジャーは、実際に彼女たちのビデオを参考にしてホリデー期間中のショッピング計画を立てるというから、ハウルビデオのマーケティング効果はもはや無視することができなくなっている。


【3】 これからのオンライン・ビデオ・マーケティングに必要なこと

では、実際にオンラインビデオマーケティングを実行する上で、これから必要になってくると思われるポイントについて考えてみたい。戦略という大きな観点から見た場合、3つのポイントが考えられる。

① 消費者をひきつける魅力的なコンテンツを用意する

コンテンツ・イズ・キング。それは、オンラインビデオの世界にとってもおなじことだ。これからは、ますます消費者をひきつける魅力的なコンテンツが必要になってくる。たとえば、今回のホリデー期間のように、ある特定のキャンペーンのためにオンラインビデオマーケティングを展開するのであれば、ビデオ広告を視聴した消費者に一瞬でそのキャンペーンのことを想起させるようなコンテンツを展開する必要がある。

メイシーズ百貨店のように、スターを起用するのが手っ取り早い方法であることは確かだが、ターゲットのように、スターを起用しなくても消費者をひきつける魅力的なオンラインビデオ広告を制作することは可能だ。そのためにも、いろいろなパターンのオンラインビデオ広告をできるだけ数多く見ておくことが必要になってくる。

最初はコピーだって十分かもしれない。実際、米国ではコピーによって制作されたオンラインビデオ広告が、思わぬ人気を集め成功した事例がいくつも報告されている。まずは、自分たちがやりたいと思っている内容に一番近いビデオ広告を見つけて来て、それを真似てみることだ。逆に、そこからオリジナリティが生まれて来る可能性だってある。

② 他のメディアと融合したコンテンツを用意する

ゲームストップ・ドットコムがこのホリデー期間中に展開した紙の広告を取り込んだビデオ広告のように、これからはビデオ以外の他メディアと融合したビデオ広告が増えてくるだろう。例えば、紙のカタログにQRコードを印刷し、そのQRコードからビデオ広告を視聴させるといったオンラインビデオマーケティングが米国では人気を集めている。

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また、紙の広告とオンラインビデオを密に連携させたインタラクティブなiADも、スマートデバイスの普及とともに確実に増えてくるだろう。ブラジルに本社を置くオ・ボチカリオは、ヘアケアからボディケア、フェイスケア、メイク、オードトワレまで、ビューティー関連の商品をトータルで展開している日本にもファンが多いコスメブランドとして知られているが、このオ・ボチカリオが最近展開しているインタラクティブなiADキャンペーンが面白い。

ベースとなっている広告は、オ・ボチカリオが発行しているカタログで、そのカタログの中のモデルの顔写真にスマートフォンをかざすと、かざした部分に対応したメイクアップ・チュートリアル・ビデオが再生されるという仕組みになってる。

O Boticário - Make B iPhone (ENG) from AlmapBBDO Internet on Vimeo.

紙を始めとした既存のメディアと融合することで、オンラインビデオ広告は消費者に対して新しいインタフェースと付加価値を提供することが可能になる。紙という最もトラディショナルなメディアと、スマートデバイスという最先端のテクノロジーが融合することで、今までにない全く新しい価値を生み出すことができるという最高の事例の1つがここにあると言っていいだろう。

③ スマートデバイスに対応する

スマートデバイス、特にiPadへの対応は、オンラインビデオマーケティングを実行する小売事業者が取り組まなければならない最重要課題の1つだと言っていいだろう。今回のホリデー期間中の実績を見る限り、スマートデバイスからの売上が急成長していることは疑いようがない。この傾向は今後も間違いなく続くことから、オンラインビデオ広告をiOSデバイスでも視聴できるようにしておく必要がある。

現在、こうしたiOSデバイスでオンラインビデオを視聴できるようにするための解決策として、HTML5とアプリによる方法が紹介されるケースが多いが、バンドルされているSafariでもPCと同じようなインタフェースでオンラインビデオを再生させることが可能だ。また、この方法であれば開発期間もコストかからない。

実際、最近弊社のサービスを導入してビデオ配信を実現している企業の80%以上が、PCだけではなくiOSやアンドロイドでもビデオが視聴できるようなサービスレベルを消費者に提供している。また、PCを配信するデバイスの対象から外し、スマートデバイスだけに配信するようなサービスもいくつか現れている。

オンラインビデオ広告を視聴するデバイスの主役が、PCからスマートデバイスに移ってきていることは間違いない。

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