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ソーシャルビデオとソーシャルビデオマーケティングに関するまとめ

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現時点では、ウィキペディアでもまだ正確に定義がされていないソーシャルビデオとソーシャルビデオマーケティングだが、米国で数多くの成功事例が発表されていることから、今後注目を集めることは間違いない。そこで、今回はソーシャルビデオとソーシャルビデオマーケティングとはどんなものなのかをきちんと定義し、ソーシャルビデオマーケティングの可能性と導入する際のポイントについて考えてみたいと思う。

【1】 ソーシャルビデオについて

まず、ソーシャルビデオについて定義することから始めたい。ソーシャルビデオについての定義は、video-commerce.orgの2011年4月8日の記事「SOCIAL VIDEO MARKETING EXPLAINED」を参考にしたい。以下のように定義されている。

“social video” is the blending of video with human interactivity for the co-creation of value.

※ http://video-commerce.org/

日本語に訳すと、「ソーシャルビデオとは、価値を共創するための、人間の相互作用とビデオの混合である」といったところだろうか。この後詳しく紹介しようと思うが、同じvideo-commerce.orgの中で、相互作用または関係し合うのはブランド(企業)と消費者であるという記述が出てくる。よって、ここではソーシャルビデオを以下の通り定義する。

「ソーシャルビデオとは、企業と消費者が共同で価値を創造するビデオの混合物である」

つまり、ソーシャルビデオとは、従来までのオンラインビデオ広告のように、企業が一方的に消費者に対して送りつけるものではなく、消費者とコミュニケーションを取ることを第一に考えるということになる。また、消費者の意見を反映させることができるため、消費者との良好な関係も長期間になる傾向が強くなる。

ソーシャルビデオを理解する上で重要なポイントが一つある。それは、ソーシャルビデオはブランド型ソーシャルビデオとイーコマース型ソーシャルビデオの二つに大きく大別されるということだ。

① ブランド型ソーシャルビデオ

ブランド型ソーシャルビデオは、企業がキャンペーンを展開する時に利用されるソーシャルビデオのことを言う。テレビコマーシャルは対象から外れてしまうが、企業がより消費者の反応が得られるビデオを製作して提供するパターンである。今までのオンラインビデオと違って、広告よりもコンテンツの要素が強くなるという特長を持っている。ビデオの制作に関して言えば、広告代理店を通して専門のビデオ制作会社が制作するのが一般的だ。制作コストに関して言えば、オンラインビデオよりはかなり削減される。

ブランド型ソーシャルビデオの代表的な例としては、ブレンドテックの「ブレンドシリーズ」、フォルクス・ワーゲンの「ザ・フォース」、T-モバイルの「ザ・ウェディング」、ダートデビルの「ザ・エクソシスト」などがある。自動車、飲料、アパレル、通信を始め、様々な業界がブランド型ソーシャルビデオに注目している。

② イーコマース型ソーシャルビデオ

イーコマース型ソーシャルビデオは、その言葉が現す通り、オンライン小売事業者が自社のイーコマースサイト上に配備するソーシャルビデオのことを言う。取扱い商品の説明に利用するプロダクトビデオ、カスタマーサービスのためのカスタマーサービスビデオ、顧客らの意見・感想をビデオで投稿してもらうユーザービデオなどがある。ビデオの制作に関して言えば、自社で生産するのが一般的で制作コストはほとんどかからない。

イーコマース型ソーシャルビデオの代表的な例は、何と言ってもザッポスだろう。その他にも、オーバーストック・ドットコム、ゴルフスミスなどがある。オンライン小売事業葉がいま一番注目している分野だと言っていいだろう、

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【2】 ソーシャルビデオマーケティングとは

次に、ソーシャルビデオマーケティングについて定義したい。ソーシャルビデオマーケティングは、先に定義したソーシャルビデオを活用したマーケティング手法ということになる。ここでもvideo-commerce.orgの定義を紹介する。

“Social video marketing” is a video campaign that appeals to the need to socialize,
    which co-creates value between the brand (producer) and consumer.

…IDEALLY, consumers are encouraged and empowered to interact with the brand as equals, and with fellow consumers, in this co-creation of value.

これも日本語に訳して定義してみたい。ここでは、ソーシャルビデオマーケティングを以下の通り定義する。

「ソーシャルビデオマーケティングとは、ソーシャル化する必要性に訴えるビデオキャンペーンである。そして、企業と消費者の共同によって価値を創造する。理想的には、価値の共創において、仲間の消費者や同じ立場にある企業と相互作用するために、消費者は奨励され権限を与えられる」

つまり、ソーシャルビデオマーケティングは企業が単独で成果を成し遂げられるものではなく、消費者や消費者の回りにいる他の消費者をも巻き込んで成果をあげるマーケティング手法だということになる。そして、ソーシャルビデオマーケティングを成功させるためには、企業と消費者の間で交流と帰属意識を育成することが重要になる。そのために、企業側は消費者が絶えず自由に相互作用できるような環境を提供し、その活動を奨励し続けなければならない。

ソーシャルマーケティングにおいて、なぜビデオが有用なのかという点についても言及しておきたい。ポイントは以下の3つにある。

① メッセージを伝承する

最近米国で話題になっている本、「Dancing with Digital Natives」の著者の一人であるサラ・ブライアンと聖スコラスチカ大学の生物学の教授であるジェラード博士の対談の中で、ジェラード博士が興味深い発言をしている。

「私たちは、そのことについて博識な人から説明を聞くことで学ぶことを何千年間も続けてきた。私たちの声に埋め込まれている私たちの非言語的な手がかりは、私たちの考え方にものすごい影響を与える」

ビデオは、伝えたいメッセージを声に出して伝承することができる。

② 感情に訴求する

ロジャー・ドゥーリーというマーケッターが、消費者の購買行動にビデオがどのような影響を及ぼすかというテストを行ったところ、ビデオは消費者の感情を刺激し、購買力を高めるという結果が出たという。ビデオは、見た人の心の奥深くに入り込み、感情に訴求することができる。

③ 情報量が豊富

ビデオは同時に視覚と聴覚に訴えてくる。それは情報量が豊富であることを示している。少ない時間で大量の情報を届けることができるビデオは、それだけで消費者に多くのことを伝えることができる。ビデオは、情報量がテキストや写真に比べて圧倒的に豊富である。

【3】 ソーシャルビデオマーケティングの効果

最後に、ソーシャルビデオマーケティングの効果についてまとめてみたい。

ソーシャルビデオマーケティングは本当に効果があるのか?導入する企業としては気になるところだ。少なくとも、米国ではソーシャルビデオマーケティングを導入して効果をあげることに成功した事例が数多く紹介されている。中でも、ブレンドテックとザッポスはその代表的な例だと言っていいだろう。

ソーシャルビデオマーケティングが従来までのオンラインビデオマーケティングと最も異なっている点は、その効果を判断する基準にある。オンラインビデオマーケティングの効果を判断する基準は、ビデオの”ビュー”と”シェア”の量。一方オンラインビデオマーケティングの効果を判断する基準は、”ビュー”と”シェア”の質になる。ソーシャルビデオマーケティングでは、”ビュー”と”シェア”の量が単純に多いか少ないかではなく、どれだけ深い議論や意見交換がされたか、プラスのコメントがどれだけあったかなどの質が問われることになる。

では、ソーシャルビデオマーケティングを導入することの効果とは一体なんだろう。

① 顧客との強固な信頼関係

ソーシャルビデオマーケティングには、顧客との関係をより深く強いものにするという効果がある。自社のファンとなってくれている顧客との関係をより強固なものにするために、ソーシャルビデオマーケティングは最大限に効果を発揮する。

② 顧客との持続的な関係

また、その顧客との関係が、強固になるだけではなく持続性があるという点も見逃せないソーシャルビデオマーケティングの効果の一つである。従来までのオンラインビデオマーケティングが、瞬間的で一過性の関係を築くことを目的としていたのに対し、ソーシャルビデオマーケティングはあくまでも長続きする関係を目的としている。

③ 顧客の意見を反映

顧客との関係を強固かつ持続的なものにするためには、顧客からたくさんの意見・情報を吸い上げる必要がある。そして、収集した意見・情報を自社の製品やサービスに反映させることで、より顧客のニーズに合った製品やサービスを生み出すことが可能になる。

④ ブランディング

顧客の意見を反映させ、顧客とより強固で持続的な関係を築くことができれば、顧客はそのブランドに対して安心感と信頼感を覚える。そして、その安心感と信頼感がブランドの向上を実現する。

⑤ 収益の向上

①~④の全ての効果の結果として、最終的に収益の向上という大きな効果をもたらす。訪問者数とコンバージョンのアップ、返品率の低下、カスタマーサポート費用の削減など、目に見える具体的な効果が現れる。

【4】 今回のまとめ

最近、ソーシャルビデオとソーシャルビデオマーケティングに関する質問を、フェイスブックなどを通して結構頻繁にもらう。そんな背景もあって、ソーシャルビデオとソーシャルビデオマーケティングを一度きちんと整理してみたいと思っていた。そういう意味では、今回膨大な英文の資料を時間をかけてまとめたことは自分にとってもプラスだった。

ソーシャルビデオマーケティングを成功させるための重要なポイントが3つある。最後はその3つのポイントを紹介して終わりにしたい。

① 始めに戦略ありき

始めにビデオの製造と配信について考えることは間違っている。今度紹介しようと思っているが、ブレンドテックもザッポスもソーシャルビデオマーケティングを始めるにあたって、綿密な戦略を準備している。戦略を疎かにしては成功は望めない。

② 長期戦を覚悟する

顧客とのコミュニ―ションを活性化することは簡単ではない。まして、顧客と強固で持続的な関係を構築するためには、それなりの時間が必要である。よって、1~3ヶ月くらいで結果を求めるらいならソーシャルビデオマーケティングの導入は諦めた方がいい。長期戦を覚悟できないなら成功は望めない。

③ スピードを何よりも優先する

実行する戦略は長期戦でいいが、顧客へのスピードは何よりも優先しなければならないソーシャルビデオに対する顧客の反応は様々である。良い反応もあれば、悪い反応もある。この悪い反応に対しては即座に反応する姿勢が求められる。顧客対応に対してスピードを何よりも優先しなければ成功は望めない。

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