インフォグラフィックビデオは、時としてリアルなビデオより有用だったりする
膨大な情報やデータを視覚的に表現したインフォグラフィックは、複雑なデータやビジネスの仕組みを瞬時に理解する時などに有用だ。例えば、テキストで書かれたレポートを読む時間がない時などに重宝する。下記のフォーブスが公開した、アメリカのエグゼクティブのオンラインビデオ利用動向に関するレポートを図式化したインフォグラフィック。レポートなら読んで数時間かかるところを、数十分で理解する(ある程度は)ことができる優れたインフォグラフィックだ。
■ Like A Boss: Are U.S. Execs Embracing Online Video?
テキストよりもインフォグラフィックの方が時間を節約できるのは間違いない。ただ、図やグラフよりよりも、ビデオの方がもっと時間を節約できる。ということで、インフォグラフィックビデオなるものもこの世にはちゃんと存在する。ビデオの方が、図やグラフよりも情報量が多い上に表現力も豊かだ。インフォグラフィックビデオ自体は、結構古くから存在していたのだが、最近ここに来てまた注目が集まっている。
■ The World of Social Media 2011 - VideoInfographs.com
タイトルにある通り、2011年のソーシャルメディアに関する世界の動向が2分45秒で理解できるインフォグラフィックビデオだ。ツイッター、フェイスブック、グーグルプラス、リンクドインと、2011年はまさにソーシャルメディア一色に明け暮れた1年だった。このインフォグラフィックビデオは、そんなソーシャルメディアの過去と現在を理解するのに十分な内容になっている。必見のインフォグラフィックビデオだと言っても過言ではない。
■ Facts about online video
これはオンラインビデオの現状と、今後の市場規模が簡単に理解できるインフォグラフィックビデオだ。オンラインビデオが、企業にとって今後どれだけ重要であるかということを短時間で理解することができる、非常に有用な内容になっている。先に紹介した「The World of Social Media 2011 - VideoInfographs.com 」よりも弱冠動きが多いのも特長だ。
■ Video is Awesome
これもオンラインビデオについて解説しているビデオだ。「Facts about online video」が、どちらかというとオンラインビデオのマーケティング活用にフォーカスしていたのに対し、こちらのビデオはもっとオンラインビデオの基本的な知識を解説した内容になっている。再生時間も、先に紹介した2つのビデオよりも多少長く3分を超えている。
インフォグラフィックビデオは、3分で表現できる有益なビジネスツールだ。今のビジネスは、仕組みがどんどん複雑になっており、その情報量も昔とは比べ物にならないほど膨れ上がっている。テキスト、図、グラフだけでは、もはや表現しきれないレベルになっていると言っていいだろう。そういう意味で、インフォグラフィックビデオ、まさに今の時代にマッチしたビデオであると言える。
インフォグラフィックビデオの構成要素はとてもシンプルだ。テキスト、図、グラフ、音が主な素材になっており、リアルな映像は使わない。インフォグラフィックビデオにとって音は非常に重要だ。効果音があるだけで表現力がかなり違ってくる。ナレーションを入れてもいいだろう。時間は3分前後がベスト。あとは、それぞれの素材をどう組み合わせるかが重要で、演出に頭を悩ませる必要がない分、制作するのはそれほど大変ではない。
今後、企業がインフォグラフィックビデオを採用するケースが増えてくるはずだ。中でも、B2Bの分野でインフォグラフィックビデオは活躍の範囲を広げてくるだろう。取引先に自社の製品やサービスを説明するとき、ドキュメントに加えてインフォグラフィックビデオがあると、格段に理解がしやすくなるはずだ。インフォグラフィックビデオは、取引先との有益なプレゼンテーション&コミュニケーションツールとなる可能性を秘めている。
また、投資家に対してのプレゼンテーションにも、インフォグラフィックビデオは有用だと考えられる。通常、投資家へのプレゼンテーションには、テキストやチャートなどをたくさん盛り込んだ膨大な量のドキュメントを使用する。これでは、説明を受ける方も大変だ。インフォグラフィックビデオは、そのような投資家が抱える問題点を解消してくれる。
インフォグラフィックビデオは、企業内利用の分野にも活用範囲を広げて来るはずである。社員への教育・研修などに、インフォグラフィックビデオは効果を発揮する。もしかしたら、インフォグラフィックビデオラーニングなるものが登場する可能性だってあるかもしれない。社内プレゼンはインフォグラフィックビデオで、そんな時代が訪れるのも時間の問題。
しかし、その一方でインフォグラフィックビデオが向かない世界もある。インフォグラフィックビデオは、人間が登場してこないことから、どうしても無機質になりがちである。よって、人間のエモーショナルな部分に訴えることは苦手だ。イーコマースサイトなどのような、エモーショナルな部分を大切にするビジネスには向かない。また、エモーショナルな部分を前面に出して、消費者に対して自社のストーリーを語る必要がある、ブランディングの世界にも向かない。
ただ、考えてみてほしい。全てのビジネスにエモーショナルが必要なわけではない。むしろ、人間が出て来ない方が都合の良い場合だってある。インフォグラフィックビデオは、時としてリアルなビデオより有用だったりする。